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アイデアノート47 恒常的イノベーション:破壊的イノベーションをものともせず時代を超えるイノベーション

生きがいの源泉とは何か?

生きがいの源泉は、自らが周りに生きがいを与えているという感覚が中心である。多くの研究から、幸福に必要なものは愛情や良好な人間関係であると示されている。特に幼少期に受ける愛情などが非常に重要であると言われている。このため英才教育は生きがいにとっても特に重視すべき項目であることは間違いない。一方で、大人になってから後天的に得られる周りを幸福にする行動も存在する。これがHEROと呼ばれる四要素であり、これらを身につけることが生きがいにも重要となる。これらの先天的な部分と、後天的な部分について幸福の研究が進んできたことが生きがいイノベーションを支える原動力となるだろう。
しかし、これらの周りを幸福にする要素は、生きがいの全てを示してはいない。これらは、自らの波長を周りとシンクロさせるための要素で、波長ごとの生きがいを示すものではない。そして、この方向での研究はなされていない。

では一人一人によって違う、より深い部分での生きがいのとは何だろうか?

恒常的イノベーション

その答えが恒常的イノベーションにある。恒常的イノベーションとは、名のごとく恒常的であり、時代が経っても朽ちることのないイノベーションである。しかし、時代が経っても無くならないものには何があるだろうか?

古代から持続してきた恒常的イノベーション

恒常的イノベーションを考えるには、まずはこの名前は一旦置いて、太古の昔と現代を比較すると分かりやすい。古代ローマや古代エジプトなどが参考になる。
 古代エジプトでは、パンやビール、ワインなどの食品や、家畜の飼育、灌漑農業など多岐にわたる製品・サービスが利用されてきた。その中でも、パンやワインなどの食品や、猫などの愛玩動物などの文化の根幹は一致する。学問、科学技術、ノウハウ、経済システムなどが大きく変化したにも関わらず、変わらないものはあまりに根幹が同じである。これらのように時代を経っても変わらないものが恒常的イノベーションの正体だ。

日常生活の中の恒常的イノベーション

日常の中をみると太古の昔からあったものでなくとも、恒常的イノベーションに溢れていることが分かる。飲み物であればコーラなどの炭酸飲料、食品であればインスタント食品まで多岐にわたる。ゲーム、音楽などありとあらゆるジャンルにある。そして、これらの価値は時代が経って形を変えることはあれど失われることはない。また、こららの恒常的イノベーションには必須型と自由型がある。この中でも、特に自由型が一人一人の波長にとって意味をなす。そこでまずは必須型恒常的イノベーションについて見ていく。

必須型恒常的イノベーション

必須型恒常的イノベーションは、一度その仕組みを知ってしまうと誰もがそれを使わずには生きていけないものである。衣食住にかかわるものが多い。

衣服、靴などの服や、水道、電気、ガス、インターネットなどのインフラだけでなく、家具・家電から、ネジなどの部品、自転車までこれに当たる。たしかに一度生まれてからというものほとんど本質的な姿を変えていない。

なぜGAFAMが世界の中心になれたかと言えば、必須型恒常的イノベーションを自らの手で作り上げたからに他ならない。

グーグルの検索エンジン、アマゾンのイーコマース、フェイスブックのSNS、アップルのスマートフォン、マイクロソフトのエクセルやワードなどは、一度知ってからはそれなしでは生活成り立たなくなるほどの代物である。仮にこれらの企業の製品・サービスを避けたとしても、競合他社のサービスを使う機会を避けることはできない。

恒常的イノベーションは生活水準の向上に必須である

この必須型か?自由形か?生存率に直結する恒常的イノベーションであるかを決定するのは物質的な生活水準の向上に必須であるかによって決定される。インターネットは今やそれなしでは仕事が成り立たない代物となっているため、明確に必須型恒常的イノベーションである。このように、必須型は既存のイノベーションのイメージと重なる部分が多く、電気が開通するなどのより抽象的なレベルを対象としている場合が多い。

