【展覧会レポ】川崎市藤子・F・不二雄ミュージアム「<好き>から生まれた藤子・F・不二雄のまんが世界」ほか
【約4,800文字、写真約45枚】
川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムに行き「<好き>から生まれた藤子・F・不二雄のまんが世界」などを鑑賞しました。展覧会とミュージアム全体のおすすめポイントについて感想を書きます。
▶︎結論
子供が大満足だったため、親としても大満足でした。楽しめる施設やフォトスポット、カフェなども充実しているため、休日のお出かけスポット、東京観光としても最適!これで大人1,000円はお得!展覧会では、ドラえもん制作の背景、F先生の考えもよく分かり、ドラえもんに対する興味も増しました。
▶︎訪問のきっかけ
今年、子供と初めてドラえもん映画を見に行きました。その後、何気なく「ドラえもんの美術館行きたい?」と聞いたところ「行きたい!!」とのことだったので、行くことにしました。
我が家ではテレビでドラえもんを数回しか見ていません。一般的な美術館に一緒に行く時は「触れるものがないならヤダ!」という子供が、川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム(以下、藤子ミュージアム)に行くことを毎日楽しみにしている様子を見ると、ドラえもんのすごさを実感しました。
▶︎アクセス
藤子ミュージアムは登戸駅から直通バスで約5分。登戸駅にはさまざまなドラえもんのイラストが施されているため、藤子ミュージアムに行く人はテンションが上がります。
藤子・F・不二雄(本名:藤本弘、以下:F先生)は、1961年に住まいを神奈川県川崎市に移し、1996年に亡くなるまで川崎市内に住んでいました。1999年に奥様から「藤本の作品を応援してくれた子どもたちへ恩返しをしたい」と川崎市に相談がありました。
そこで、ドラえもんの青色がコーポートレートカラーと似ていることから、小田急と企画が始まったそうです。2011年9月3日(ドラえもんの誕生日)、小田急の所有地に藤子ミュージアムがオープンしました。
F先生と「登戸」に何か深い縁はないようです。実際に、F先生が住んでいたのは生田駅付近だし、ドラえもんたちが住んでいるのは練馬です。たまたまミュージアムに適した土地(小田急向ヶ丘遊園ボウルの跡地)が登戸にあったということのようです。
▶︎川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムとは
コンセプトは「藤子・F・不二雄の"夢"と"ふしぎ"と"遊びゴコロ"に出会えるミュージアム」。2011年、F先生の作品世界やメッセージを、原画などを通じて、幅広い世代に伝えていく文化施設として誕生。建築は日本設計によるもの。
来場者に海外の方もたくさんいました。しかし、展示の説明は日本語のみ。海外の方はスマホでQRコードを読み取り(?)自国の言葉で説明を聞いていました。表記は日本語ばかりで分からないことも多いでしょうが、カフェやフォトスポットなど、楽しい思い出になることは間違いないと思いました。
建物は1階から3階建て。展示室は、1階の特別展示(常設)、2階の企画展示。そのほか、フォトスポットやカフェ、ミニシアターなどがあります。
▶︎特別展示「藤子・F・不二雄とドラえもん」感想
入館して最初の展示室です(常設展示)。ここでは主に、ドラえもんの1話から始まった連載から現在までが紹介されています。そのほか、漫画の描き方なども楽しく展示。
なお、展示室内はすべて撮影不可。しかし、期間限定で撮影可になることがあるそううです。また、驚いたことに鉛筆によるメモが一切禁止でした。一般的な美術館は、鉛筆のみメモ可能が大半です。鉛筆メモがダメという施設は、私にとって初めてでした。
私が鉛筆でノートにメモをしていると、看視員の方から「しまってください。傷付ける可能性のあるものはすべて禁止」とのことでした。HPやハンドアウトを見ても鉛筆が禁止とどこにも記載がありません。この点に関しては、不満でした😐
1970年、ドラえもんは「小学一年生〜四年生」(小学館)で連載が開始。ドラえもんの色が青になった理由は、当時の雑誌は背景が黄色、文字が赤色だったため、それに合わせる色は青しかなかったことらしいです。
