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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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#読書記録

【読書】人生は痛いものだとしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこく

【読書】人生は痛いものだとしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこく

しつこくしつこくしつこくしつこく語りかける、花村萬月の「ハイドロサルファイト・コンク」を読んだぞ!
「なんでこの作品への賛否で世間は荒れ狂っていないんだ!」と思いながら読んだ。

血液のがんになった作者の体験をもとにした、フィクションと一応銘打った、ノンフィクションに見える小説。
もともとの血液に放射線をあびせて殺し、ほかの人の血液を輸血して入れ替える治療で、血液型が変わり、顔かたちが変わり、爪が

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龍が如く外伝とワンピースの前に、原点の「宝島」の宝は何だったのか読んでみた

龍が如く外伝とワンピースの前に、原点の「宝島」の宝は何だったのか読んでみた

ワンピースが終盤だったり、龍が如く外伝のテーマが海賊だったりするじゃないですか。
この手の話は「伝説の宝とはいったい何なんだ!?」ってナゾが重要だけど、そもそも最初の「海賊の宝の地図もの」の宝箱には何が入っていたのか。

原点を知りたくてスティーブンスン「宝島」を読んだ。同作者の「ジキルとハイド」は読めなかったけど、訳も新しくて少年の心で読めた。

原点じゃなかった。
この本以前にも海賊伝説は山ほ

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【読書】権力を持つ人はなんでもやる「ルナ・ゲートの彼方」

【読書】権力を持つ人はなんでもやる「ルナ・ゲートの彼方」

R・A・ハインライン「ルナ・ゲートの彼方」を読みました。

見た目で本を選んでいるので、この、あえて派手じゃない、といって古臭くもない、表紙が気に入った。

でも、amazonにはまた違ったテイストのカバーしか載ってない。美しいけど、本格派の難解なSFと似たタッチ。

新しいほうは「トライガン」の内藤泰弘によるもの。
小中学生から楽しめる「ジュブナイルSF」のシリーズなので、あえて少し昔の少年マン

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【読書記録】「笑う萬月」レコードからCD、万年筆からワープロにうつる時代の記憶

【読書記録】「笑う萬月」レコードからCD、万年筆からワープロにうつる時代の記憶

花村萬月「笑う萬月」を読みました。この人のエッセイはいくらでも読めるし、読むたびに痛い。
本人は文学について学んでいない。学校もほぼ行ってない。
なのに、バイクだ音楽だと青春を謳歌して、自分の才能とカンの鋭さでエグいぐらいもてて、暴力衝動や薬物中毒も全部作品に昇華させて作家として成功した。

花村作品は、才能というものの残酷さを思い知らされるから痛い。
直接そんなこと書いてないのに、
「お前、人生

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【読書日記】「三四郎・それから・門」

【読書日記】「三四郎・それから・門」

「それから」を読んだ。学校で「坊ちゃん」を勧められても読まなかった記憶があるのに、大人になって、自分で読みたいから自分で稼いだ金で文庫本を買って、1日2行しか進まない日もあるけど、少しづつ、自分で読みたいから読むことができた。

読書感想文でもない、作者の考えを読み取るでもない、ただ100年前の人の言葉使いとか、文章が好きだから読んだだけ。

この時代とは人生の長さも、きいてる音楽の速さも違うのに

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山本晋也カントクが何のカントクだったのかを知る。

山本晋也カントクが何のカントクだったのかを知る。

子供のころ、テレビで知的なポジションにいるけど何の人なのか分からない大人が大勢いた。

最近になって、YouTubeで山田五郎さんがこんな面白い人なのか!と知ったけど、みうらじゅんさんやソラミミストの安斎さん、ビートたけしの番組に出ていた芸術家のクマさんとか、一生何者か知らないまま終わってた可能性もある。

「トゥナイト2」という深夜番組で風俗レポーターとかをやっていた山本晋也カントクも謎だった。

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「台北プライベートアイ」紙で台湾を歩こう

「台北プライベートアイ」紙で台湾を歩こう

連続殺人犯のターゲットにされた主人公が、厄落としの豚足入り素麺を1日に2回食わされるアジアン・ハードボイルド。
「ソウ」を観て震え上がるとか、かあちゃんは気も強いが麻雀も強いみたいな、ミステリーと全然関係ないことにページを割いてて最高だった。
ページ折り癖も付箋もあるし風呂でも読んだ。1週間ぐらい心は十年以上前の台湾に住んでた。

主人公は口を開けば不平不満が止まらない反面、演劇に関わって読書家の

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【読書】「木挽町のあだ討ち」怒涛の伏線殺法!