この先に、現在主流となっている技術やプロセスイノベーションなどが影響している。携帯電話がスマートフォンとなった技術や、ドラム型洗濯機などが通常のイノベーションを指し、根底の電波で通信を行う、画面端末を誰もが持つ、洗濯物を水で洗うといった部分が恒常的イノベーションあたる。一度これらを手にしてしまえば、文明の退化が起きない限り失われそうにはない。この点において恒常的であると言える。通常のイノベーション研究ではラジオやDVDから動画配信サービスへの移行など、時代ごとに変化する部分のイノベーションに焦点を当ててきた

しかし、音楽を配信する、映像を保存する、など変わらない部分の恒常的イノベーションに目を向ける時が来ていると言える。しかし、必須型は、あくまでイノベーションの特に時代を超えても変わらない根底部分を指すものであり、従来のイノベーションと創発プロセスは同じである。

必須型の特徴

①     高い全体性:誰しもが利用する
②     回避不能性:選択肢や代替が少ない
③     非常に重い責任:生存率に直結するケースも少なくない
④     連動性:生活水準と連動している
⑤     意識時間が短い:必須でありながら自由型と比べ長時間意識しない
⑥     短縮性:何らかの余剰時間の肩代わりをしている
⑦     効率性:イノベーションが起こるほど可処分時間を増やす
⑧     必然性:一度手に入れるとあることが当然のように思ってしまう
⑨     低い依存性:自由型とくらべイノベーションそのものに依存しない
⑩     潜伏性:そのイノベーションを好きでないものの視界には入らない。

破壊的イノベーションとの違い

破壊的イノベーションとの決定的な違いは、それが新たな破壊的イノベーションによってDisrupt(破壊)されないことにある。フロッピーディスクやHVSは白熱電球のようにいずれ消滅する運命にあるが、映像や、電灯が消えることはあり得ない。一度、灯が灯ったその日から、夜は照らされる運命にあった。

このように考えることで、恒常的イノベーションの必須型について思い浮かべることができる。船や列車は時代を進むにつれて燃料や輸送手段を変えたが、輸送自体が無くなることはなかった。このように、物事の必須となる根幹を支えるのが、必須型である。この必須型は破壊的イノベーションより外側に位置するイノベーションであるため、破壊されることがないのだ。

破壊的イノベーションとは、恒常的イノベーションの中の技術や手段を新たに破壊しているだけに過ぎない。そして、この破壊的イノベーションに直結する企業は長期的な競争優位を獲得できる。

日本企業では、ファーストリテイリング、味の素、ニトリなどは技術的要素が小さく本質的に恒常的イノベーションに近い企業だ。恒常的価値の中から、破壊的イノベーションの変動がほとんど起きない部分が恒常的イノベーションとなる。服、調味料、家具は、自動車や半導体、家電と比べ本質的な変化は遥かに小さい。たしかに、味の素は時代を超え、製造方法などに変更はあれど、特に変化してはいない。

これらの企業は、ブランドのウエイトが高いものの、破壊的イノベーション企業と比べれば長期的な持続を保ちやすい。

そしてこれらの製品・サービスは大元のアイデアが産業革命前から存在することが多い。産業革命後に生まれた必須型には、自転車、帝王切開などがある。

自由型恒常的イノベーション

一方で、物質的な生活水準には直結しないものが自由型恒常的イノベーションである。こちらも、一度そのイノベーションが起きてしまえば文化圏の消滅などがない限り失われないため恒常的であると言える。これらの例は、特に娯楽や嗜好品の中で多く見ることができる。スポーツの競技や、ゲーム、創作のジャンル、アート、アニメーション、漫画、飲料、調理法、デザインなど多岐に渡る。これらは、必須型恒常的イノベーションと比べより具体的な製品や手法まで決定されている所が特徴である。
 

コカ・コーラ、マクドナルド、ウォルトディズニーが自由型恒常的イノベーションの典型例

これらの自由型恒常的イノベーションを扱う企業の中で典型的なものが、コカ・コーラ、マクドナルド、ウォルトディズニーなどである。コカ・コーラであれば、自らの企業ブランドをコーラという恒常的イノベーションといかに同一化させるか?に常に経営ノウハウを費やしてきた。マクドナルドであればハンバーガーとポテトを、ディズニーであればアニメーションと同一化しようと試みてきた。

