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ルソーライフ
2023年2月28日 23:44
過去17回にわたって本ノートでご紹介してきた『社会契約論』の「1分」シリーズです。言わずと知れたルソー主著。ぜひ本当は過去の連載記事すべてに目を通していただきたいところですが、まずはこの記事から理解していただけたら幸いです。社会契約って何?さて、『社会契約論』は何について書かれている本なのでしょうか。読んで字のごとく、社会契約について論じている本です。・・・とはいうけれど、これでは
2022年3月20日 18:49
これまで、本編を14回、号外を2回と、計16回もの間にわたって『社会契約論』を読んできました。いよいよ今回が最終回です。さっそく内容を読みましょう。本題に入る前に この「市民宗教について」と題された章は、事実上、『社会契約論』の最終章といって良い位置づけになっています。厳密に言えば、「結論」と題された章がこの次に続きますから、最終章ではないのですが、そうした形式的な意味ではなく、この章の内容
2022年3月11日 18:26
さて、今回で第三篇も終わりです。さっそく読んでいきます。従来の社会契約説との違い 市民は、「すべての人がなすべきことを、すべての人が命令することができる」といいます。ここで言われる権利とは、まさしく、主権者が政府を設立するにあたって統治者に与える権利のことであって、すなわち「執行権」です。(執行権について詳しくはコチラ) しかし、この「執行権」をめぐって、ルソー以前の社会契約論者と
2022年3月6日 23:20
今回は、「主権を維持する」ということについて、解説をしていきます。第三篇第十二章以降の議論です。人民集会 主権者は、立法権以外になんらの力も持ちません。法によってしか行動できないのです。また、法とは、一般意志の真正の行為以外の何ものでもありません。なので、主権者は、人民が集会したとき以外は主権者として行動しえません。この「人民集会」についての議論は、この『社会契約論』のなかでものすごく重要な
2022年2月27日 10:35
今回は、第三篇第八章から。以前紹介したことがある引用から始めます。「絶対的」ではありえない 政府は、これが最善の政府だ、というような形態は実は存在しない、と言うことがここで言われています。 しかし、前回の記事で、民主政、貴族政、君主政の三つのうち、選挙による貴族政が「最良だ」と言っていたではないか、と思われる方もいるかもしれません。鋭い。でも、まだ甘い。ルソーは、「良い」とか「悪い」とい
2022年2月26日 14:11
ついに10回目になったこの連載記事も、おかげさまで大変評判がよく、ありがたい限りです。いつも読んでくださって本当にありがとうございます。特に、前回の第9回は、とても難しい内容でした。今回以降も、何とか頑張ってついてきてくださいね。(他力本願) 今回は、第三篇第三章以降を扱います。政府の分類 ルソーは、政府の形態を、民主政、貴族政、君主政(王政)の三つに分類します。以下に、定義を列挙します
2022年2月23日 10:08
以前書いた記事の中で、とあるコメントをいただきました。そのコメントは、「ルソーにおいて「執行権」という概念はあるのか?」という内容。 こうして私の書いた記事にコメントを頂けるだなんて・・・と嬉しく思っています。と同時に、いただいたコメントが上記のような「質問」でしたので、今回はその質問に対して、私の知りうる限りでお答えする、という回にしたいと思います。 いつも記事を読んでくださっている方々
2022年2月21日 14:56
前回の記事で、『社会契約論』第二篇第十一章が「美しい」という話をしました。今回は、なぜあの引用箇所が「美しい」のか、を見ていくことにします。前回の記事はこちら というのも、前回、と言ってルソーの引用をしたのですが、その引用直後に、とまさかの「説明なし」のまま、ただ美しさを讃美するだけで終わっていたからなのです。今回は、しっかり説明します。美しいルソーの文章・・・ね。美しいでし
2022年2月20日 18:21
今回は第二篇第十一章から。第十一章 立法のさまざまな体系について ルソーの『社会契約論』を解説するこのシリーズ。・・・ですが、この章だけは解説しません!! この章は、解説してはいけないのです。(なんでやねん) そう、あまりにも美しい文章なのです。だから、私の拙い解説は「邪魔」です。彼の文章の美しさに、私の解説を釣合わせることは到底できません。ということで、ぜひここだけでもいいので、『
2022年2月19日 22:57
今回の記事では、第二篇第八章以降を扱います。この第八章、次の第九章、そしてさらに第十章は、いずれも「人民について」という同じ章立てで構成されています。まず、ルソーはこんな風に言います。人民についてというのも、建築家と同様、法律を制定する際にも、それ自体として申し分ない完璧な法律を編纂することから始めるのではなく、あらかじめそれを与えようとしている人民が、それを支えるに相応しいかどうか吟味する
2022年2月18日 20:39
続々と更新中の『社会契約論』読解の記事。ついに第六弾です。おかげさまで、特に第三弾が好評を博しています。ぜひ読んでみてください。<<< 第三弾はこちらから >>> さて今回は、こんなショッキング(?)な言葉から始めることにします。死ななければならない いかがでしょうか。驚きませんか? 自由の国フランスのルソーともあろう人が、民主主義の父のようなルソーともあろう人が、こんなことを言って
2022年2月6日 18:09
前回の記事では、以下の2点が明らかにされました。今回は、この二つをふまえてさらに明らかになることを、まずはじめに紹介することから始めます。一般意志は常に正しい しかし、ここにはある問題があります。その問題とは、たとえ一般意志が常に正しいとしても、人民の議決が常に同じように公正であるということにはならない、という問題です。なぜ、このような矛盾が起こるのでしょうか。それは、「人はつねに自分の
2022年2月1日 07:51
今回からは第二篇です。さっそくどんどん読んでいきます。 今回は、民主主義の提唱者ルソーの思想の核心に迫る、まさに「神回」です(自分で言うんかい)。第一篇のおさらい まず、第一篇で語られた「社会契約」について、いま一度確認しておきましょう。主権は「譲渡できない」 さて、これまでの議論から導き出されることを、ルソーは次のように語ります。国家はそもそも、公共の福祉を目指して設立されたも
2022年1月25日 17:27
大好評(?)の読解企画。『社会契約論』の第三弾です。 今日はとても重要な箇所で、実は、以前別の記事で該当箇所を紹介したことがあります。良かったらそちらの記事もご覧ください。これまでのおさらい 統治の正当性の解明を目指した『社会契約論』は、本論に入る前に、第二章で「父権」を、第三章で「最強者の権利」を、第四章で「奴隷権」を、それぞれ批判したのでした。社会契約とは何か 上の「これまでのお