【読書】「木挽町のあだ討ち」怒涛の伏線殺法!

女物の衣装をまとった武士、菊之助が父のかたきと称して大柄な博徒、作兵衛を斬った。

かたき討ちの現場にいた5人の目撃者が、それぞれの出自と菊之助について語る。

爽快な時代小説かと思ったらこんな挑戦的な作品か!

全編がインタビューみたいな読者への語り掛け形式で、話が前に進まず、回想で過去が明らかになっていくから、軽快ではない。

ゆったりゆったりスロースタートで、3人目でアクセルがかかってきて、

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【読書日記】映画より先に「2001年宇宙の旅」を読むぜいたく

【読書日記】映画より先に「2001年宇宙の旅」を読むぜいたく

5月は体調崩した方の報告が多かった。俺もお前もアイツも俺もみんな、ノド枯らしたり入院したりしていた。
みんな大丈夫か!生きているのか!じゃあ良かった!

SF小説を読める元気がもどったので、ついにこれを読む。

映画は猿の集団の前にモノリスが出現する場面しか知らない。ネタバレなしで読めるぜいたくを噛みしめる。

猿人たちの前に突然現れたモノリス。
猿たちはまず、植物のように生えてきたものかと考える

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海外のさんざんな体験談、なんぼあってもいいですからね

海外のさんざんな体験談、なんぼあってもいいですからね

本を買っても最後まで読みきれない状態だったけど「地図と拳」「バッタを倒すぜアフリカへ」の分厚い2冊が一気に面白く読めた。
ちゃんと面白いものを集中できる場所に持ってけば読めるんだ。嬉しい。ゲームへの興味は以前より薄いままだけど。

ところで、最近面白かった動画は、元芸人のレンタルぶさいくという方が、フィリピンに就職してめちゃくちゃな目に遭う話。

「バッタを倒すぜアフリカへ」の中にも、作者がモーリ

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【読書日記】高橋源一郎「だいたい夫が先に死ぬ」 読みたいものと読んでたものが次々出てくる

【読書日記】高橋源一郎「だいたい夫が先に死ぬ」 読みたいものと読んでたものが次々出てくる

高橋源一郎というおいちゃんが、タモリさんや黒柳徹子のように、文学界にずっといてくれるような気がする。

はじめて名前を知ったのは文藝賞の審査員のひとりだったときで、ぼくはまだそれが「選評」とも意識しないで読んでいた。

忘れもしない。
山崎ナオコーラのデビュー作「人のセックスを笑うな」を大賞に選んだときのことで、中身を読む前にペンネームとタイトルだけでその素晴らしさに衝撃を受けて、しばらく読まずに

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「バッタを倒すぜアフリカで」買って風呂だ

「バッタを倒すぜアフリカで」買って風呂だ

深夜のおやつに罪悪感を感じたことはないけど、無駄な休日の使い方に罪悪感がある。

こどもの頃の休みの日は、全部おいしいごちそうのようなもので、起きた瞬間から楽しさしかなかった。

大人になってから、休みの日の無駄使いに罪悪感をおぼえるようになった。

平日と違う場所に行く。初めての映画や料理などを知る。友人などと触れ合うなど、有意義っぽいことをしないと、夜に憂鬱になる。

仕事の日に体が疲れて、休

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【読書】タイトルの由来が驚きの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

【読書】タイトルの由来が驚きの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

聞いたことはあるけど内容は知らない話を読むシリーズ。(以前には蠅の王やフランケンシュタインなど読みました)

なんとなく、「郵便配達員が旦那のいない時間に来て奥さんと不倫する話」かと思っていた。
なぜ不倫に関する話なのかは知っていたのか謎でそれは当たってたんだけど、郵便配達員ではなかった。

ストーリー序盤の男女がくっつくまでが、島耕作ぐらいのテンポ感ですすむ。
犯罪歴があってろくでなしの男と、な

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西村亨「自分以外全員他人」で人生からドロップアウトしたくなった思春期に戻る

西村亨「自分以外全員他人」で人生からドロップアウトしたくなった思春期に戻る

たぶんですけど、みんな意味もなく人生からドロップアウトしたいと思った日々があったはず。あっても口にしないだけ。何度も人生が無意味だと思った日があるはず。
年齢を重ねて「しんどいこともあるけど、見たいところも好きな人もいるしボチボチ生きていこう」とか思いながら生きているうちに、若いころの憂鬱なんてなくなって長生きを望むようになるもんだと思う。

「自分以外全員他人」は、若いころからうっすら死にたい気

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