これら自由型は、生活水準に直結しないだけでなく、心理的な生きがいを得る上でも選好性が極めて高い。だからこそ、ブランドとの相性が非常に良い。しかし、必須型と比べると、好きな人しかこれを選ばないため、世界の最中心企業となることはできない。しかし、恒常的であるが故に一度ブランドを手にすれば、ほとんど揺るぎない地位を獲得することができる。このため、高配当や高い株主優待との相性が非常に良い。
 そして、何よりこれまでの内容と関連して重要なことは、この自由型こそが生きがいの源泉であることに尽きる。
生きがいに関する調査では、家族や人間関係以上に趣味の影響が大きいことが示されており、これら趣味を支える恒常的イノベーションは間違いなく、生きがいに対し重要である。これまでは、職場や社会貢献活動における生きがいについて述べてきたが、趣味・嗜好における生きがいに対する知に焦点を当てる。

日本は自由型恒常的イノベーションに秀でている

日本は、この自由型恒常的イノベーションで特に秀でている。日本の主要な自由型は、日本食、柔道、漫画、リミテッドアニメーション、同人誌・コミックマーケットなどの創作文化、創作ジャンル、ゲーム、将棋などがある。特に、これらはアメリカやヨーロッパ発の必須型、特にプラットフォームを積極的に活用したものが多い。そして、これらの恒常的イノベーションを創発する力は高い水準を保っている。

これらの例を挙げると、戦後からリミテッドアニメーションや日本独自の漫画手法が作られ、これらの文化を土壌にコミックマーケットや創作文化、ジャンルが形成され、現代でもVtuberや、ボーカロイドなどに活かされている。

これら自由型は、一度起きた自由型を土台とすることが多いのが特徴である。日本で恒常的イノベーションが盛んに行われているのは、この土壌があるからであろう
具体的には、①リミテッドアニメーションが②日本式のキャラクター作りを生み出し③萌えの概念を生み出した。これを土壌に④ボーカロイドが作られこれを元に⑤3DキャラクターをモデリングするMMDが作られた。更にMMDの3Dモデリングシステムを活用して⑥Vtuberが生まれた。という流れである。

自由型の特徴

自由型は恒常的であるという点だけでなく、多くの点で通常のイノベーション以上に共通点がある。
①     具体的で細かい実例が存在
②     有形無形を自由自在に行き来する
③     娯楽的:娯楽そのものか娯楽的なものである
④     既存のプラットフォームの活用:必須型のプラットフォームを活用する
⑤     アート的多様性:ありとあらゆる表現が可能である
⑥     非言語的:有形無形ともに存在するが、言語や具体的な数式で表せない点において非言語的である
⑦     所有者に依存しない:これは権利を保有しづらいという弱点でもある
⑧     非常に高い選好性:人によっては生きがいの源泉となるが、人によっては意識さえされない
⑨     依存性:生きがいの源泉にもなるが身を亡ぼすほど依存させることもある
⑩     自己拡大(口コミ依存):宣伝などを用いずとも自ら適切な範囲(好きな人にだけ)に広がる。不思議なことに、それを潜在的に欲しいと思う人には現れる。が、そうでない人の目にはまるで世界にそもそも存在していないかのように振舞うのだ。
⑪     連続性:過去の自由型を元にして次の自由型が生まれるケースが多い
⑫     限定的な経済性:ウォルトディズニーやコカ・コーラ、貴州茅台酒が自由型を扱う最大規模の企業である。経済を大きく賄うことはないため、恒常的イノベーションの発展だけで国を支えることはできない。日本は失われた30年で恒常的イノベーション分野に限り歴史的な大繫栄を見せた(そして今も拡大している)が、それにより日本経済が復活するほどの力はなかった。
⑬     ブランドとの相性が非常に良い 例:コカ・コーラ
⑭     イノベーションが進むにつれより可処分時間を奪うようになる
⑮     とてつもない反復性がある。もし毎年、毎月、毎週、何らかのイベントで繰り返されるとしたら、それは恒常的イノベーションなのだ。あるいは、上手く恒常化できなかったとしても恒常的イノベーションを目指したものなのだ。
⑯     表現依存性:それでないとできない表現がある
⑰     潜伏性:好きでない人の視界には入らない
⑱     発明者の二極化:イノベーションの発明者の名前は圧倒的に残るか、たとえ記録が残り、検索できる場合でもほとんど消滅する場合の二つがある。将棋の発明者やカラオケの開発者、カップヌードルの発明者の名前はある程度足取りがつかめるもののほとんど知られていない。これは、恒常的でないイノベーションと比べても極端になっている。一方で、ラブ・クラフトやウォルトディズニーなど名前が残る場合は極端に残る。
⑲     高い親和性:恒常的イノベーション同士は高い親和性を持っており、アニメなどでの題材になりやすいといった傾向がみられる。
⑳意味のイノベーションとセットであることが多い。萌え文化やスターバックスのサードプレイスなど意味のイノベーションを含むものが多い。

