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#創作大賞2024

坂の上の家

坂の上の家

私の家の前には坂がある

夏の盛りに歩けと言われたら
苦行でしかないだろう

嫁いだあの日
私は運転免許を持ってなかったから
歩いて上るしかなかった

色々都合が悪かったからか
結婚した後、ほどなくして
私は、運転免許の教習場に通った

免許を取るまでは
この坂の下の県道にあるバス停から
街の中心街まで向かわなければならない

幾度となく不便だと思ってはいたが
愚痴にすることはしなかった

口にす

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たったひとり、いや、たった一言だけでよいのかもしれない

たったひとり、いや、たった一言だけでよいのかもしれない

いい人

が出てくる映画が苦手だ。

その理由は単純明快で、要するに

僕自身がちっともいい人ではないからだ。

だから、あの国民的アニメが映画化されて、

「◯◯を燃やせ!」

というあの有名なセリフが出てきたときも、劇場にいるほとんどの人は感動して泣いていたけれど、僕はまったく泣けなかった。

むしろ突然、自分の周りに現れたたくさんのいい人たちの姿に怖気付いてしまっていたかもしれない。

でも

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【1分小説】死神さんとワルツを

【1分小説】死神さんとワルツを

真夜中、静まり返った病院の廊下を僕は歩いていた。

暗がりの中で、誰かが踊っていた。

窓から射し込む月明かりに照らされて顔が見える。

やつれきって肉がほとんどなく肌も真っ白、生きていないかと思えるような女性だった。

それでも踊っている姿がとても美しくて僕は見惚れてしまった。

「あら?こんな時間に可愛い坊や。
あなたも眠れないの?」

「うん…。

少しお姉さんの躍りを見ててもいい?」

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樹が年輪を刻んで生きるように。

樹が年輪を刻んで生きるように。

世の中には「おじさん/おばさん構文」だとか
「カジュアルおばさん」だとかいう言葉たちが
のさばってるけれど、みんないずれそうなるのにな

という3行日記を書くつもりだった。
いつも通りその後の写真のキャプションに
この3行日記に書き加えたいことを
短い文章で書いて更新するつもりだった…

けれど短い文章に収まらなかった。笑

だから少しだけ、書きたいと思う。

誰もがおじさんおばさんになり、
おじ

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君も正しい。俺も正しい。

君も正しい。俺も正しい。

ある日の朝
朝ドラ『虎に翼』を観ていて
大きく頷いた。

食卓を挟んだ向かい側でも同時に頷くひとが。

その通り!
と。

俺が正しい!
いや、私が!
と、おそらくお互い心の中で叫びながらであろう小競り合いも時々ある我が家ですけども。笑

でも、
「君も正しい。俺も正しい。」
でいいんじゃないかと思うんです。

みんな、見てる立ち位置が違うのだから。
その人から見れば、それが正解で。
その正解を違

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「あなたと出逢えてよかった。」と言うのだと思う。

「あなたと出逢えてよかった。」と言うのだと思う。

「生きていてよかったなぁ。」と、思う瞬間があった。

先日。よく行くバーの20周年の記念で歌を歌わせてもらった。
実は、2年くらい前からお話を頂いていた。

普段は、バー営業をしているその店で
スピーカーからギターの音を鳴らし歌う不思議。

リハーサルを終えて
カウンターでビールをいただきながら
マスターがこの店をオープンするまでの
紆余曲折を、聞いていた。

あの時こんな失敗があったから
この道

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友人が私にくれた誕生日プレゼントは、唯一の「あの世へ持って行けるもの」だった。

友人が私にくれた誕生日プレゼントは、唯一の「あの世へ持って行けるもの」だった。

今日書くのは12月から1月末にかけての出来事。

1月末からずーっと書こうと思っていた。

けれど、
ただのお出かけ記事のようにはしたくなくて
じゃあどう書く?どんなふうに書く?
と、少しばかり迷っていたのです。

綺麗な場所へ行き、
美味しいものを沢山食べた1日ではあったし、
写真も沢山撮ったものの、
当日の様子に加え、行った場所食べたもの、
写真全部!盛りだくさん!だと、いつもの
ただのお出か

