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バーテンダー社会学

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夜の飲食で働く人々の生態系と日常の社会生活のギャップを考察。そこから見えてくる様々な問題を考える。
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#バーテンダー

「バーテンダー褒め学」基礎編

「バーテンダー褒め学」基礎編

バーテンダーにとって「褒める」ことは、重要なスキルだ。いや、これはバーテンダーに限ったことではないだろう。生きていく上で、存在を否定されるか肯定されるか、あなたはどちらがよろしいか?などという議論は、深掘りしなければテーマにもならない。案外、深掘りをしたらおもしろいのではないかと思ってしまった。
大半の人は、肯定されたいだろうし成果を認めてもらいたいものだ。中には、「お前如きが私を評価しやがって、

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(3)バーテンダーは3つの空気を自在に操る。空気を壊す編

(3)バーテンダーは3つの空気を自在に操る。空気を壊す編

これまで、1.空気を読む、2.空気を作るについて書いてきました。
そして今回は最終章、「空気を壊す」について書いていこうと思います。
まずは、なぜ空気を壊すスキルを覚えなければならないのかについて書いていきます。

コミニケーションの中には、気の合った仲間や同年代の友達ばかりではありません。
むしろ、そうでない場合のシチュエーションが多数存在します。

想像してみてください。
例えば、初対面の複数

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「問題が生じた時、誰かに相談できるか否か?それが人生の別れ道」

「問題が生じた時、誰かに相談できるか否か?それが人生の別れ道」

24歳のシングルマザーが8日もの間、女児を自宅部屋に置き去りにして遠距離恋愛中?の彼に会いに出かけている間に、娘が餓死したという事件があった。

人は、自分の経験した失敗からしか学べないことが少なくない。私もその内のひとりであるが、私にはズルイというか、業務上の少し役得なところがある。
それは、お客が仕事や恋愛などの問題に直面してしまった時、頻繁に相談をしてくれるかだ。私はその相談に対し、できるだ

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(2)バーテンダーは3つの空気を自在に操る。空気を作る編

(2)バーテンダーは3つの空気を自在に操る。空気を作る編

さて、空気を読む編では、空気を読むとはどういうことで、なぜ、空気を読まなければならないのかについて書いてきました。
今回は「作る」について書いていきます。

空気を作るには、2つの意味があります。
1.今ある空気をより良くする
2.悪い空気を良くしていく(難易度高い)

空気を読めるようになって、相手の望みを理解したとしても、それだけでは十分ではありません。次は、相手と2人で共同作業をしなくてはな

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「バーテンダーは、ねずみ男である」

「バーテンダーは、ねずみ男である」

「早く人間になりたい」というセリフがあった。妖怪人間ベムだったか。
ある科学者が人造人間の研究に失敗した時、壺の中で奇跡的に産まれた生物とあった。
彼らは人間の心で産まれたが、その姿は妖怪だった。ムゴイ設定だ。だが、気持ちはわかる。僕も人間に憧れている一人だからだ。
この妖怪人間ベムを、マイルドにしたのがねずみ男ではないだろうか。
ゲゲゲの鬼太郎に登場する半妖怪だ。
姑息でお調子モンの上にお金が大

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「日本のバーテンダーはニューヨークを生きている」

「日本のバーテンダーはニューヨークを生きている」

僕はニューヨークに行ったことがない。

だが、日本に居住しながらおよそ27年あまり、ニューヨーク時間を過ごしているのである。
断っておきたいが、これはドヤ自慢が言いたいわけではない。むしろその逆さまで、愚痴や泣き言に限りなく近い話である。

まず、僕のタイムスケジュールを聞いていただきたい。僕の仕事の就業時間は20:00〜05:00である。店の買い物や準備などを考慮すると、動き出すのは18時ごろ。

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「飲み仲間、知っておくべき暗黙の十字架」

「飲み仲間、知っておくべき暗黙の十字架」

当たり前だが、酒は気のおけない仲間と屈託なく飲むのが一番楽しい。
「飲み仲間」という造語はいつ誕生したのかはわからないが、この関係の繋がりはまさに「飲む」に限定されているようだ。相手の仕事や立場も一切関係ないし、年齢も関係ない。大切なのは三つ。時間感覚、金銭感覚、ノリである。
この三種の感覚が飲み仲間の絶対条件であると常々僕は考えている。
時間感覚は、飲食における満足時間と言い換えてもいい。朝の早

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