福永光一:人生100年時代ずっと現役コンサルタント

コンピュータ・サイエンス研究者、コンサルファーム・パートナー、ビジネススクール客員教授…

福永光一:人生100年時代ずっと現役コンサルタント

コンピュータ・サイエンス研究者、コンサルファーム・パートナー、ビジネススクール客員教授→中小企業を承継する投資持株会社取締役CTO→今は、クライアント企業の大幅業績向上の実体験をもとに、人生100年時代を信頼されつつ稼ぎ続けようとする中高年独立コンサルタントのコミュニティをリード

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集団主義(安心社会)からの脱出が難しい理由:信頼概念についての誤解と対策

ここまで、崩壊しつつある日本企業の集団主義(安心社会)に安住していると、新たな職を見つけることが難しくなると論じてきた。さらに、安心社会は長続きしそうにないこと…

日本企業の集団主義(=安心社会)は続くのか?

ここまでの議論で、集団主義のもとにある安心社会に浸った考え方をしていることは、新たな職を求めるのに有利ではなさそうなことは分かる。 とは言え、日本社会では安心社…

集団主義の本質の「安心」から離れて職探しするには準備が要る

前回、日本企業の集団主義に安住していると定年後のビジネス活動継続が難しくなると書いた。今回は、その根本原因を考えてみよう。 SNSが教える集団主義の人見知り筆者が…

アンラーンすべきは集団主義。それに馴染むと、定年時に外に出ることが難しくなる

定年時に必要となるアンラーンのやり方について、3回続けて説明したので、ここからは何をアンラーンするか、その内容の話に移ることにする。 今回は、アンラーニングで最…

異なる世界の疑似体験でアンラーニングを促すリベラルアーツ

定年後というロールモデルが少ない状況では、それまでの世界で身につけた習慣を自分でアンラーニングすることが必要だが、それが難しい。 その理由は、アンラーンではまず…

アンラーニングで必要な自分の「枠」の外に出ること

前回、定年後というロールモデルが少ない状況ではアンラーニングが必要で、それがどういうものかを説明した。次は、そのアンラーニングをどう実行すれば良いかである。 現…

定年後のロール・モデルがいない時に必要な技術: アンラーニング

定年時にロール・モデルがいないために、ぶつかる問題定年後に働く場合、たとえ同じ職場に再雇用される場合でも、それまでとはガラッと変わった処遇となるのが普通である。…

「安心社会」から離れ「信頼社会」で生きていくには

定年後に再雇用されたり独立して仕事を続けようとしても、思わぬ障害に出会い引退に追い込まれる原因の多くが、外的要因ではなく自分の持つ内的要因(それまでの所属大企業…

定年時に最初にすべき準備:正規雇用者が属する「安心社会」からの脱却

マクロ的な人口・経済動向も理解したし、危機感も十分に感じたとしたら、次は定年に向けた準備を始めるべきだ。しかし、普通の定年本には「自分が一番やりたいことの優先順…

定年後の方向を見出すマクロ環境認識

今回は長文ですが、日本の前途と定年退職者の採るべき道を論ずる重要な内容だと思いますので、辛抱強く読んでいただければ幸いです。 人生100年時代のこれからの危機を認…

定年時に危機意識を感じない人が多いのは、むしろ普通

世の中には、定年前に十分蓄えがあり趣味も豊かなので、定年後の隠居生活に何ら問題を感じない人も少数ながら存在する。そのような人には、この論は無意味なので、無視して…

定年前後に多方面から迫る危機

前回、定年後も働き続けるための第一歩は、「定年引退という事象に危機感を感じていない」という問題を解決することであると述べた。 この危機は、実は定年を迎えるはるか…

人生100年時代後半戦の、折り返し地点に差し掛かって思うこと (このままでは危ない団塊ジュニアのために)

現在、私はもうすぐ73歳であるがまだ仕事をし続けている。気がつけば、60歳で突如定年退職となって13年近く経った。90歳まで元気で諸々の活動を続けるつもりでいるが、そろ…

「定年本」で役に立つのは、内容ではなくその共通フレームワーク

なぜ同級生たちは引退してしまうのか?ここ10年以上、ずっと考えていることがある。「なぜ同級生たちは、世の常識に従い唯々諾々と引退してしまうのだろう?」と。 前にも…

日本企業に必要な経営のアンラーニング(その2:不確実性の管理)

ビジネスと不確実性前回、日本企業が米国企業などに稼ぐ力で負ける理由が販管費の高さだと指摘し、その対策の一つとして管理会計で直接原価計算を使用すべきだと書いた。今…

日本企業に必要な経営のアンラーニング(その1:固定費の管理と管理会計)

ダントツ経営が指摘する販管費(固定費)の問題その昔世界的にも非常に効率が良く日本の高度成長を支えた企業群が、昨今は他国に押され気味である。その大きな理由は、営業…

集団主義(安心社会)からの脱出が難しい理由:信頼概念についての誤解と対策

集団主義(安心社会)からの脱出が難しい理由:信頼概念についての誤解と対策

ここまで、崩壊しつつある日本企業の集団主義(安心社会)に安住していると、新たな職を見つけることが難しくなると論じてきた。さらに、安心社会は長続きしそうにないこともわかってきた。

この見方に賛成するとしたら、次の疑問は「長年安住してきた安心社会から抜け出して、新たな社会に移ることは簡単か?」ということになるだろう。

今回は、実は安心社会からの脱出はそれほど簡単でないのだ。その理由について検討して

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日本企業の集団主義(=安心社会)は続くのか?

