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失われた読書のひと時を求めて 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

 こんにちは!
「noteの本屋さん」を目指している、おすすめの本を紹介しまくる人です!   
 
 わたしは学生時代にたくさんの本に出会い、少ない量ではありますが、ある程度の本は読んできたように思います。

 まず子どもの頃に島尾ミホと交流があったこと、作文は島尾敏雄を題材にで書き、中学時代はヘッセやカポーティー、サリンジャー、ワイルド、ヴェルヌ等の親しみやすい海外文学や、まだ直木賞を受賞する前の有川浩のライトノベルに熱中しました。

 高校に入ると、中上健次、安部公房、筒井康隆、桐野夏生、プルーストやドストエフスキー、G・ガルシア・マルケスを年代順に愛読していたように思います。特に『一九歳の地図』『メタボラ』『無知の涙』が大好きでした。

 そんな性分ですから、大学と大学院では日本文学に学びました。けれど、
その頃はどちらかというと、先行研究や理論書ばかり読んでいたと思います。

 それがどうしたことでしょう? 社会人になった途端にまったく本を読まなくなりました。書店や古書店には立ち寄らなくなり、キヨスクや空港の書店で、本を買うことが増えました。買ったとしても、星新一や松本清張の短編集ばかりでした。ただ単純に時間が無かったからです。

 また、大学時代に学んだカルスタやポストモダンの思想は、実社会を生き抜くためには棄てた方がいいと判断したこともあります。一方で、学生時代には欲しくても手の届かなかった高価な稀覯書の類を「日本の古本屋」で爆買いするなどの虚無的な行動に走りました。これは消費によってストレスを解消していたに過ぎません。

 このような方は現代社会において大勢いらっしゃると思われます。当たり前のことだとおもいます。だって、サラリーマンが通勤電車で『失われた時を求めて』を再読することは難しいでしょう。

 今回は前置きが長くなりましたが……

 記事で取りあげるのは、話題の三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』です。
 特に注目すべきは、現代社会で読書を楽しむための具体的なヒントが詰まっているです。
 彼女の提案を実践することで、日常の忙しさの中でも読書を楽しむ時間を作り出せるようになります!


三宅香帆について

 三宅香帆は、1994年生まれの高知県出身の書評家です。京都大学文学部を卒業後、大学院人間・環境学研究科博士課程に進学し、在学中に作家デビュー。現在はフリーランスとして書評やエッセイ執筆、インタビューなど幅広い活動をされています。

『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』『それを読むたび思い出す』などを執筆しており、読書に対する情熱は日本一かもしれません! noteもやられています。

こんなことが書いてある

筆者は文中でこのようにシンプルにこの本のことをまとめています。

"仕事と読書は両立できない?" この問いは、多くの人が抱えている悩みではないでしょうか。本書では、日本の労働と読書の歴史をひもとくことで、この悩みに答えていきたいと思います。

三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』より


主な内容は以下の3つ

  • 日本の労働と読書の歴史

  • 現代社会における労働と読書の課題

  • 読書を楽しむためのヒント

 ポイントを説明していきます。

  • 明治維新以降、日本では労働時間が長くなり、読書時間が減少

  • 現代社会では、スマホやSNSなどのメディアの影響で集中力が低下

  • 読書を楽しむためには、時間と環境を確保することが重要

  • おすすめの読書方法:スキマ時間活用、読書会への参加など

 もうすこし詳しくみていきましょう。まず読書の歴史について、簡単にまとめるとこのようなことが述べられています。

読書の歴史

  • 明治維新以降: 労働時間が長くなり、読書時間が減少

  • 大正時代: 讀書が娯楽として普及

  • 昭和時代: 戦争や高度経済成長期で読書時間が減少

  • 平成時代: 情報社会の発展で読書の形が多様化

 そして、現代社会における課題として、この三つをあげています。

現代社会の読書に対する課題

  • 長時間労働: 労働時間が長くなり、読書のための時間が確保できない

  • スマホやSNS: 読書に集中できない

  • 家事や育児: 読書する時間が取れない

 そんななかでも、わざわざ読書をするメリットは何でしょうか。筆者は、読書のメリットとしてはこんなことをあげています。

  • 知識や教養が身につく

  • 想像力や語彙力が増える

  • ストレス解消効果がある

  • 集中力が高まる

 当然といえば、当然のことばかりかもしれませんが、人間にとってもっとも重要なことばかり。それなのになぜ大人は本を読む時間を作れないのでしょうか……?

 いったいどう解決すればいいのかということですが、彼女は以下のようなことを本のなかで提案しています。

読書を楽しむためのヒント

  • スキマ時間を活用: 通勤時間や休憩時間などに読書する

  • 読書会に参加: 読書仲間と交流しながら読書を楽しむ

  • 好きなジャンルの本を選ぶ: 興味のある本を選ぶと、読書が続きやすい

  • 目標を決めて読む: 1日〇〇ページ読むなど、目標を決めて読む

  • 読書専用の時間を設ける: スマホやテレビなどをオフにして、読書に集中する時間を作る

  • 読書は生活の一部に取り入れる: 毎日少しずつでもいいので、読書を習慣にする

  • 読書は義務ではない: 楽しむことが大切

  • 自分に合った読書方法を見つける: いろいろ試してみて、自分に合った方法を見つける

 そのほかには、アプリやサイトを活用したり、オンラインだけでなく、図書館や書店に足を運ぶことも大切だということも書かれています。

まとめ

 この本は、現代社会における労働と読書の関係について、様々な角度から考察されています。読書のメリットや、現代社会における課題、読書を楽しむためのヒントなど、多くの学びを得られる1冊です。

 仕事や家事で忙しい現代人にとって、読書は難しいと感じるかもしれません。しかし、本書を読むことで、読書を楽しむためのヒントを見つけることができるでしょう。

 私自身、この本を読んで改めて読書の大切さに気づかされました。社会人になってから本を読む時間が激減した自分にとって、三宅香帆さんの提案はまさに目から鱗の内容でした。読書の時間を捻出するための具体的な方法が示されているので、実際に実践してみると、少しずつですが読書時間を確保できるようになりました。

 特にスキマ時間の活用や、読書会への参加は非常に効果的だと感じました。同じ悩みを持つ方々にとっても、この本は新たな発見と実践のためのガイドになるでしょう。
 読書を通じて得られる知識や教養、そしてリラックス効果を再び実感し、豊かな読書ライフを取り戻すために、ぜひこの本を手に取ってみてください。

労働と読書の両立を叶える魔法の1冊です!
仕事に忙殺される日々に、読書の喜びを取り戻しましょう!

【編集後記】
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