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スキ数関係なく、思い入れのある記事をまとめました.
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滲み出るものは嘘じゃないから

滲み出るものは嘘じゃないから

言葉で伝えられないってことは自覚してないってことだと思っていた。

言葉はいくらでも嘘を吐ける。言葉はいくらでも取り繕うことができる。それに比べて行動は嘘を吐かない。

そう言われることは知っていて、それが現実になることがあるってことも知っていて、でもその上で、行動はサルにでもできるけど言葉を尽くせるのは人間だけなんだから、言葉で行動の意図を伝えたり、伝えた言葉を嘘にしないよう行動すればいいのに、

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愛の大きさを測ることなんてできないのだから

愛の大きさを測ることなんてできないのだから

彼と日帰りで岡山へ行ってきた。

旅の目玉になるはずだった大原美術館は定休日であることが数日前に発覚したけれど、1〜2週間前から企画していたし、大原美術館に入れずとも岡山には美観地区、瀬戸大橋、岡山城&後楽園、と素敵な場所が色々あると捉えて、"一緒にドライブすること" "一緒に遠出すること" を目的に出かけた。

私にとって岡山は、備前に父方の祖母の実家(私から見たら曽祖父母の家)があって、コロナ

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コンビニでは買えない愛を

コンビニでは買えない愛を

彼とはじめて過ごしたクリスマスはセンター試験直前の受験生真っ只中で。午前中で予備校を抜け出し、午後から落ち合ってネスカフェで一緒に勉強した。その後、ディナーは彼がスカイブッフェへ連れて行ってくれて「今日は俺が払うから」と言った。申し訳なく思うと同時にキュンとしたことを昨日のことのように憶えている。

その年のクリスマスに私が彼に何を渡したかは忘れたけれど、彼は私にLUSHのハンドクリームをくれた。

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メビウスの輪

メビウスの輪

どこいく?という彼の声に、久々にヒューガルデンが飲みたい、と言った私のリクエストに答えてその時いる場所から近くて安いクラフトビールのお店をいくつかピックアップしてくれる。ここにしよう、と決めてふたりで歩き出す。

お店の前に立っていたメニューを見てヒューガルデンがあるのかはわからなかったけど、ヒューガルデンでなくても120種類あるというクラフトビールを純粋に楽しみたくなって、あるかわからないけどど

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いつか恋しくなる日がくるのだろうか

いつか恋しくなる日がくるのだろうか

バイト終わり、歩いて一旦家に戻り、部屋には入らないまま自転車置き場から取り出した自転車を、シューシューギコギコいわせながら乗り、自転車屋さんへ向かう。大きな道路に面したひらけた場所にあるそこは、パンクした自転車を押して持って行けるほど近い距離にあるわけではなかった。

今日はどうされました?と問うおじちゃんに、おそらくパンクしてます、というと、1時間くらいかかるよ、下手したらチューブ変えなあかんか

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過ぎゆく日々に光をさして

過ぎゆく日々に光をさして

来年パリに行くことに決めてから、日常を豊かに過ごすか、非日常のために豊かさを残しておくか、ということについて考えを巡らせてしまう。

何かのタスクを処理するとき、光差し込む大学の廊下でこなすのもいいけれど、ちょっぴり贅沢してスタバでパソコンを広げていたい。お昼は友人が一緒のときや、お気に入りの若鶏のしょうゆ揚げが出ているときならば、学食で食べたいとも思うけれど、ひとりならセブイレやカフェで食べたい

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キャラメルバナナと秋の空と、

キャラメルバナナと秋の空と、

元はといえば、一緒に買い物に行った時に最後まで悩んだワンピース。祖母が気に入っていた、あのトップス部分がネイビー色シンプルなデザインで、ボトムス部分がプリーツごとに配色が異なるスカートになっているワンピースを、やっぱり手に入れようと思ったことにある。

水曜日は3限のゼミ終わり、5限を家で受けるために急いで帰らなければならないし、木曜日だってそう。なにより木曜日には、40ページ分の英語で書かれたプ

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今はただ、祖父母からのたくさんの愛を。

今はただ、祖父母からのたくさんの愛を。

昔からおじいちゃん・おばあちゃんっ子だった。

父方も母方も、どっちも最初の娘である私のことをたくさんかわいがってくれたおかげで、どっちの祖父母も平等に好きだった。(もちろん今も)

父方の祖父母は、私が大学に入学するのを見届けたかのように1年の秋と2年の春、立て続けに亡くなってしまった。祖父の願いだった「近所のブックカフェ一緒に行こう」は叶えられたけど、祖母の願いだった「(私と)2人で旅行に行こ

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もっとはやく、出会いたかったよ。

もっとはやく、出会いたかったよ。

そのとき、私は京都駅から三十三間堂までの道をひとりで歩いていた。

イヤフォンを着けずにある程度のところまで歩いてきたとき、音楽が流れてこない耳も、ひとりであるということも、まったく寂しいと思っていないことに気がついた。

それはなぜかと問うた時に、常に頭の中には思考が流れているからだということに気がついた。

ああ、空の青が綺麗だ。木々の緑が美しい。
これで道は合っているか?京都の歴史ある街並み

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とるにたらない愛おしき日々たち

とるにたらない愛おしき日々たち

風が心地良くなってきて秋の気配が色濃くなってきた。

という話は以前も書いた。

今日も朝起きてみたら少しひんやりしていて夏用の布団が心地よかった。少し外を出ていなかった期間に涼しくなってしまったかもしれない、お気に入りの夏服がもうすぐ着られなくなってしまうかもしれない、と焦ってノースリーブのサマーニットを着た。

すると確かに風は心地よかったけれど、日差しは焼かれているかのように熱くて、まだまだ

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夏がゆく。

夏がゆく。

いつのまにか心地の良い風が吹き抜ける日が増えてきた。

ついこのあいだまで、家の中では窓を開けただけでもムシムシする暑さに耐えられなくて冷房が必須で、暑すぎてうっすい布団すら寝ている間に蹴飛ばして冷房が止まるたびに暑苦しさに目を覚ましていたというのに。
外を歩けば一瞬で汗が噴き出て強い日差しが肌に突き刺さり、比喩でなく、本当に肌が焼けるのではないかと、命の危機を感じる暑さだったというのに。

大学

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