自由型恒常的イノベーションを生み出す方法

自由型を生み出すには、知の集結以上に、アウトプットが重要である。通常のイノベーションや必須型と比べ、生み出すのに必要な技術や、プロセスに対する知の深さが必要でないためである。そればかりか、技術者や専門家でないごく無名の一般人がなんとなく生み出し、本人がイノベーションであることを自覚していないケースさえある。

ゆっくり実況や、ネット上の様々な表現媒体などは一般人によって生み出されており、これらはそれを考案する者がいなければ存在していなかったに違いない

熱力学法則、相対性理論、DNAの発見、iPS細胞、ABC予想、超弦理論などの科学も、インテグラル理論もその考案者、研究者がいなくともいずれは分かっていたに違いない

そう考えると、他の誰かがいずれ証明したものの時代を先駆しているだけに過ぎないと言えるのだ。

それどころか、iPhoneが出なければノキアがアップルの地位を獲得していただけであり、FacebookがなくともSNSはできていたであろう。夜に灯を点けたいというジョブ(片づけたい仕事)はそれこそ恒常的であり、その発明者・開発者がいずともいずれ発見・発明されていた。

そう考えると、必須型は最悪自分ができずともいずれ誰かがやってくれる可能性の高い代物である。使いやすさやUXは変わっていたかも知れないが、そのもの自体は他の誰かがある意味「どうせ」やってくれるであろうイノベーションでもあるのだ。そこに意味があるとすれば、やはり時代の先駆にあるだろう。これは破壊的イノベーションにおいても同じである。

恒常的イノベーションは真の椅子作りゲーム

しかし、恒常的イノベーションについてはそれを発明する者がいなければ、そもそも存在することがなかった。この点が極めて重要だ。破壊的イノベーションが未来の椅子に先に座ることだとすれば、自由型の恒常的イノベーションは本質的な椅子作りゲームだ。

つまり、世の中の最も大きな均衡そのものが必須型だとすれば、それを破るのが自由型だ。

考えてみれば、たしかに競馬や、漫画アニメ文化やコミックマーケットやカラオケはもしもその開発者がいなければ、存在しようもなかっただろう。

それが開発されなければもはや存在もしなかった。というのが恒常的イノベーションである。それにもかかわらず、技術依存性が必須型や破壊的イノベーションと比べても低いので、今後フリーランスの起こせるイノベーションとして注目されていくに違いない。

ボーカロイドの音声を変更するMMVCなどの技術は、フリーランスでも開発可能な領域となりつつあり(最低でも企業が大規模に開発したものではなく、フリーランサーが開発したとは言える)。こうした方向でフリーランスが恒常的イノベーションに対し支援できる可能が高い。

実践恒常的イノベーション

①恒常的イノベーションの性質を理解する。

②過去の恒常的イノベーションを土台に新たな恒常的イノベーションのアイデアを練る。(リミテッドアニメ→萌え→ボーカロイド→MMD→Vtuber)

③意味のイノベーションと合わせて、まだどういったジョブやUXが達成されていないかを意識する。例えば「尊い」といった価値観はそれがなければ、その感覚を共有できなかったという点で意味のイノベーションである。

