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学びて習う、学びて富む ―悠久の賢者たちとの終わりなき対話―

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机を挟んで賢者と交わす一回の対話は、 一ヶ月かけて本を読むのと同じ価値がある。  ――古代中国の格言   文明開化の時代、福沢諭吉は世界人の素養たる実学の重要性を説き「学びて富… もっと読む
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2023年11月の記事一覧

【プライム会員なら無料で読める】Amazon prime reading読書記録4

【プライム会員なら無料で読める】Amazon prime reading読書記録4

みなさんは普段本を読みますか?

私はこれまで30年近く本を読まない人生でしたが、Amazon Prime Readingの存在を知ってから簡単に読めるビジネス書を読むようになりました。

完全に食わず(読まず)嫌いでしたが、世の中にあふれるビジネス書というのは活字が苦手な人にも読めるようにできているんですね。それぐらいサクサク読めるような本ばかりです。ということで、今回もここ最近読んだ本を超ざっ

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体験欠乏症

「お金もらうわけにいかないし、晩飯だけ食べさせて」という約束で家庭教師をしていたことがある。指導することになったその子の状況について、家族全員に説明していたところ、その子の妹が不思議そうに「なんで文章みたいに話せるの?」と聞いてきた。

その家族の会話は、ほとんど単語で終わっていた。「ねえ、○○は?」「おい、△△しろ」その場の状況から察することができるから、単語で事足りる生活をしていた。状況から察

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「子どもの発見」ならぬ「大人の発見」

ルソーは、子どもが大人とは全く異なる存在であることを発見し、子どもは子どもに適した接し方をすべきであるという、「子どもの発見」をしたことで知られる。でも私は、もしかしたら「大人の発見」をせねばならないのではないか、という気がする。

私が最初に書いた本は部下育成本だから、すでに大人になった部下の育て方を論じたものだけれど、その書評に興味深いものがある。明らかに新しい指導法なんだけど、どこかで見たこ

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「情報を抱え込む」から「情報を捨てる」へ

「勉強できない子」は複雑に考えすぎてこんがらがってる、ということを指摘したらえらくバズったけど、実は私自身がそうした子どもだった。「太郎君は徒歩で、花子さんは自転車で駅に向かった」という文章題を読むと、「なんで花子さんは太郎君を乗せて上げんかったん?二人乗りアカンから?」

計算をする際、太郎君や花子さんであるという重要な情報も捨てずに活用しなければ。徒歩であるというのと、自転車でというのも大事な

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スポーツも学ぶことも、楽しめばよい

アメフトの監督が、選手に命じて相手チームの選手を意図的にケガさせるような行為を働いた事件があった。その直後、命じられた選手は慟哭してる様子が映されていた。本来、楽しいから始めたはずのスポーツなのに、勝つためなら望まぬことにも手を染める、倒錯した世界に。実におかしな話。

それが勝負の世界だ、とされてきた。勝つためなら汚い手段でもとらねばならない、とまでいう人も。でも、そんなスポーツ界に衝撃を与える

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野菜で儲かるのは国の豊かさの証

「野菜作る農家は昔、貧乏だったんだ」と、先輩研究者の話が忘れられない。どうやらそれは本当のようで、「このあたりは水がないものだからコメが作れず、貧しかったんだ」と、高齢の農家の方から話を聞いたりした。昔はコメが作れず、野菜しか育てられない農家は、貧しさにあえぐしかなかった。

コメを作るより野菜を育てた方が儲かる、というのは、比較的最近のこと。2003年に野菜の生産額がコメを上回った。それ以来ずっ

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ありもしないものを存在するかのように錯覚させる「言葉」

昔、燃えるという現象を説明するのにフロギストン(燃素)という物質がある、と信じられていた。その後、酸素が見つかり、燃える(燃焼)という現象は酸素と激しく反応することだとわかるまで、かなり長らく信じられてきたらしい。今となっては、ありもしないものをあるかのように信じてた事例。

このように、言葉が生まれるとあたかもそれが存在するかのように受けとってしまう仕組みが人間にはあるらしい。一見科学的で合理的

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分かりやすい説明とは、相手に合わせて言葉を選ぶこと

わかりやすく説明するスキルは、専門用語のような難しい言葉をかみ砕くことか、というご指摘を頂いた。それで気がついたけど、「なんか違う」。難しい言葉を日常用語に置き換えたらわかりやすいかというと、そうでもない。ではどうすればよいのか。

昔の「朝まで生テレビ」で、客席から意見を聞くことになり、東大生と名乗る学生が意見を言った。が、それはまさに新聞か週刊誌で読んできたような、他人の意見のコピペと感じさせ

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専門用語は圧縮ファイル

私の書くようなことはすでに先人が書いてる、という指摘を受けた。その通りだと思う。ではその先人を紹介したら読むかというと、それは難しいと思う。だって昔の人の言葉遣いって、小難しいから。
私は、人間の賢さと学歴は関係ないと考えている。ただし。

学歴が進むにつれ小難しい表現に慣れる人が増える。しかし小難しい表現に慣れれば賢くなるのかといえばさにあらず。生きていること、五感や体験と、小難しい言葉が指し示

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見栄を捨てなきゃ言語化は難しい

言語化する上で、恐らく大切なこと。
「かっこいいこと言ってやろう」
「美しい言葉を紡いでやろう」
「ため息つくような感動的な言葉を発してやろう」
というのを、全部諦めること。ひたすら泥臭く、心にストンと落ち込む、自分の身体にピタッとくる言葉を探すこと。見つかるまで泥臭く。

かっこいい言葉、美しい言葉、感動的な言葉を吐こうとすると、それは「言語化」にならない。ただカッコ良さそうな言葉を借りてくるだ

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物わかりが悪いから言語化が上達する?

ツイッターをやっていて「言語化がうまい」とほめられることが増えた。ただ、不思議な気分。「物分かりが悪いだけなのに」と思っているから。物わかりが悪いから、自分に理解できるように言葉をかみ砕かなきゃいけない。かみ砕いた言葉が「言語化」ということになるらしい。

頭脳明晰な人が案外、言語化苦手なことがある。難しい言葉ばかり使って、それをかみ砕くことができない。「分からないからかみ砕いて説明して」と頼んで

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「気づき」は才能の有無で決まるのか?

「気づきが得られるのは才能があるから」というご意見を頂いた。私はそうは思わない。私自身、気づきやひらめきといったものからとても遠い存在で、気づきが全然得られないことにずっと苦しんできた人間だからだ。だから気づきがどんどん得られる人が羨ましくて仕方なかった。

小学生の頃、学校の課題で版画をやことになり、木の板を彫っていた。それを見た弟が「自分も板が欲しい」と言って、私の彫刻刀を借りて何かを削ってい

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