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#243「ビジネス頭の体操」 今週前半のケーススタディ(3月15日〜3月17日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


3月15日(月) 二極化が加速する1.4兆円の靴市場!?

日本靴連盟が1932(昭和7)年に制定した「靴の日」または「靴の記念日」です。

1870年(明治3年)のこの日、実業家・西村勝三が、東京・築地入船町に日本初の西洋靴の工場「伊勢勝造靴場」を開設したことに因んでいます。

靴。
最近では、靴大手のリーガルコーポレーションが経営不振から百名の希望退職者を募ることがニュースになっていましたが、やはりステイホームの影響もあり売上は落ち込んでいるのでしょうか?


まず、2000年からの靴(履物)の市場規模の推移をみてみましょう(出典:矢野経済研究所)。

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市場全体では2018年の実績で1兆3,680億円。2000年から見るとほぼ横ばいか、微減という傾向です。

内訳を見ると、紳士靴と婦人靴は減少傾向である一方、スポーツ/カジュアルシューズは伸びていることがわかります。

実際、革靴の出荷額と事業所数の長期推移データを見ると、ピークである1991年と2017年とを比べると、出荷額で8割、事業所数で7割減少しています(出典:経済産業省「履物産業を巡る最近の動向」)。

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市場のペース以上に減少しているのは、輸入品の割合が増えていることが理由です。
1998年には2割強だった輸入品の割合は、2017年には6割近くになっています(下図:出典同)。

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では、直近の状況はどうなっているでしょうか?

同じ統計ではまだデータが見つからなかったのですが、革靴は先ほどのリーガルのニュースでも分かる通り、落ち込んでいます。

では、スポーツシューズはどうでしょうか?

スポーツシューズ・アパレル市場情報サービスを提供するエヌピーディー・ジャパンが公表している、2018年10月〜2019年9月と2019年10月〜2020年9月との比較は以下の通りマイナス8%となっています。

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中でもスポーツ用シューズは14%減と大きな減少である一方、カジュアル用シューズは1%の微減、と影響がほぼないことが分かります。

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特に、年齢別では、25-34才で18%増となっています。

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これについて、同社は以下のように分析しています。

集団スポーツなどを実施することが難しくなってきている状況下では、日常的により動きやすい服装や靴を履いて、スポーツとまではいかないにせよ、健康のために体を動かす、などの消費者の行動が増えていることが分かります。特にその成長著しい25-34才といった年齢層については、在宅ワークなどの合間での散歩やちょっとした買い物には、快適に歩けるスポーツシューズのニーズが高いというわけです。

最後に、靴業界のIoTの取り組み事例をご紹介します。
経済産業省「履物産業を巡る最近の動向」より)

・3D計測器による精密な足形計測データを活用、消費者の足に合う快適な靴をセミオーダーで提供。
・画像解析技術の進展により消費者がスマホで簡単に足の計測を行うことができ、店頭での試着なしにオンラインで足のサイズにあった靴選びが可能に。
・センサー技術の活用により、歩行やランニングのデータを自動計測し、フォームの改善や疾病予防に役立てる等の機能を付加。

→感染症により様々な業界で起こった、変化の加速が靴業界でもあるようだ。靴は今後、顧客のどのようなニーズを、どのような製品、サービスによって、売上に繋げていくことになるだろう?


3月16日(火) ミドルはツライよ…どこまでも!?

大阪府大阪市中央区に本社を置き、男性用化粧品のトップメーカーとして知られる株式会社マンダムが2011年(平成23年)に制定した「ミドルの日」です。

「ミ(3)ドル(16)」と読む語呂合わせが由来です。

ミドル。
分かるような、分からないような…
これは、言い出しっぺのマンダムさんに聞いてみましょう。
と思って同社のHPを見たところ、なんと、「40代ミドル男性白書」なるものを作っていらっしゃいました。

最新版の2019年の同白書を紹介します。

まず、「ミドルの日」制定の背景について。

マンダムが展開する「ルシード」は、「40才からを語ろう」をブランドメッセージに、ミドル男性をサポートするとともに、3月16日を「ミドルの日」と制定することで、彼らを力強く応援してまいりました。

なるほど。私も40代なので対象ですね。ミドル…

まず、「40代ミドル男性の意識」、として、1ヶ月のお小遣い(平均36,282円)やら子供の出費を優先させている、やら、「飲みニケーション」は減少している、などのアンケート結果が紹介されています。

次に、「40代ミドル男性の価値観」、として、「かっこいい男性のイメージは、1位「男らしい」、2位「クールな」、3位「落ち着いている」」「おじさん」は「44.3才から」といったアンケート結果が紹介されています。