日本企業の集団主義(=安心社会)は続くのか?

ここまでの議論で、集団主義のもとにある安心社会に浸った考え方をしていることは、新たな職を求めるのに有利ではなさそうなことは分かる。

とは言え、日本社会では安心社会が圧倒的に優勢であり続けるとしたら、そこから離脱することが得とは限らない。また、安心社会からの離脱が簡単だとしたら、そこまで悩む必要もない。

今回は、その前半部分が本当かを考えてみることにしよう。

安心社会は今後(定年後)も続くのか

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集団主義の本質の「安心」から離れて職探しするには準備が要る

集団主義の本質の「安心」から離れて職探しするには準備が要る

前回、日本企業の集団主義に安住していると定年後のビジネス活動継続が難しくなると書いた。今回は、その根本原因を考えてみよう。

SNSが教える集団主義の人見知り筆者が常々疑問に思っていることがある。それは、特定のSNSにデビューすることに対する不安感を示す人が多いことである。

twitterのプロフィールを見ていると、「思い切ってtwitterを始めることにしました」、「〇〇しかできない小心者です

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アンラーンすべきは集団主義。それに馴染むと、定年時に外に出ることが難しくなる

アンラーンすべきは集団主義。それに馴染むと、定年時に外に出ることが難しくなる

定年時に必要となるアンラーンのやり方について、3回続けて説明したので、ここからは何をアンラーンするか、その内容の話に移ることにする。

今回は、アンラーニングで最初に認識すべき現在地である日本企業の「集団主義」の正体について述べる。そして、次回以降にアンラーニングすべき集団主義の本質が「安心社会」であること、そしてアンラーニングの行き先である「信頼社会」のイメージについて述べる予定である。

中高

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異なる世界の疑似体験でアンラーニングを促すリベラルアーツ

異なる世界の疑似体験でアンラーニングを促すリベラルアーツ

定年後というロールモデルが少ない状況では、それまでの世界で身につけた習慣を自分でアンラーニングすることが必要だが、それが難しい。

その理由は、アンラーンではまず自分が囚われている考え対象化することが必要であるが、その対象化の方法(メタ認知、リフレクションなどと呼ばれる)が、慣れていない人には結構難しいことにある。

それよりより易しい少し方法は、自分以外の考え方があることを学び、自分が囚われてい

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アンラーニングで必要な自分の「枠」の外に出ること

アンラーニングで必要な自分の「枠」の外に出ること

前回、定年後というロールモデルが少ない状況ではアンラーニングが必要で、それがどういうものかを説明した。次は、そのアンラーニングをどう実行すれば良いかである。

現在地の確認:まず自分の枠の「外」に出て自分を見る定年時のアンラーニングで最初に行うべきは、自分が今どのような脱却すべき日本の大企業特有の環境にいるか、その現在地の確認である。

そうすれば、その環境で身につけた習慣の中から新環境に不都合な

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定年後のロール・モデルがいない時に必要な技術: アンラーニング

定年後のロール・モデルがいない時に必要な技術: アンラーニング

定年時にロール・モデルがいないために、ぶつかる問題定年後に働く場合、たとえ同じ職場に再雇用される場合でも、それまでとはガラッと変わった処遇となるのが普通である。まして、会社が変わるあるいは独立する場合には、それまでの職場とは全く異なったビジネス慣行のもとで仕事をすることになる。

この環境変化は、学生が就職する時と同じように大きな変化であるが、それらには一つ大きな違いがある。それは、ロール・モデル

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「安心社会」から離れ「信頼社会」で生きていくには

「安心社会」から離れ「信頼社会」で生きていくには

定年後に再雇用されたり独立して仕事を続けようとしても、思わぬ障害に出会い引退に追い込まれる原因の多くが、外的要因ではなく自分の持つ内的要因(それまでの所属大企業で成立する「安全社会」を前提とした思い込み)にあることが多いと書いた。

だとしたら、そことは違う社会で生きていく覚悟を決めなければならない。その行く先は、「信頼社会」である。

でも、信頼社会とはどのようなもので、どうすれば問題なくそこへ

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定年時に最初にすべき準備:正規雇用者が属する「安心社会」からの脱却

