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味岡伸太郎の表現活動は、自然を主題にした美術、タイプフェイス、タイポグラフィを主にした…

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味岡伸太郎の表現活動は、自然を主題にした美術、タイプフェイス、タイポグラフィを主にしたグラフィックデザイン、建築デザイン、書、陶芸など多方面にわたるが、そのすべてを要素に編集長として美しい書籍を出版をしています。 彼が書き留めてきた “note”と一緒に出版物をご紹介します。

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    そう83号「切」 2024年6月10日発売

    叢 83号キーワード「切」---季節毎に年4回発行 季刊誌「そう」出版社のある愛知県の東三河エリア(静岡側)と、周辺地域にエリアをしぼり、この土地ならではの風土を感じる話題を集めていますこの雑誌の特徴は、エリアで絞った情報をさらに「漢字一文字」でしぼっていることそう 83号の漢字一文字は「切」三遠南信エリアから「切」のつく話題を集めた一冊です>>一切有情(切々・縁切・裏切・腹切畑・切地蔵・切支丹灯籠・切越八面塔)・痰切飴・切山の大杉・踏切・芋切・鎌切・切り餅・切り橋詳細:http://www.h-n-a-f.com/sou-hakkou-folda/sou83.html限られた地域の話題を漢字一文字で縛ると、ジャンルは多岐にわたり、表に出にくい話題にもスポットがあたります。ひとつ読み始めたらもうひとつ読んでみたくなる、読み増した後にはたぶん読み返したくなる。読んだ先まで興味を繋ぐ一冊です。自分の好みにとどまらない、知のきっかけを是非みつけてください。----叢 (そう) はくさむら草の根の生きた美しい文章を四季ごとにお届けします【 季刊発行 】 春 3月10日 夏 6月10日 秋 9月10日 冬 12月10日※ 送料無料で季節ごとにお届けしていますhttps://www.sou-online.com/subscription/※ ふるさと納税の返礼品としてもお取り寄せいただけますhttps://www.furusato-tax.jp/city/companies/23201/22519※ お住いのエリアに関わらずぜひ手におとりください
    ¥1,100
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    無人販売(山本典義写真集)

    「無人販売」は三遠南信地域を車で走れば、どこにでもある。珍しいものでも、カッコいいものでもない。しかし、その後ろには、かけがえのない風土が育んだ地域の文化と生活があった。田舎者ならではの視点は時空を超える。-----【 無人販売 】  山本典義写真集210×145mm(A5判横)/128頁(フルカラー)2024年1月11日発行http://www.h-n-a-f.com/book-etc/mujin/mujin.html
    ¥2,530
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    軽トラ182 の20-22(山本典義写真集)

    日本の良き景色を残した町や村には白い軽トラが良く似合う。写真家がカメラを向ければ必ずどこかに軽トラが潜んでいた。-----【 軽トラ182 の20-22 】  山本典義写真集210×145mm(A5判横)/128頁(フルカラー)2022年11月28日発行http://www.h-n-a-f.com/book-etc/keitora/keitora2022.html
    ¥2,530
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記事一覧

垂直考

細長い物体を垂直に立てる。それらの多くは自立しない。立つことはできても、その状態を長く保つことはできない。自立できないものをいかにして、垂直に立て、安定させるか…

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1か月前

一つの二股を持つ円柱の2等分

一本の枝を二つに割る。 それぞれ向きを変える。 次に同じような枝を四つに割る。 やはり、それぞれの向きを変える。 いずれの場合も頂点を結ぶと正方形になる。 それが…

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1か月前
1

二つの二叉による三つの支

行為はどこまで減ずることが可能だろうか。 思いを込める量と結果が比例するとは限らない。 二つの枝を手に取り、糸でくくる。 それでも、いつの日にか、 手に取った枝を…

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2か月前
1

組成 -System -

二物体間の万有引力は弾力の積に比例する 均衡する弾力と重力は交叉する 磁場は収束に反応する 石を支える枝を支える円 表面の体積は側面となる 引力は三角点に着地す…

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2か月前
4

無人駅[飯田線]

飯田線は豊橋駅と辰野の駅を結んでいる。 全JR路線中、収支ワースト三位という試算もある超ローカル線である。 駅数は起終点駅を含めて九十四。本誌「そう」が取材対象と…

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1年前

飯田線の駅案内標に残るノスタルジー

ホームの駅案内標の書体が目に入った。 漢字と欧文が豊橋出身の故林隆夫らによるサイン書体「JNR-L 1」である。 最近、私のJRの利用は殆どが新幹線に限られるため、駅案内…

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1年前
1

美を失うことで 我々は祭りを失う

季刊誌「そう」56号(2017年9月10日発行) 文: 味岡伸太郎 私は平成十二年に東栄町古戸の花祭りを取材し「神々の里の形」を上梓した。この本の主題は祭りを彩る様々な形の…