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散る散る、満ちる

散る散る、満ちる

日曜日、昆虫の標本作りのために、息子と一緒に千駄木に出かけた。

駅から目的地まで20分くらいあったから、久しぶり父と息子二人きりゆったり会話ができた。

どーゆー経緯か忘れちゃったけど、まず僕が平家が権力を握って、源氏がそれを滅ぼして鎌倉幕府を作る歴史の話をした。

きっと心のどこかで学校に満足に通えてない息子に対してそろそろ社会とか歴史とかに興味を持ってほしいというスケベ心があったんだと思う。

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料理から学べることがある

料理から学べることがある

俺は

料理はイマジネーション

だと思ってます

こういう料理を作りたいな、という
ある程度の結果を想定して
その後、プロセスを組み立てていきます

慣れた過程のものであればあるほど
効率が良く、手間も細部までゆき届くし

初めての食材や苦手な調理過程ならば
なかなか都合よくならないことになる

そんな得手と不得手の工程を
頭の中で組み立てて
仕上がりのイメージが
徐々に鮮明になってゆくのです

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【1分小説】きみのもとへ

【1分小説】きみのもとへ

彼はもう、どれくらいここにいるのか覚えていなかった。

覚えているのは、彼には
とても大切な人がいるということだけだった。

その大切な人が誰なのかもわかっていないけど、ずっと呼ばれているような気がしていた。

そして、彼自身も
その人に会いたかった。

でも、彼には足が無かった。

「神様、僕に走れる足をください」

彼は、天に向かってお願いをした。

すると、神様が
大根の足を授けた。

彼は

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【詩】ひとつのことば

【詩】ひとつのことば

私はいつもただひとつのことばが欲しい

それはあなたの口から出たものでなければならない

あなたの手で書いたものでなければならない

それはそこら中に溢れていることばで

あなたに使われるのを待っていて

私はそのことばで生きて

そのことばで死んだようになって

あなたから出たひとつのことばは

やすやすと私を動かして

過去を紡ぎ

未来を集め

今を創る

あなたの小さなことばひとつで

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積んでは崩すのくりかえし

積んでは崩すのくりかえし

2024年5月12日(日)朝の6:00になりました。

スクラップ&ビルドで、この国はのし上がってきた。

どうも、高倉大希です。

今の自分の上に、積み重ねていく。

わたしたちは、学ぶことに対してこのようなイメージを抱きがちです。

知識を増やしたり、スキルを身につけたり。

足し算のように、積み重なっていくイメージです。

しかし実際のところは、そうでない場合がほとんどです。

積み重ねたも

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たんぽぽの綿毛が飛ぶように

たんぽぽの綿毛が飛ぶように

 深夜、居間に一人でテレビを観ていると、祖母が入ってきた。

「親方は? ねぇ、親方は?」

 祖母の口から親方なんて聞いたことがなかった。思い当たる人もいない。何のことを言っているのかわからない。
 こんなとき、どうすればいいのだろうか。
 返答に窮する間に、祖母の注意は切り替わる。少しバランスの悪い歩き方で、暗い廊下を歩き、玄関の方へ向かっていった。
 
「親方はここにいないよ」

 慌てて祖

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【短編小説】街を廻せば④

【短編小説】街を廻せば④

みんなを幸せにしたはずだ。

なぜ俺は殺されるんだ?

猫を探す呪文女
杖が折れた魔女婆
プロポーズができなくなったドラキュラ男
財布をなくした鬼女
カツアゲされた亡霊青年
プロレスしたくてたまらない河童

全員助けたはずだ。

そう、全員…

そうか…

1人だけ忘れていた…

俺を刺した犯人も
幸せにしなければいけなかったのか。

でも、この状況でこんなヤバイ奴
幸せにできるのか!?

そもそ

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