てれまこし

自分の書く文章は役に立つ情報とか簡易なアドヴァイスは含まれていません。自分の文章が提供…

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自分の書く文章は役に立つ情報とか簡易なアドヴァイスは含まれていません。自分の文章が提供するのは問いです。私が出した答えなんてものは一蹴してくれて結構です。問いを持ち帰ってください。

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8本の貪欲な足が捕えてくる書物を食わされているタコが排泄するもの。なんていいうと汚らしいけど、使い方次第で毒にも薬にもなる。世界に裏切られないための教養にもなる。

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  • 恐れない女(「恐れる男」から見た)

    知っているがために生きることを恐れ死に憧れる男。知らないがゆえに(あるいは知っても仕方がないゆえに)死をも恐れず生きかつ生かせる女。なんだか女をバカにしたような話なんだが、人類の生命力を裏で支えてきたのはこの「恐れない女」たちであったかもしれない。そういう記事をまとめてみた。

  • 講座 教養としての国際政治経済学

    国際政治経済学という学問。名前が示唆するほど欲張りな学問ではありませんが、これを学ぶと巷で行なわれてる多くの論争の根底にある本質的な争点が見抜けるようになる。自分が生きている時代をグローバルな視野で眺められるようになる。そんな学問を、専門としては学ばない一般の人向けに講義したものです。

記事一覧

ロックな老い方

ヘッダー画像:The Old Guitarist, by Pablo Picasso - The Art Institute of Chicago and jacquelinemhadel.com, Fair use (Old-50), https://en.wikipedia.org/w/index.

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てれまこし
23時間前
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私らしくならないために書くことによって私らしくなってしまうということ

書き方と書く意味早いもので、note を書き始めてからもう4年以上が経ったみたい。その前にはミクシィというところで日記を書いてたし、またその前には、誰も読む人がいな…

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割引あり
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エロい経済学

経済はエロくない?学問というものはたいがい色気のないもの(あるいは色気のあるものを解剖して台無しにしてしまうもの)でありますが、経済学などという学問はとくに色気…

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てれまこし
2週間前
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14歳までの読書と41歳からの読書

もう十年以上の前のことになったが、日本に帰国した際に、懐かしさから自分が小学校入学時に通った通学路を辿ってみたことがあった。初めて大人たちの監視の下を脱した解放…

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てれまこし
3週間前
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学生さんの「何を学ぶべき?」と「どう生きるべき?」

新入生の期待と幻滅ちょっと出遅れましたが、入学シーズンです。つらい受験勉強をくぐりぬけて、新しく学生生活に期待を膨らませている方々がたくさんいると思います。三十…

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てれまこし
4週間前
5

「知性はぼくにもあるが、君にもある」に潜む差別意識(?)

別の話を用意しておいたんですが、最近世上をにぎわせたある事件を眺めていて、いろいろと考えるところがありました。そこで、今回はそちら関係の話を先にしてみようと思い…

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てれまこし
1か月前
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女と社会

芥川龍之介に雌蜘蛛の生を描いた短篇がある。庚申薔薇の陰に潜んで、何も知らずに蜜を吸いにくる蜂に背後から襲いかかり、その体液をチューチューと吸いとる。見るからに醜…

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てれまこし
1か月前
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読書家たちの反読書主義

なにかの専門家としては自分はもう終わった人間であるが、それゆえにか、読書家としては脂がのり切っているらしく、読めば読むほど得るものが多いし、だからいろいろ読むの…

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てれまこし
1か月前
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「人格」は人格者のものか、みんなのものか?

「人格」って何よ?最近(?)あまり聞かなくなった言葉に「人格者」というものがあります。人を褒めるにしても、なんだか古くさくて、使うのがためらわれます。だけども…

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割引あり
てれまこし
2か月前
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世界に裏切られ続けないためのその一

学問で幸せになれる?ひとは幸せを求めるものであります。幸いなことに、ひとを幸せにしてくれるものはたくさんあります。一杯のコーヒーや一本のタバコでさえ、幸福をもた…

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てれまこし
2か月前
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戦争と文化(外から取ってくるか、内にあるものを育むか)

戦争は文化の母?人類の歴史は戦争・闘争の歴史でもありまして、ひとはとにかく互いに争い、奪い合い、殺し合い続けてきました。主体は異なれども、歴史と呼ばれるものの…

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てれまこし
3か月前
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1950年代の女子大生

年末年始に、娘と一緒に『この世界の片隅に』という映画を見た。戦争加害者としての自覚が欠けてるという批判もあるようだが、当時の一般人があの時代をどのように見たかを…

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てれまこし
3か月前
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ピカチュウやロリコンが増殖する社会はどんな社会か

昨年末の新聞の書評欄に『キツネを飼いならす』という翻訳本の書評が掲載されていて、興味深いことが書かれていました。自分も長いこと「家畜化」や「かわいい」の美学に関…