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1年前
2

折り紙から生まれた舞「神座」

私が演出と舞台衣装を担当した「神座」という舞踏がある。  この「神座」は、その頃、形が生み出される原理を学ぶために続けていた「折紙」による習作が元となっている。…

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1年前
1

「面白さ」をことさら求めるのは面白くない

「面白さ」をことさら求めるのは面白くない。しかし、結果として造形的な面白さがなくては「美術」とは言えない。と常々思っている。 分岐を立方体の内側に持つ12の線分 …

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1年前
1

Straight Line あるいは線庭

2012年、正月早々、「現代美術展 in とよはし」の準備に追われていた。 会場の豊橋市美術博物館が建つ、吉田城趾(豊橋公園)の一画には、その歴史を物語る石が多数残る。…

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1年前
2

Fig drawing

1978年制作の作品である。28歳、35年も前の制作だ。 別々に書いた、約60cm正方のパネル12枚を構成したもの。 長い間、バラバラで保存していたが、豊橋市美術博物館に収蔵…

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1年前
2

【味明】味岡伸太郎 見出し明朝体

明朝体考明朝体には特別な思いを抱いてきた  印刷物のデザインを通して、グラフィックデザインはコミュニケーションの手伝いをする。伝えなければならないメッセージは文…

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1年前

地方出版はブームか?

2010-07-14 このところ地方出版の現状についての取材が多い。 昨日も電話も含めて二つの取材を受けた。つい先日も、関西の新聞に私たちの出版社のことが掲載されていると…

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1年前
5

日本の文字・書体を創作する

2021年10月「日本の文字・書体を創作する」と題した講演会がフランス国立東洋言語文化研究所Inalco / Bulacによって開催され、味岡伸太郎がパネラーとして登壇した。 (講…

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1年前
7

支点と質量による「水平考」

二つの自然石を任意に置き、その頂点の高さが等しくなるように調整し、その上に鉄板を置く。頂点の位置が鉄板を等しく二分割していなければ、鉄板は傾く。そこで、鉄板が水…

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1年前
垂直考

垂直考

細長い物体を垂直に立てる。それらの多くは自立しない。立つことはできても、その状態を長く保つことはできない。自立できないものをいかにして、垂直に立て、安定させるか。

垂直に立てようとはしているが、そのことに格別な意味はない。そもそも垂直に立てることは目的ではない。それが水平であっても、また、それ以外でも、なんら支障はない。これまで同様に制作の都度、選択すればよいことである。しかし、その選択がなけれ

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一つの二股を持つ円柱の2等分

一つの二股を持つ円柱の2等分

一本の枝を二つに割る。
それぞれ向きを変える。
次に同じような枝を四つに割る。
やはり、それぞれの向きを変える。

いずれの場合も頂点を結ぶと正方形になる。

それがどうしたと言われても困るし、
くだらないと言われれば二の句はない。

美術家の心の中に美を創り出せる力が秘められていると、疑いもなく信じることのできた時代もあった。
人が自然を無制限に、あるいは反省もなく利用することが傲慢や思いあがり

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二つの二叉による三つの支

二つの二叉による三つの支

行為はどこまで減ずることが可能だろうか。
思いを込める量と結果が比例するとは限らない。
二つの枝を手に取り、糸でくくる。

それでも、いつの日にか、
手に取った枝をそのまま自信をもって、
そのまま提示してみたい。

俳句同人誌 景象(No.35) 表紙のことばより

組成 -System -

組成 -System -

二物体間の万有引力は弾力の積に比例する

均衡する弾力と重力は交叉する

磁場は収束に反応する

石を支える枝を支える円

表面の体積は側面となる

引力は三角点に着地する

交叉は直立する

直列する重心と支点は直交する

従属は螺旋を穿孔する

引力は落下を支える

等分は分割され順列となる

集積回路は交錯する

等分は並列する

1/2+1/4+1/8+1/16+1/32+1/32=1

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無人駅[飯田線]

無人駅[飯田線]

飯田線は豊橋駅と辰野の駅を結んでいる。
全JR路線中、収支ワースト三位という試算もある超ローカル線である。

駅数は起終点駅を含めて九十四。本誌「そう」が取材対象とする豊橋から天龍村間に限ると四十四駅。
その内、有人駅はたった七駅。無人駅は現在三十七駅に及ぶ。

開業時からの無人駅は、辰野方面から為栗、鶯巣、向市場、相月、早瀬、上市場、出馬、池場、柿平、江島の十駅を数える。
これらの駅はその後の過

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飯田線の駅案内標に残るノスタルジー

飯田線の駅案内標に残るノスタルジー

ホームの駅案内標の書体が目に入った。
漢字と欧文が豊橋出身の故林隆夫らによるサイン書体「JNR-L 1」である。

最近、私のJRの利用は殆どが新幹線に限られるため、駅案内標に使用されている書体は、ほぼ「ゴナ」や、「新ゴ」が使われていると思い込んでいた。

JNR-L 1

飯田線で見た「JNR-L 1」は、昭和五十五年ごろに、タイプディレクターに石川忠・佐野稔・林陸夫、デザイナー小芦重行によりデ

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美を失うことで 我々は祭りを失う

美を失うことで 我々は祭りを失う

季刊誌「そう」56号(2017年9月10日発行)
文: 味岡伸太郎

私は平成十二年に東栄町古戸の花祭りを取材し「神々の里の形」を上梓した。この本の主題は祭りを彩る様々な形の美しさだった。

「美」を求める人間の本能

花祭りの祭場は、「切り草」と呼ばれる色とりどりの和紙の切り紙で飾り立てられている。私の関心は、その「切り草」の美しさから始まったが、次第に、色や形という直接的なものだけでなく、祭り