ご興味がありましたら40代ミドル男性白書2019をご覧いただくとして、1つだけご紹介します。

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40代からは、「精神的に強い」がトップになって、「仕事ができる」はランク外、そして、2位も20代、30代にはない、「誠実な」が入っているところが興味深いです。
いろいろ諦めたり、結局は誠実が一番、とか、いろいろあったんでしょうか…


さて、これだけではマンダンさんの宣伝(効果ほぼないですが)で終わってしまいますので、現在の40代といえば、「団塊ジュニア」(1971年から74年生まれ)ということで、この世代の日本における位置付け、を厚生労働省の資料からご紹介したいと思います。

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2025年には「団塊ジュニア」が50代に。
1人の65歳以上を1.8人の現役(20〜64歳)で支える構図になります。

そして、2040年。「団塊ジュニア」が60代後半に。
彼らの親世代である団塊の世代が減ることにより、日本人の中で最も多い年代になります。少子高齢化が一目瞭然、ですね。
この頃になると、1人の65歳以上を1.4人の現役が支えることになります。

この、支える、の意味ですが、公的年金は、自分が払った掛金を自分で年金としてもらう仕組みではなく、現役世代が今支払っている掛金を年金として今の高齢者に支払う、という「世代間扶養」という仕組みになっているので重要な数字なのです。

…眺めていると、辛くなりますね。

→少子高齢化は労働力の減少、市場の減少など、様々な影響がある。今後、数年間でも起こる変化はいろいろあると思われるが、具体的に自分にとってどのような影響が考えられるだろうか?


3月17日(水) 成長する「減塩・無塩食品市場」

高血圧並びにこれに関する諸分野の学術進歩向上と国民の健康増進を目指す特定非営利活動法人・日本高血圧学会が制定した「減塩の日」(毎月17日)

日付は世界高血圧連盟が制定した「世界高血圧デー」(World Hypertension Day)、日本高血圧学会が制定した「高血圧の日」の5月17日の17日が由来です。

3月17日が記念日で適当なものがなく、今回は毎月17日が記念日となる減塩、を取り上げてみました。

「塩の日」というのは別(1月11日)にありまして、過去に以下で紹介しました。

意外にも塩の用途は食用が1割に過ぎず、しかも工業用の塩は圧倒的に輸入に頼っている、という市場でした。

今回は減塩。
確かに「減塩」を大きくパッケージに表示した商品、目につきますね。
富士経済グループによると、減塩・無塩食品の市場規模は、2018年1,357億円、2019年は2.7%増の1,393億円、さらに2020年は1,400億円を超えることが見込まれています(下図)。

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この背景として、塩分のとり過ぎが高血圧につながること(もともと今回の「減塩の日」もそれを是正することが狙いです)が浸透し、消費者が減塩、無塩を意識するようになったことがあります。

消費者庁の資料では、長年の食塩のとりすぎが高血圧につながることを35歳からの食塩摂取量が7gと14gとの場合とを比べ血圧との関係を示しています(下図)。やはり高い相関関係が見られます。

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さらに2020年には厚生労働省が取りまとめた「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が公表され、食塩の目標摂取量が引き下げられました。

目標はWHOのガイドラインが5g/日未満のところ、10g/日未満となっています。

つまり、、です。

2020年の同基準の食塩摂取量の目標値は、以下の考え方で決めていると書かれています。

目標値を5g/日未満とするのは、実施可能性の観点から適切ではない。そこで、実施可能性を考慮し、5g/日と平成28年国民健康・栄養調査における摂取量の中央値との中間値をとり、この値未満を成人の目標量とした。

つまり、乖離がありすぎるので、間を取った、ということです。

その表がこちらで、目標は成人で7.5g/日未満になっています。
(A欄がWHO、B欄が実際、C欄がAとBの間、D欄が新目標値

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とはいえ、日本だけ高いのか、というと、実は世界的にも5gを満たしているところは少ないようです。

少し古いデータになるのですが、2010年の推計値がありましたのでご紹介します(「世界各国の塩摂取量」たばこ塩産業)。

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いずれにしても、高血圧などにつながる塩分のとり過ぎには気をつけたいところですが、最後に、日本人はどのような食品から食塩を摂取しているのか、というデータをご紹介します。

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→減塩・無塩食品のマーケットは成長している。糖質オフやカロリーオフといったマーケットも伸びている。こうした、我慢は不要で使うものを変えるだけでよい、というマーケット、食品以外にもあるだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

一つでも頭の体操になるものがあれば嬉しいです。

毎回、月曜日から金曜日までの5日分を一度に投稿していたのですが、月曜日から水曜日の3日分を日曜日に、木曜日と金曜日の2日分を水曜日に投稿となっています。ちょっと5日分を一気に作るのが難しくなってきました…

昨年7月から同様の投稿をしています。かなり溜まってきました。

へぇ〜というものが必ずあると思いますのでご興味とお時間があれば過去分もご覧ください。


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