定年時に最初にすべき準備:正規雇用者が属する「安心社会」からの脱却

マクロ的な人口・経済動向も理解したし、危機感も十分に感じたとしたら、次は定年に向けた準備を始めるべきだ。しかし、普通の定年本には「自分が一番やりたいことの優先順位を見極める」くらいのことがサラッとしか書かれていない。

でも、この準備をきちんとしておかないと、思わぬことに足を取られ早々に引退生活に逃げ込むことになるので要注意である。その準備で大事なのは、自分のそれまでの「常識」を問い直すことである

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定年後の方向を見出すマクロ環境認識

定年後の方向を見出すマクロ環境認識

今回は長文ですが、日本の前途と定年退職者の採るべき道を論ずる重要な内容だと思いますので、辛抱強く読んでいただければ幸いです。

人生100年時代のこれからの危機を認識にするには、マクロな視点が必要
前回、定年前後にはさまざまな危機が存在するので、人生100年時代を生き抜くためには備えが必要だと書いた。

危機は、世の中の変化がもたらすものである。そこでは、今までの当たり前が当たり前でなくなる。危機

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定年時に危機意識を感じない人が多いのは、むしろ普通

定年時に危機意識を感じない人が多いのは、むしろ普通

世の中には、定年前に十分蓄えがあり趣味も豊かなので、定年後の隠居生活に何ら問題を感じない人も少数ながら存在する。そのような人には、この論は無意味なので、無視していただきたい。

さて、私が不思議なのはこのような恵まれた立場にないにもかかわらず、ただ無為に定年を迎えて慌てふためく、あるいは引退生活に流されていく人たちが多いことである。その最大の原因は、危機意識が持てずにいることなのだろうか?

そん

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定年前後に多方面から迫る危機

定年前後に多方面から迫る危機

前回、定年後も働き続けるための第一歩は、「定年引退という事象に危機感を感じていない」という問題を解決することであると述べた。

この危機は、実は定年を迎えるはるか前から始まっていて、定年後運よく再雇用されたとしても続く可能性が高いので、本来は充分な理解と備えが必要である。しかし、備えにまでには至っていない人が多いようなので、対処すべき危機をここにまとめておこう。

働き方の変化で、定年前も安泰でな

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人生100年時代後半戦の、折り返し地点に差し掛かって思うこと (このままでは危ない団塊ジュニアのために)

人生100年時代後半戦の、折り返し地点に差し掛かって思うこと (このままでは危ない団塊ジュニアのために)

現在、私はもうすぐ73歳であるがまだ仕事をし続けている。気がつけば、60歳で突如定年退職となって13年近く経った。90歳まで元気で諸々の活動を続けるつもりでいるが、そろそろ中間点である。

突如定年退職と言うのには事情があるのだが、その事情については別途お話しすることにして、中間点なりの振り返りをして今後の行く末を考え直してみたいと思うようになった。(その理由についても、別のところでお話しするつも

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「定年本」で役に立つのは、内容ではなくその共通フレームワーク

「定年本」で役に立つのは、内容ではなくその共通フレームワーク

なぜ同級生たちは引退してしまうのか?ここ10年以上、ずっと考えていることがある。「なぜ同級生たちは、世の常識に従い唯々諾々と引退してしまうのだろう?」と。

前にも書いたが、私は現在72歳である。工学部の中で最も小さいとある学科の卒業生で、同期生は27名だった。少人数で仲が良いので毎年同期会を開いているのだが、現在でも現役で働いているのは、ほぼ私一人となっている。高齢化が進む現代でそれなりの教育を

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日本企業に必要な経営のアンラーニング(その2:不確実性の管理)

日本企業に必要な経営のアンラーニング(その2:不確実性の管理)

ビジネスと不確実性前回、日本企業が米国企業などに稼ぐ力で負ける理由が販管費の高さだと指摘し、その対策の一つとして管理会計で直接原価計算を使用すべきだと書いた。今回は、もう一つの対策である不確実性の管理について書くことにする。

ビジネス環境が変化し不確実性が増している、と言うと反論する方は少ないと思う。では、不確実性とは何か?、どのような不確実性が存在するのか?と問うと、すぐには答えが帰ってこない

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日本企業に必要な経営のアンラーニング(その1:固定費の管理と管理会計)

日本企業に必要な経営のアンラーニング(その1:固定費の管理と管理会計)

ダントツ経営が指摘する販管費(固定費)の問題その昔世界的にも非常に効率が良く日本の高度成長を支えた企業群が、昨今は他国に押され気味である。その大きな理由は、営業利益率が低く効果的な再投資が少ないことにあるように思う。

なぜそうなるか考えると、答えは簡単なようだ。営業利益は、売上から売上原価と販管費を引いたものだ。日本企業は現場の改善活動には強いので、売上原価で負ける訳はない。だとすると、販管費が

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