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と あ る 秋 晴 れ の 日 と 万 年 筆

水みたいに澄みきった秋の空。
涼しさをのせてゆるりと流れる風。
あちこちできらきらしている木漏れ日。

そんな秋晴れの日、
皆さんは何をしたくなりますか

私の頭には
やりたいことがたくさん浮かんできて
朝から色々と思考を巡らせます。

白いスニーカーをさっぱり洗うのもいいし、
公園にある木の下のベンチで
のんびり読書もいいし、
冷蔵庫に残っている野菜たちを総動員して美味しいミネストローネを作るのもいい。
はたまた、全てを放棄して
お昼寝するにも最高だな、、

何を選んでも素敵な一日に
なることが確約されるような
お天気です

秋、すごく行動しやすい季節。
私は大好きです。

色々迷っているときに
ふと、万年筆が目につきました。


「あ、そうだ。万年筆のお手入れ。」

大好きな小説のいち場面。
秋晴れの日に主人公が
愛用の文具のお手入れをしていたのを思い出して
私もやってみることにしました。


私がいつもいつもお世話になっている万年筆は
彼から譲ってもらったもの。
今ではすっかり、
ノートをとるのが好きな私の
相棒となっています。

ブルーの持ち手でブラックのキャップ。
胴軸の直径は1cmほど。
ペン先が銀色で、紳士な雰囲気の万年筆です。
使っているインクもブルーブラック。
締まった印象がかっこよくて
書いた線にうっすら出る濃淡もお気に入り。

万年筆にはインクの吸引方法に
いくつか種類がありますが、
私が持っているのは
回転式(尾栓回転吸入式)の万年筆。
ペンのおしりの方をくるくる回すことで
インクをインク壺から吸い上げたり
吐き出したりします。
(その他、コンバーター式、カートリッジタイプなど)

万年筆はそのタイプによって少々お手入れ方法が異なるようですが
回転式のものは調べたところ、
いちばん簡単なやり方でした。

まず、万年筆の中に残っているインクを
いったんインク壺に全て出し切ります。
続いて、水を入れたコップを用意し、
ペン先を浸して
おしりの所をくるくるします。

すると、コップの水を万年筆が吸い込む。
続いて逆方向にくるくるすると
万年筆から青のインクが
ぴゅーっと水の中へ出て
それからぶわわっと広がります。
それはちょうど、
タコが墨を吐く様子みたいです。
もくもくと水に放たれたインクは
やがて全体に溶け込み、
コップの水がしだいに
微かな青色を帯びてゆきます。

色水を作って遊んでいるような気持ちになって
なんだか楽しくなりました。

この作業を繰り返して
コップの水を何度か取り替え、
インクの色が出なくなれば、洗浄完了のしるし。
最後に吸った水も全て吐き出したら
あとはティッシュで軽く抑えて
自然乾燥させるだけです。

せっかくなので、
持ち手の部分もささっとに拭きあげました。

たったこれだけの作業なのに
心はスッキリ。
それは綺麗になったからだけではなくてたぶん、

「お気に入りのものをお手入れしている」

という感覚から来たのかもしれません。

晴れの日に愛車をせっせと洗車している人も
もしかして似たような気分なのかな?


ぴかぴかの万年筆へ新たに
インク壺からブルーブラックのインクを
吸わせ、さっそく一筆。

心なしか以前より
スーッと滑らかに紙の上を走ってくれている
ような気がして、
ますます愛おしい気分になりました。


お気に入りのものに囲まれて
過ごす人生に憧れている私。
これでもいいか、と選んでしまうことも
まだまだあるけれど

お金より大事だと思えるものに
お金を使えるように
なりたい次第です。


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