親が子にしてあげられること
2020年7月12日
…目が覚める。
今、僕はどういう状況なんだ?
まだしっかりと目覚めていない頭を稼働させ、昨日のことを思い出してみる。
そうだ、昨日は病院に行って、妻のお腹にいたおこちゃんとお別れをした日だった。
その後、妻が麻酔の効果で大変なことになり、急遽車でバタバタと自宅に帰り…。
ここでようやくハッキリと昨日出来事を、僕は思い出した。
・・・・・
僕はレンタカーを返却し、電車で自宅に戻っている途中で、妻のお母さんから連絡をもらった。
『○○、だいぶ元気になったよ。とりあえず大丈夫そうだから、私は一旦帰るね。何かあったらまた連絡してね。』
忙しいはずなのに、色々と助けてもらった妻の母には感謝の言葉しかない。
しばらくして僕が家に戻ると、先ほどの様子よりも、だいぶ体調が回復した妻がいた。
やはり病院の先生が言っていたように、時間の経過と共に麻酔の効果が切れてきたらしい。
もちろんまだ布団に横になったままの姿だが、声がしっかりとしているので、元気ということが伝わる。
『…色々ありがとうね』
ヘロヘロの状態ながら、意識はしっかりとしているのが伝わる。
起き上がるのはつらそうだが、話すことはできるようなので、僕も隣に横になり、今までの出来事のことを話し合った。
その都度僕らは涙ぐみ、悲しい気持ちが胸をえぐる。
しかし、その中でも1つの区切りがついたことで、僕らの気持ちに少しだけ『変化』があった気がする。
それは親として、『おこちゃんを無事におそらに送ることができた』ということ。
もちろんそれは辛い決断だったし、本当に苦しい日々だった。
でもそれは、僕と妻。
僕ら『親』だけがしなければいけないことだったんだ。
『○○はママとして、本当によく頑張ってくれたよ。ありがとうね』
そう言う僕の涙腺は、とうに崩壊している。
その言葉を合図に、僕らは強く抱き締め合い、たくさんたくさん泣いていた。
それから僕らは泣きつかれて、そのまま深い眠りについてしまったのだ。
昨日の夕方から、おそらく12時間以上も寝てしまっていたのだろう。
何日ぶりだろうか、部屋の外からはオレンジ色の朝日が差し込んでいるのが見える…。
僕らは、親として唯一できることをやったんだ。
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