④恒常的イノベーションは、自己拡大性があるためこれが弱点となる場合がある。実例を元に参考にする。例えば、東方プロジェクトは一創作をゆっくり実況などの様々なコンテンツと紐づけることで恒常的イノベーションとした例だ。そして、原作をアニメ化しない、二次創作を基本的には自由に行って良いとするなどと言った手法が、恒常的イノベーションを起こしたことは間違いない。しかし、東方プロジェクトは神主一人の手で収まらないほど拡大しており、ゆっくり茶番の商標登録問題や、原作を知らない人にまで拡大したことで、YouTuberが東方プロジェクトの原作者だと勘違いされる問題なども発生している。

この問題の本質には恒常的イノベーションがあると言える。そして、恒常的イノベーションは一度手から離れてしまうと取り戻すのが困難な点も特筆すべきだ。カラオケや2chは恒常的イノベーションであるが、一度開発者の手から離れてしまったため、取り戻すことが困難になってしまった。ひろゆき氏は、2chを何度か取り戻そうとしたが、一度離れてからは、5chや7chなど自己拡大したこともあって、全ての権利を取り戻すことはできなかった。

ZUN氏が東方プロジェクトを恒常的イノベーションにしたことと、ひろゆき氏が2chとニコニコ動画を作った時の発想は恒常的イノベーションを生み出す上で特に役立つかも知れない。しかし、恒常的イノベーションはその性質によって、開発者に苦労を掛けることも大いにある。この点が特に留意すべきことのようだ。

恒常的イノベーションの種類

恒常的イノベーションにはインテグラル理論の四事象と対応した4つのタイプが存在する。いくつかのタイプを持つものと、一つのタイプだけに属するものがある。

①表現型(phenotype) 心と対応
例:菓子パン→メロンパン→メロンパンアイス
  ポテトフライ→ポテトチップス→ハニーバターチップ
  カップヌードル→カレーメシ
  ラーメン→二郎系ラーメン
       たい焼き→白いたい焼き
  タピオカ→タピオカミルクティー

このタイプでは、あるもの、ことの表現が変化していく。メロンパンにもいくつか表現があるものの、媒体型と比べると表現の幅が狭いことが特徴だ。
食品以外の例もあるが、食品との相性が特に良い。

②媒体型(media) 文化と対応
例:アニメ→リミテッドアニメ→萌え→ボーカロイド→MMD→Vtuber
               →ライトノベル→なろう系
      →ゆるキャラ→ご当地ゆるキャラ
  ニコニコ動画→踊ってみた・歌ってみた

このタイプでは、プラットフォーム型のイノベーションが連鎖する。そして、その型が決まっていることと、過去の媒体を参考にしていることが特徴だ。インターネットを機に、この媒体型イノベーションは加速を見せ、YouTubeを介した音楽文化や漫画動画などで大繫栄を見せている。

東方プロジェクトとマインクラフトは通常のサービスであったが、二次創作の許可やMODの自由利用などによって媒体型となることに成功している。二次創作など拡大の緩和がこのmedia型となる方法の一つと言える。

③行為型 (action) 行動と対応
例:競馬(競走馬の順位にカネを掛ける)、タバコ(煙を吸う)
  ギャンブル全般  カラオケ 将棋 麻雀 ゲーム
  キャンプなどレジャー スポーツ全般

この行為型ではある行動に焦点が置かれている。media型と被る場合もある。ゲームは大元は行為型に属する。

④社会型 (social)  社会と対応
例:サードプレイス、ボランティア活動、サークル活動、コミックマーケット、ライブ

社会型は、その場で集まる意味が関わることが多い。

自由型は寡占化されにくい

オンラインサロンは必須型ではなかったため、GAFAMのような寡占プレイヤーが現れなかった。NFTも現状を見る限り、寡占化は進んでいないようだが、自由型で必ずしも必要でないことが関わっているのだろう。今後、画像にネット上で価格を付ける必要が出てきた時、寡占企業が現れる。NFTは今の段階では、自由型であるが故に寡占化は進まないと見られる。

自由型で寡占をするには、コーラといえばコカ・コーラ、ハンバーガーといえばマクドナルドなどのように、そのブランドと同一化してしまうことで達成できる。ボーカロイドなどもその例になる。

