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せーかつ

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まいにちのららら。*・゚
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#休日のすごし方

真 夏 の 甘 味 屋 さ ん

真 夏 の 甘 味 屋 さ ん

友人とふたり、買い物帰り。
ひと休みに、ちょっと甘いものが欲しいネ、と
甘味屋さんへ寄ることに。

古風な佇まいの戸をカラカラと引くと、
「いらっしゃい」
おかみさんの、明るい笑顔に迎えられました。



木製のカウンターとその奥に構える桐箪笥が
黒茶に光って渋く、
竹細工、扇子、和傘、茶釜といった装飾も加わって
小粋な雰囲気のお店です。
ふわふわと漂うオルゴールの音が
耳に心地よく届いてきます

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藤花の薫る、暮の春。

藤花の薫る、暮の春。

些細なことだったはずなのに
自信を失って、
自分のことが嫌いで堪らなくなって
落ち込んだ日。

霧雨の舞う天気の中
私は、行く宛てもなく、車を走らせました。
通りかかったとある神社。
立板には「大藤まつり」と書かれています。

天気のせいか、人影はまばらで、
ひとりでも落ち着いて楽しめそう。
寄ってみることにしました。



鳥居をくぐった先、
そこに広がっていたのは、

淡い紫のしたたる、

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結 び 目 の ま ご こ ろ 弁 当

結 び 目 の ま ご こ ろ 弁 当

町の人たちの
明るく、たくましく、他愛ない日常を
覗かせてもらっているような雰囲気が、
大好きな番組です。

中井貴一さんのナレーションが快活で
働く人たちのランチどきの風景を
元気満点に伝えてくれます。



その回の舞台は、北海道の地元スーパー。
パート歴16年の順子さんは
78歳ながら
その活気ある働きぶりとほがらかな人柄で
「みんなのお母さん」と慕われています。

清掃が主な仕事ですが

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春 隣 の ほ う じ 茶 ラ テ

春 隣 の ほ う じ 茶 ラ テ

桜は枝の先にぷっくり蕾を膨らませている。
徐々に日脚が伸びていって
夕暮れの空を眺めるのが楽しい。
青果店の店先には真っ赤な苺が、ちらほらと。

春が、ゆっくりと
近づいてくる気配がする。



「美しい日本の季語」という本を
開いている。

ページをめくるたびに現れる季語は
どれも新鮮に感じられ
表現の巧みさに感動する。

昔の人たちは日の光に合わせて
生活のリズムをつくったり、
雨や風の細や

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「  朝 焼 け 色 の 休 日 」

「 朝 焼 け 色 の 休 日 」

「今日も暗いニュースばっかりやなあ」

テレビから流れてくる情報に
頭がいっぱいになる時がある。

思わずテレビのスイッチを切った。



毎日、
通勤の車内からぼんやり眺めていた
朝の空が
他にないほど綺麗で

明日は
あの朝焼けを捕まえに行こうと
ちいさく心をはずませて
眠りについた、金曜の夜。



胡桃入りのベーグルとゆで卵、豆乳。
それから昨日の残りものポトフ。
簡単だけれど
好きな

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◇ ふたりのチーズトースト日和

◇ ふたりのチーズトースト日和

窓ガラスにやわらかく
水滴がつくような、寒い朝。

彼とふたり、台所に並んで
チーズトーストをつくる。

今日は『のび〜るチーズ選手権』。

昨日の夜、スーパーで
めいめいに「これぞ」と思うチーズを選出。

彼は森永製菓のモッツァレラチーズで
私は雪印メグミルクのとろけるスライス7枚入。

「チーズを長くのばせた方の勝ち」
たった一つの簡単ルール。

彼は食パン2枚に
スライスしたモッツァレラチー

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桃 の 花 の よ う な 店 員 さ ん の こ と 。

桃 の 花 の よ う な 店 員 さ ん の こ と 。

ずっとお世話になっている、
スキンケア化粧品の美容部員さん。

私が棚を眺めて悩んでいると
「〇〇さん、こんにちは。
今日は何をお探しですか?」
いつもちゃんと名前を呼んで、
声をかけてくれる。

可愛らしく整った顔立ちに
きめの細かい肌。
綺麗に結われた髪が
凛とした雰囲気を香らせている。
メイクはしっかりされているのに
無理のない、ナチュラルな印象。

花で表すと桃の花のような、
可憐で
その

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『 思 ひ 出 、 ぽ か ぽ か 』

『 思 ひ 出 、 ぽ か ぽ か 』

寒がり家族な我が家。

いちばん最初に目を覚ます私の日課は
朝、リビングのエアコンをつけて
父と母が起きるまでに
部屋中の空気をここちよく温めておくこと。

「さむい、さむい」と起きてきたふたりが
部屋に入ると「お、あったかい」と
言っているのが、
密かにちょっと嬉しいから。
そして妙に部屋から出たがらないのが、
ちょっと面白いから。

ただリモコンのボタンを押すだけなんだけれど、
私の大切な役目

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美しい感性を養う読書

美しい感性を養う読書

ときめくような
本に出逢った時、私には
必ず行うことがある。

本に記された
美しい表現や胸を打つ場面を
採集してゆく作業だ。

使われている動詞、副詞、名詞、形容詞、オノマトペ、それら言葉どうしの兼ね合いや関係。
まずはひとつずつ丁寧に観察する。

描かれる場面、情景、
登場人物のセリフ、考え方、行動。
些細な部分も目で追ってみる。

それから
真っ白な紙を用意し

自分は何を「素敵」と思ったの

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○ 週 末 ひ と や す み 遠 足 ○

○ 週 末 ひ と や す み 遠 足 ○

部屋中に
ふんわりお米の香りが立ち込める。

炊飯器の蓋を開けて
釜からホワンと溢れる湯気を
手で仰いでこちらに引き寄せ
鼻から思い切り
吸い込む、吸い込む。

たくさん、たくさん吸い込んで
胸の隅っこの方まで
ごはんの香りで満杯にする。

炊きたてのご飯と焼きたてのパン。
好きな匂いのツートップ。
年中無休で嗅いでいたい。

つやつやごはんの表面に
杓文字を十字にさっくり入れる。
少し硬めに炊い

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と あ る 秋 晴 れ の 日 と 万 年 筆

と あ る 秋 晴 れ の 日 と 万 年 筆

水みたいに澄みきった秋の空。
涼しさをのせてゆるりと流れる風。
あちこちできらきらしている木漏れ日。

そんな秋晴れの日、
皆さんは何をしたくなりますか

私の頭には
やりたいことがたくさん浮かんできて
朝から色々と思考を巡らせます。

白いスニーカーをさっぱり洗うのもいいし、
公園にある木の下のベンチで
のんびり読書もいいし、
冷蔵庫に残っている野菜たちを総動員して美味しいミネストローネを作るの

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〒 長月の - お手紙時間

〒 長月の - お手紙時間

届いた手紙を取っておくための箱が
半分くらい埋まり始めている。
箱・第二号をそろそろ
用意した方がいいかもしれない。

大学の頃の友人と文通を始めて
1年半になる。

やさしくて読書家で繊細で、
好きだと思うものが似ている友人が
いてくれることは私の心の支えだ。

だから私は、友人へ送る手紙には
あらゆる方法で心を込める。

読書にぴったりな春の日の手紙には
和紙でできた薄桃色の栞を入れてみたり、

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