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てれまこし
3か月前
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言論の正味の力

ここ数年間、自分の生活はあまり変わり映えしないんですが、昨年ひとつ変わったことといえば、SNS 活動への自分の興味は低下の一途を辿っていて、よほどのことがないともう…

てれまこし
4か月前
14

暴力に「耐える」ための政治学

耐える学問マックス・ヴェーバーというエライ学者さんがいます。仕事のしすぎで心を病み、仕事してないと生きてけないのに体が仕事を拒否するようになるという拷問のよう…

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てれまこし
4か月前
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耳を傷める話

ネット政治のダイナミクス「一体、人民が集合して騒動が持上る際は、必ずといってよいほど次のような人間が何人か混る。その種の人間はすぐかっとする気質のせいか、狂気…

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てれまこし
5か月前
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ロックな老い方

ロックな老い方


ヘッダー画像:The Old Guitarist, by Pablo Picasso - The Art Institute of Chicago and jacquelinemhadel.com, Fair use (Old-50), https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=31832131

老いの初体験近年、自分のヒーローであったロック・ミュー

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私らしくならないために書くことによって私らしくなってしまうということ

私らしくならないために書くことによって私らしくなってしまうということ


書き方と書く意味早いもので、note を書き始めてからもう4年以上が経ったみたい。その前にはミクシィというところで日記を書いてたし、またその前には、誰も読む人がいないのに、一人でいろいろと書いてた。仕事や勉強以外で。

人が何かを書く理由は数かぎりなくある。だから書かれるものの種類もたくさんある。みんなが書くわけでもないし、他人から求められないかぎりは書かない人のほうがきっと多数派だ。書くのは面

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エロい経済学

エロい経済学

経済はエロくない?学問というものはたいがい色気のないもの(あるいは色気のあるものを解剖して台無しにしてしまうもの)でありますが、経済学などという学問はとくに色気がありません。経済学の教科書を読んでも、需要やら供給やらの抽象的な概念、意味がわからん記号やら無味乾燥な数字が並んでるだけで、ちっとも肉体をもつ人間が登場しない。だから欲情しようにもしようがない。

あたりまえだ、経済学の教科書をエロ雑誌と

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14歳までの読書と41歳からの読書

14歳までの読書と41歳からの読書

もう十年以上の前のことになったが、日本に帰国した際に、懐かしさから自分が小学校入学時に通った通学路を辿ってみたことがあった。初めて大人たちの監視の下を脱した解放感からか、わずか一学期足らずのことなのに、思い出がたくさんつまってる道である。

ところが、子どものときには一時間くらいに思われた道のりであったものが、大人の足では20分足らずで、いささか拍子抜けした。子どもの視点からは神秘的で謎に満ちてい

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学生さんの「何を学ぶべき?」と「どう生きるべき?」

学生さんの「何を学ぶべき?」と「どう生きるべき?」

新入生の期待と幻滅ちょっと出遅れましたが、入学シーズンです。つらい受験勉強をくぐりぬけて、新しく学生生活に期待を膨らませている方々がたくさんいると思います。三十数年前の自分がまたそうでありました。高校までのクソみたいな労働ではなくて、自由に学問ができる。最高学府ではどんな面白い話が聞けるんだろう。たいして勉強熱心でもなかった自分でさえ、ちょっとワクワクしてました。

ところが、この期待が幻滅に変わ

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「知性はぼくにもあるが、君にもある」に潜む差別意識(?)

「知性はぼくにもあるが、君にもある」に潜む差別意識(?)

別の話を用意しておいたんですが、最近世上をにぎわせたある事件を眺めていて、いろいろと考えるところがありました。そこで、今回はそちら関係の話を先にしてみようと思います。

表題のとおり差別に関する話で、戦争の話と同様、誰か他人を公開処刑するのでもなければ、避けて通られがちな話題です。たぶんこの記事も閲覧数ががくっと減ると思われます。新しい商売を始めたばかりの自分にははなはだ都合が悪いんですが、そうい

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女と社会

女と社会

芥川龍之介に雌蜘蛛の生を描いた短篇がある。庚申薔薇の陰に潜んで、何も知らずに蜜を吸いにくる蜂に背後から襲いかかり、その体液をチューチューと吸いとる。見るからに醜くいやらしい、悪の権化とも呼べそうな蜘蛛。

ところが、その蜘蛛は母でもあって、自らの体液をふり絞って巣をつくり、そこに卵を産み付け、子らが生まれるまで、弱った体で飲まず食わずでじっと番をしてる。そのうちに、蜘蛛の子がうじゃうじゃ生れてきて

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読書家たちの反読書主義

読書家たちの反読書主義

なにかの専門家としては自分はもう終わった人間であるが、それゆえにか、読書家としては脂がのり切っているらしく、読めば読むほど得るものが多いし、だからいろいろ読むのが楽しい(他にやることがないからでもあるけどな)。

昔から平均よりは読んでいた方だろうけど、勉強や仕事のためにいやいや読まされてるようなところもあった。それが、いまではいくらでも読める。それなのに、もう眼が弱ってきて、思うように読めないの

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「人格」は人格者のものか、みんなのものか?

