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地方出版はブームか?

2010-07-14

このところ地方出版の現状についての取材が多い。
昨日も電話も含めて二つの取材を受けた。つい先日も、関西の新聞に私たちの出版社のことが掲載されているとの連絡を受けた。地方出版はどうやら、旬の話題のようだ。

 ベストセラーの本で取材を受けたいものだが、残念ながら、頑張っている地方出版の取材か、地方出版の危機についての取材ばかり。地方出版の本は売れないが、地方出版の身を削る頑張りと、明日をも知れぬ危機は売れるようである。

なぜ、地方出版なのか

 共通する質問は、何故地方を活動の舞台に選んだのか。なぜ、地方出版なのか。地方出版の展望についてノ
特別な理由などはない、人は好むと好まざるに関わらず、住む土地をえらばなくてはならない。選ぶ前に決められてしまう場合もある。
 その土地に住み、その土地で生きる以上、その土地にそって生きるしかないではないか。その土地で楽しく生きるために、その土地のことをもっと知る。知ったことを本として販売する。販売する以上たくさん売りたい。多くの人に知ってもらいたいからだ。しかし、売れることが目的ではない。それでは楽しめない。

 話が変わるが、彼らは我々に本当は何を聞きたかったのだろう。まさか、彼らも地方出版をやろうと考えている訳はない。それとも、どうせ売れもしないのに何故地方で本を出し続けるのか、という、冷ややかな興味からか。
 好意的に考えれば、広がる一方の中央と地方の格差、止まらない、過疎・少子化による地方の経済と文化の危機、地方出版をその象徴として見ようという、ジャーナリストとしての問いかけなのだろう。
 しかし、繁栄を極める中央に身をおき、中央の視点で物事を見ようとする姿勢で、危機の実態が把握できるのですかと、逆取材がしたくなる。と、皮肉を言っても何も解決しない。

 地方出版にありがちな、別の書籍ですでに書かれたことの寄せ集め。地方学者の生半可な知識。一夜漬けの準備と拙い取材。地域ナショナリズムの羅列。中央への憧れ。安易な田舎志向。粗雑な写真。未熟なデザイン。汚い印刷。地方であることに甘えてはこなかったか。
 地域の文化の成熟度を嘆いても始まらない。地域におもねず、中央に媚びず。よい本を作り、それを、読者に届ける努力を弛まず続けるしかない。

不足しているのは人材

 今はやりの地方分権でもっとも不足しているのは、権限でも予算でもない。それを実現するための人材なのだ。
 地方でありがちで怖いのは、己の力を過信すること。そして、安易に中央に頼ること。
中央の方法論は中央のもの、地方の問題の解決策は地方で作り出す。その人材も地方で育てなくてはならない。

オリジナルでインターナショナル

 真にローカルなものだけが、オリジナルでインターナショナルになる。地方の自立を目指すのではない、目標はインターナショナル。それには、全ての個がインターナショナルになるという、自覚と成長が必要となる。


地方でできることやらねばならぬこと

2022-02


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