- 運営しているクリエイター
記事一覧
シロクマ文芸部 「マフラーに」
マフラーに顔を埋めたまま、噴き出すような恥ずかしさが治まるのをじっと耐えていた。
中三のクラス替えで初めてクラスメイトになった時から、いやきっとそれ以前から気にはなっていたけれど、バスケ部のキャプテンという肩書きを持ったいわゆる一軍と呼ばれるあの人は、私にとって違う世界の住人みたいに現実味がなかった。
同じクラスになってからも、私は席替えの度にやたらと隣になることが多いだけのクラスメイ
シロクマ文芸部 「北風と」
北風と曇り空のせいで、私の気持ちは沈んでいく。
せっかく川沿いにあるお洒落なカフェに入ったのに、窓からは枯葉のぶら下がった頼りない桜の木と、灰色に染まった寂しい遊歩道だけが見えていた。
子供の頃から、この季節をとても悲しく感じていた。もう少しでクリスマスが来るなんて信じられなくて、本当はもうこのまま今年が終わってしまうのではないかと不安だった。公園から帰る頃にはすっかり暗くなった家路を辿り
「#7 険悪な雰囲気のなか名物パフェの登場」
今日は久しぶりに佳奈とのデートだ。本当は先週デートのはずだったけど、バイト先のコンビニで体調不良が二人も出て、どうしても僕が代わりに出なくちゃいけなくなった。佳奈に事情を説明すると、次のデートでレンタカーを借りて海まで連れて行ってくれるならという約束で許してもらった。
海沿いの道を車で走ってる間、佳奈はずっと窓から青い海を眺めてはしゃいでいて、僕が佳奈の好きな曲ばかりを集めて作ったプレイリス