「人格」は人格者のものか、みんなのものか?


「人格」って何よ?最近(?)あまり聞かなくなった言葉に「人格者」というものがあります。人を褒めるにしても、なんだか古くさくて、使うのがためらわれます。だけども、いったいこの「人格者」というのはどういう人たちのことをいうのだろう? 自分はそういう疑問を抱いて、いろいろと注意して見ていたんですが、いまだにわかった気がしません。しかし、他に話したいことも思いつかないので、今回はこの話をしてみようかと思

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世界に裏切られ続けないためのその一

世界に裏切られ続けないためのその一

学問で幸せになれる?ひとは幸せを求めるものであります。幸いなことに、ひとを幸せにしてくれるものはたくさんあります。一杯のコーヒーや一本のタバコでさえ、幸福をもたらしてくれます。残念ながらしかし、こうしたものがもたらす幸せは束の間のものです。

おカネでさえそうです。足りないときは、「ぼくはカネさえあればほかになにも要りません、どうかおカネを授けたまえ」と祈りたくなるんですが、いざ満ち足りてみると、

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戦争と文化(外から取ってくるか、内にあるものを育むか)

戦争と文化(外から取ってくるか、内にあるものを育むか)


戦争は文化の母?人類の歴史は戦争・闘争の歴史でもありまして、ひとはとにかく互いに争い、奪い合い、殺し合い続けてきました。主体は異なれども、歴史と呼ばれるもののかなりの部分はまさに戦争・闘争の歴史でありまして、これがなくなってしまえば暗記させられるものがだいぶん減って嬉しいんですが、そのかわり人類の歴史がなんだか薄っぺらくもなってしまう。そういうありがたいのかなんだかわからないのが人間のあいだの争

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1950年代の女子大生

1950年代の女子大生

年末年始に、娘と一緒に『この世界の片隅に』という映画を見た。戦争加害者としての自覚が欠けてるという批判もあるようだが、当時の一般人があの時代をどのように見たかを、外からではなく内側から理解するのに役立つ内容がたくさんあったから、非常に興味深く見られた。

それで思い出したのが、うちの母のことである。母は敗戦時には十歳だったので、映画の主人公すずさんよりもいくつか年下で、彼女の青春時代は戦後である。

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ピカチュウやロリコンが増殖する社会はどんな社会か

ピカチュウやロリコンが増殖する社会はどんな社会か

昨年末の新聞の書評欄に『キツネを飼いならす』という翻訳本の書評が掲載されていて、興味深いことが書かれていました。自分も長いこと「家畜化」や「かわいい」の美学に関心をもっていたんですが、その二つはつながってなかった。それがつながるような話だったんです。本を買う金がないので図書館で借りられるようになるまでは読むことができないんですが、とりあえず短い書評を読んで考えたことを今回の話のネタにしようかと思い

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言論の正味の力

言論の正味の力

ここ数年間、自分の生活はあまり変わり映えしないんですが、昨年ひとつ変わったことといえば、SNS 活動への自分の興味は低下の一途を辿っていて、よほどのことがないともう覗く気がなくなっていることです。以前からほとんど一方的に発信するだけの状態だったんですが、今では発信もすっかり億劫になってしまいました。

noteも始めた頃は毎日、その後はあんまり多すぎても読者がついてこれないかなと思って三日に一回く

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暴力に「耐える」ための政治学

暴力に「耐える」ための政治学


耐える学問マックス・ヴェーバーというエライ学者さんがいます。仕事のしすぎで心を病み、仕事してないと生きてけないのに体が仕事を拒否するようになるという拷問のような苦しみを味わったんですが、まさにこの悩みを深くするような問いをとことん追求しつづけ、巨大な仕事を遺した鋼鉄の意志の持主です。精確な引用ではないんですが、どうしてそこまでして学問をやるかと問われたとき、「自分が(この世界を)どこまで耐えられ

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耳を傷める話

耳を傷める話


ネット政治のダイナミクス「一体、人民が集合して騒動が持上る際は、必ずといってよいほど次のような人間が何人か混る。その種の人間はすぐかっとする気質のせいか、狂気のせいか、それとも邪悪な底意(そこい)や、混乱のための混乱、破壊のための破壊を望む性のせいか、事態を出来るだけ悪化させることに全力を傾注する。火が消えかかるたびに必ず煽り立て、およそ容赦仮借ない提案を次々と行うばかりか、どしどしそれをけしか

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