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結 び 目 の ま ご こ ろ 弁 当

町の人たちの
明るく、たくましく、他愛ない日常を
覗かせてもらっているような雰囲気が、
大好きな番組です。

中井貴一さんのナレーションが快活で
働く人たちのランチどきの風景を
元気満点に伝えてくれます。

その回の舞台は、北海道の地元スーパー。
パート歴16年の順子さんは
78歳ながら
その活気ある働きぶりとほがらかな人柄で
「みんなのお母さん」と慕われています。

清掃が主な仕事ですが
ランチのまかないお味噌汁づくりを任されるほど
料理上手な順子さん。

同じスーパーで働く
食べっぷりのよい青年、静くんには
お弁当を作ってあげることもしばしばです。

うちの孫もこうやって社会に出てね
みんなに世話になってるんだろうと思ったらね
私が(自分の周りの)みんなに
なんかちょっとしてあげれば
その分ちゃんと
返ってきてるんだろうなあと思って


お弁当づくりの裏にある、恩返しの想い。
順子さんの声がやさしく耳に残りました。





その日のお弁当は
ロールキャベツ、干し柿と大根のマヨあえ、
マカロニサラダ、とまと、
魚のフライに卵焼き
それから
帆立と昆布の炊き込みおにぎりまで。

こちらがつばを飲んでしまうほど
美味しそうなメニュウです。


せっせと料理をこしらえる順子さんの
嬉しそうな横顔は、きっと
おいしそうに頬張ってくれる静くんの姿を
思ってのことでしょう。


ひとつのお弁当が、
孫と祖母ほど歳の離れたふたりを繋ぐ
やさしい結び目になっていて
見ていると
気持ちがやわらかくなるような、
心和む風景でした。




人と人との距離感が難しい世の中です。

離れていれば、傷つくことも無いからと
関わりを持つことに億劫になりがちですが、
近づくからこそ
人の持つあたたかさに触れることができます。

それに、歳が離れているからこそ
届けることができるもの、
素直に受け取ることができるものが
あるはずです。

決めつけず、怖がらず
歩み寄る一歩が
あたたかなおつきあいの糸口。


歳を重ねた時、
私も順子さんのように
若い世代の人に元気を届けてあげられるような、
そんな大人になれるかな、

なれていたらいいな。

エンディングの音楽が流れるなか、
将来の自分の姿を
想像してみたりしました。


(令和4年4月10日放送 NHK サラメシ)

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