JTやJRAが自由型の寡占企業である。将棋連盟のような方針でそのものと同一化する方法もある。しかし、破壊的イノベーションや必須型とくらべ、完全な寡占化は起こらず、かなり席が残されている。Vtuberはにじさんじとホロライブでかなり寡占化されたが、他の事務所の活動が失われた訳ではない。ガラケーのようにそのものが吹き飛ぶ事態は起きないことが、自由型の特徴だ。如何なる状況でも、細々と続けることができる。

独占の時代なのは、あくまで破壊的イノベーションの話だ。

恒常的イノベーションにおける赤の女王説

不思議の国のアリスの赤の女王をモデルにした考え方。経営学における赤の女王説は、同業他社同士で競争することで、互いに限界まで加速し、かえって生存率を高めることができるという説である。しかし、これは互いの競合しか見れなくなり破壊的イノベーションに対応できないことが問題であった。

しかし、売る製品・サービスが恒常的イノベーションであれば、破壊的イノベーションの影響を受けないので、何ら問題がなく、競争ばかりしていれば生き残れるという説。漫画家は他の漫画家を相手にしていれば、Vtuberとまで競争する必要はない。企業ではなく、個人レベルで言えば具体的に競争意識を持つ必要さえないと言える。ただし、白いたい焼きやタピオカ店など需要そのものが流行を起こしているだけの時は注意が必要で、流行が終わるとそのサイズで生き残る必要が出て来る。

もちろん、白いたい焼きやタピオカミルクティー自体は恒常的イノベーションなので、どこかの店は生き残るだろう。しかし、流行と共につぶれてしまう場合もある。これを見極めるには、表現型か媒体型かを見分けると良い。

表現型では、ドロリッチが生産停止をしてしまうなど生き残れない場合があるが(ゼリー系飲料自体は当然、残っているが)、媒体型では流行が過ぎても生き残ることができる可能性は高い。

流行には注意

逆に流行が起きている時は注意が必要となる。破壊的イノベーションと違い、縮小期に転じても完全になくなることはない。しかし、やはり縮小期は恒常的イノベーションにも存在していることに注意が必要だ。ITへの世界の需要のように絶えず膨張するものもあるが、やはりITバブルのように流行には注意しておいて損はない(一度バブルがはじけてから再度上がり始める)。

自らの出しているサービスが他のサービスと比べ、具体的にそれでしか味わえない生きがいや価値があるかどうかに掛かっている。このため、恒常的イノベーションでこそBeing経営は重要である(破壊的イノベーションはもう一つの戦略である、タイムリーダーシップだけでも企業として生き残れる程度には誤魔化しが効く)。

Being経営、自らの存在とは何かを定義し、それそのものとしてあり続けるという経営手法。
パーパス経営のより中心に位置し、差別化戦略、集中戦略を含んで超えている。

必須型だけの世界で生きていると豊かに暮らせるという話

自由型を完全に捨て、必須型だけの世界で生きていると人の身体の生活水準は実は格段に高くなる。ゲームや動画視聴を一切せず、さらにデザインを気にせずただ一種類の見た目の製品だけを買い続ける。

たしかに、こうすれば生産性は上がる。しかし、それはいうなれば毎日自炊して、もやしを食べて、一切旅行に行かず、ずっと働いて暮らせば、将来の医療費が払え、お金に困ることはないと言っているに近い。たしかにある目線から見ればそれは豊かなことだが、別の視点からすれば豊かとはいえない。

恒常的イノベーションはやはりクオリティオブライフの中心であり、真に必要な自由型だけを買うことで、必須型をより多く買えるようになる。

こうして欲しい自由型を買い、生活の質を高めることができる。

恒常的イノベーションは経営学のイノベーション

最低でも、恒常的イノベーションという概念を定義しておき、これを破壊的イノベーションなどと区別しておくことは、経営学研究にとってイノベーションとなるだろう。

明らかに、恒常的イノベーションは存在する。そして、恒常的イノベーションの自由型・必須型、破壊的イノベーションでは、企業が取るべき戦略も、エコシステムも全く異なるのだから。

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