また、当時の小学4年生の平均身長が129.3cmだったことから、ドラえもんの身長は129.3センチ、胸囲も129.3センチ、誕生日は2112年9月3日となりました。
TVアニメは1979年からスタート。F先生から制作への指示は「サザエさんの世界にSFを持ち込んで下さい」。そして、1980年から映画がスタート。1作目は「のび太の恐竜」でした。私は特に「のび太と雲の王国」「のび太とブリキの迷宮」を親と映画館で見たことを覚えています。
展示室内で、子供は楽しそうにキャプションを声に出して読んでいました。普段、美術館に一緒に行って見たことがない光景だったため、ドラえもんの偉大さに改めて感服しました😅
1996年、F先生は62歳で亡くなりました(若い…😢)。そして、2023年12月1日で生まれて90年目です。
▶︎企画展「藤子・F・不二雄 生誕90周年記念原画展"好き"から生まれた 藤子・F・不二雄のまんが世界」感想
2階の展示室では、F先生の好きだったものと、それが描き込まれた漫画を並列的に紹介。1階と違い、約4ヶ月ごとに展示原画が入れ替わり、約1年ごとに展示のテーマが変わるそうです。
「僕は、すべてにおいて"好き"であることを優先させてきました」とF先生。F先生は、手塚治虫先生の漫画、ディズニーのアニメーション映画、手作りの幻燈機、西部劇やSF映画、8ミリカメラ、クラシック音楽や落語、鉄道模型、UFOや未確認生物など…あらゆるものに興味津々でした。
それらをベースとして、ドラえもんを始めとするさまざまな漫画を描いています。そこからは、探究心、好奇心の大切さが素直に伝わってきました。
藤子ミュージアムに行った翌日、ドラえもん映画1作目「のび太の恐竜」をAmazonプライムで子供と見ました。劇中では恐竜、宇宙船、光線銃、時空移動の理論などが登場します。その背後にはF先生の「好き」が詰まった結果だったんだな、と思いました。「好き」を一人の趣味で終わらず、しっかりアウトプットまでできている点は見習うべきところがあります。
MITのエドガー・H・シャイン教授は「キャリア・アンカー」を提唱しました。1)自分はいったい何が得意なのか、2)自分は何をやりたいのか、3)何をやっている自分に意味や価値を感じるのか、これらが重なる部分が「向いている仕事」を考える上で重要だという考え方です。
「キャリア・アンカー」に基づくと、F先生が漫画家になったのはドンピシャだったと言えるのでしょう。
▶︎展覧会後のお楽しみ
藤子ミュージアムは「美術館」というより「お出かけスポット」という印象でした。家族、友人、デートなどに向いています。何か学びがあるというよりは、F先生の偉業を知り、楽しめる施設でした。
私たちは気付けば3時間以上も滞在していました。それで大人1,000円、子供500円ならコスパはよい、と思いました。しかも、子供は大満足でホクホクしていたので、親としても大満足でした。
以下、展覧会以外の主なお楽しみスポットです。
✔️きこりの泉
✔️まんがコーナー
✔️キッズスペース
✔️中庭、はらっぱ(フォトスペース)
✔️Fシアター
ドラえもんとのび太(ともに現在の声優)が、過去のF先生のキャラクター全員とワイワイする、ここでしか見られないお話。ディズニーの『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』的な内容でした。
✔️みんなのひろば
✔️ミュージアムカフェ
来場者の多くはカフェに行くため、入店までかなり混雑します。そのため、展示を見終わったら即、カフェで予約券を取ることをおすすめします。入店までの待ち時間が約1時間であれば、フォトスポットやミュージアムショップなどをウロウロしていれば、あっという間です。
▶︎まとめ
いかがだったでしょうか?美術館というよりお出かけスポットとしてガッツリ楽しめました。当たり前に存在するドラえもんについて、その成り立ちやF先生の考えを知ることで、ドラえもんに対する見方も良い方向に若干変わりました。東京観光にもぴったりです。ただ、場所が辺鄙、メモが禁止である点は難点です。
子供に感想を聞くと「ガチャガチャが楽しかったった。パンが美味しかった。アイスは乗ってない方が良かった」とのことでした。3時間色々歩き回って、結局ガチャガチャが良かったとは…。ガチャガチャに足を向けて寝られません😅
▶︎今日の美術館飯
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