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折り紙から生まれた舞「神座」

私が演出と舞台衣装を担当した「神座」という舞踏がある。

VTRのタイトル

 この「神座」は、その頃、形が生み出される原理を学ぶために続けていた「折紙」による習作が元となっている。

 それは、四角い紙を無造作に潰したものをプレスし、台紙に定着させるというものである。元は黒い紙を使用したが、その内に、表裏で色の異なる紙を潰しだした。その結果を見ていると、歌舞伎の「暫」の一場面に見えてきた。

裏表色の違う色紙を折る

 そこから、布で正方形の袋を作り、それを衣装として、その中にダンサーが入って舞うという舞踏を思いついた。

 ダンサーは、始め袋の上部の切込みから、目だけ出し、次にそこから顔を出して舞う。折り紙のように、四角い袋を折り畳むように舞うのだ。その後、袋の中央にも切り込みがあり、そこからも顔を出して舞う。

ひとしきり舞ったら、中央に開けた切り込みから、顔だけでなく体全体を出す。その時、座布団カバーを裏返すように、袋は内外入れ替わる。すると、それまでの白と黒の衣裳が、赤と紫に、観客の目の前で一気に衣装が変わる。それまでとは一転して、華やかな四角の布を体に巻き付け、振りかざして、後半を舞う。

 この衣裳は、動きが制限される。その不自由さが、かえって、その衣裳ならではの動きを導き出してくれる。舞踊家は、メリハリのある動きで、一つ一つ型の美を創り出していく。

 「神座」は「かみくら」と読む。この頃から、母方の実家の東栄町で行われている「花祭り」などの民俗芸能に惹かれるようになった。それが、花祭りに取材した「神々の里の形」の執筆につながり。その後の、春夏秋冬叢書の設立となり、今に続いている。



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