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折り紙から生まれた舞「神座」

折り紙から生まれた舞「神座」

私が演出と舞台衣装を担当した「神座」という舞踏がある。

 この「神座」は、その頃、形が生み出される原理を学ぶために続けていた「折紙」による習作が元となっている。

 それは、四角い紙を無造作に潰したものをプレスし、台紙に定着させるというものである。元は黒い紙を使用したが、その内に、表裏で色の異なる紙を潰しだした。その結果を見ていると、歌舞伎の「暫」の一場面に見えてきた。

 そこから、布で正方形

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「面白さ」をことさら求めるのは面白くない

「面白さ」をことさら求めるのは面白くない

「面白さ」をことさら求めるのは面白くない。しかし、結果として造形的な面白さがなくては「美術」とは言えない。と常々思っている。

分岐を立方体の内側に持つ12の線分

そこで「一本の枝から枝分かれする細い枝を12本切り取る。
そして、切り取った部分から、それぞれ25センチメートルを残して再び切り取る。
25センチメートルの理由は、それぞれの枝に、枝分かれが必ず一つ残るように切るためである。
その枝を

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Straight Line あるいは線庭

Straight Line あるいは線庭

2012年、正月早々、「現代美術展 in とよはし」の準備に追われていた。

会場の豊橋市美術博物館が建つ、吉田城趾(豊橋公園)の一画には、その歴史を物語る石が多数残る。あるものは石垣の一部、兵舎の門扉と想像できる切石がある。どこで使われたのか蹲や、2頭のライオン像まである。それらを美術館の前庭から裏庭まで約100m、館の中心を貫き、一直線に並べようというプランの作品だ。

 芸術は自己表現である

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Fig drawing

Fig drawing

1978年制作の作品である。28歳、35年も前の制作だ。
別々に書いた、約60cm正方のパネル12枚を構成したもの。

長い間、バラバラで保存していたが、豊橋市美術博物館に収蔵されることになり、額装していただいた。美術を意識して制作しだした最初の作品である。

 「美術に係わることでデザインが大衆に迎合しない。デザインに係わることで美術が社会との接点を見失わずにすむ。美術とデザインの斜面が造る山の

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【味明】味岡伸太郎 見出し明朝体

【味明】味岡伸太郎 見出し明朝体

明朝体考明朝体には特別な思いを抱いてきた

 印刷物のデザインを通して、グラフィックデザインはコミュニケーションの手伝いをする。伝えなければならないメッセージは文字を使うことになる。文字とどのように関わるかは、デザイナーとしての生き方そのものである。

 私は、本文用はもちろんだが、特に見出し用の明朝体には特別な思いを抱いてきた。古い活字の時代の性質を生かした新しい見出し明朝体制作の歩みは、私のデ

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地方出版はブームか?

地方出版はブームか?

2010-07-14

このところ地方出版の現状についての取材が多い。
昨日も電話も含めて二つの取材を受けた。つい先日も、関西の新聞に私たちの出版社のことが掲載されているとの連絡を受けた。地方出版はどうやら、旬の話題のようだ。

 ベストセラーの本で取材を受けたいものだが、残念ながら、頑張っている地方出版の取材か、地方出版の危機についての取材ばかり。地方出版の本は売れないが、地方出版の身を削る頑張

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日本の文字・書体を創作する

日本の文字・書体を創作する

2021年10月「日本の文字・書体を創作する」と題した講演会がフランス国立東洋言語文化研究所Inalco / Bulacによって開催され、味岡伸太郎がパネラーとして登壇した。
(講演の草稿より抜粋)

演題「漢字仮名交じり文」と「仮名による日本語のタイプフェイスのファミリー」私は40年ほど前に、「小町・良寛」と名付けた仮名をデザインしましたが、専門のタイプフェイスデザイナーではありません。普段は、

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支点と質量による「水平考」

支点と質量による「水平考」

二つの自然石を任意に置き、その頂点の高さが等しくなるように調整し、その上に鉄板を置く。頂点の位置が鉄板を等しく二分割していなければ、鉄板は傾く。そこで、鉄板が水平となるように石を上に置く。

完成した作品はあたかも、鉄板と自然石のコンポジションに見えるだろう。

  私はコンポジションを「画面を構成する要素の量と位置とサイズを自由に変化させ、最終的には作者の目と感性によって、絶対的な量と位置とサイ

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