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#研究

トルコの大地震で生じたPTSDの様子

トルコの大地震で生じたPTSDの様子

2023年2月6日,トルコ南東部とシリア北西部をマグニチュード7.8の大地震が襲いました。トルコとシリアを中心に大規模な被害が発生し,7万人以上が死亡,20万人以上が避難民になり,150万人以上が一時的に住む場所を失ったとのことです。

自然災害日本でも自然災害が起きると,そのタイミングで調査を行い,研究につなげようとする動きが見られます。2011年の東北地方太平洋沖地震では,心理学や医学関連の多

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睡眠時間 × 疾患リスク

睡眠時間 × 疾患リスク


📖 文献情報 と 抄録和訳All of Us研究プログラムにおける、市販のウェアラブル機器による長期モニタリングで測定した睡眠パターンと慢性疾患リスク

[背景・目的] 睡眠の健康不良は、全死因死亡率の増加や多くの慢性疾患の発症と関連している。これまでの研究では、横断的、自己報告的な調査データや睡眠ポリグラフに依存しており、データの粒度、サンプルサイズ、縦断的な情報に関して限界があった。

[

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追い掛けられる夢を見る人は実生活で

追い掛けられる夢を見る人は実生活で

最近はあまり長い時間しっかりと寝ることがほとんどないからか,夢をはっきりと覚えていることも少なくなったような気がします。

19世紀末から20世紀初めにかけて,精神分析学者フロイトは,覚醒中の体験が同じ日の夢に組み込まれる可能性があることを示しているそうです。これは,日残効果(day-residue effect)と呼ばれています(日本語訳はよく分かりません)。

メタファー「この夢はこれの反映」

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マッスルメモリーの正体Ⅱ

マッスルメモリーの正体Ⅱ

📖 文献情報 と 抄録和訳ヒトにおける筋記憶:筋力トレーニング後の筋核の永続性と長期転写制御の証拠

[背景・目的] 本研究の目的は、ヒトにおける筋力トレーニング後の細胞筋記憶のメカニズムとして、筋核の永続性と転写制御を調べることである。

[方法] トレーニングを受けていない男女12名を対象に、片側の肘関節屈筋の筋力トレーニングを10週間行った後、16週間のトレーニング解除(デトレーニング)を

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モーツァルト効果。解剖学教育に有効だった

モーツァルト効果。解剖学教育に有効だった


📖 文献情報 と 抄録和訳解剖学教育における「モーツァルト効果」とBDNFレベルとの関係の分析

[背景・目的] 1993年、モーツァルトのソナタK448を10分間聴いたボランティアの空間IQスコアが上昇することが観察され、この現象は "モーツァルト効果 "として文献に載った。他の研究でも、この効果は空間技能テストにおいて特に顕著であることが示されている。空間的能力が解剖学学習の成功に関連する

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ダークな性格と認知的共感性の関連は

ダークな性格と認知的共感性の関連は

マキャベリアニズム,ナルシシズム,サイコパシーの3つのパーソナリティ特性は,まとめてダーク・トライアドと呼ばれています。

ダークサイドこれらのパーソナリティ特性は,悪意に満ちた性質を含むことから「ダーク」と表現されます。これらの特性はしばしば,倫理的,道徳的,社会的に逸脱した行動に関連することが報告されます。

ダーク・トライアドはいずれも他者を搾取するような態度をとりがちで,目的を重視した他者

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職場で仲間外れになりやすいのはどんな人?

職場で仲間外れになりやすいのはどんな人?

職場の中で「仲間外れ」になるのは,世界中で見られる現象です。皆さんの周囲では見られるでしょうか。

仲間外れがもたらすものある調査によると,過去5年間で職場の中で,無言の扱いを受けたり,無視されたりした経験をもつ人々は,約66%にものぼるそうです。

職場での仲間外れは苦痛と脅威を伴う経験であり,仲間外れを経験した人は職場でも家庭でも問題を抱える傾向があります。職場で何が仲間外れを誘発するのかを研

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地位が低いと痛みを増幅させるのか

地位が低いと痛みを増幅させるのか

皆さんは,身体のどこかに痛みを感じてはいないでしょうか。年をとると,何かしらどこかが痛くなったりするもので,まったく厄介なことです。

痛みの影響世界的に見ても,身体の痛みに悩まされる人は増加傾向にあるそうです。

痛みは様々な活動に影響を与えます。また社会にとっても,医療費を増加させ,医療制度の課題となってもいます。また,痛みを和らげようとして,薬物やアルコールの使用,オピオイドの蔓延にもつなが

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センサーで睡眠時間を測定するとわかること

センサーで睡眠時間を測定するとわかること

最近はよく知られるようになってきましたが睡眠不足も良くありませんし,長く寝すぎるのも良くないという研究結果があるようです。

何事もほどほどが良いのでしょうかね。

睡眠時間平均睡眠時間が9時間を越えると,死亡リスクが上昇し,高血圧,脳卒中,糖尿病などさまざまな健康状態の悪化が見られるようです。しかし一方で,睡眠時間が7時間を割り込むと,糖代謝やコルチゾール分泌に悪影響が障子,神経行動上の問題が生

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就寝時刻の先延ばしがもたらす悪影響

就寝時刻の先延ばしがもたらす悪影響

現代の社会で生活する私たちにとって,睡眠不足はあまりにも当たり前のことです。しかし,睡眠時間が足りないことは,心身の健康,生活の質,活動の生産性などなど,多くの問題をもたらす要素になります。

特に若い世代にとっては,睡眠時間を十分に確保できないことは発達的にも問題になりそうです。

就寝時刻の先延ばし先延ばしというのは,しなければいけないことになかなか取り組むことができない傾向のことを指します。

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脳卒中 × Obesity Paradox。低体重が転帰不良のリスク

脳卒中 × Obesity Paradox。低体重が転帰不良のリスク

📖 文献情報 と 抄録和訳肥満度が虚血性脳卒中および出血性脳卒中の転帰に及ぼす臨床的影響

[背景・目的] 急性虚血性脳卒中および出血性脳卒中後の臨床転帰における体格指数(body mass index, BMI)の予後への影響を検討すること。

[方法] 対象は、2006年1月から2020年12月までの間に急性期脳卒中を発症し、日本脳卒中データバンク(病院ベースの多施設脳卒中登録データベース)

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教育歴と死亡リスク

教育歴と死亡リスク

📖 文献情報 と 抄録和訳日本における全死因死亡率と特定死因死亡率の教育格差:2010-15年の国勢調査連動死亡率データ

[背景・目的] 全国的な死亡不平等モニタリングの枠組みがないため、日本における死亡不平等の全体像は不明確なままである。ここでは、日本における死亡率の教育的不平等とその原因別寄与について調査した。

[方法] 2010年国勢調査と2010年10月1日~2015年9月30日の死

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反生産的な仕事をする人の性格

反生産的な仕事をする人の性格

非生産的職務行動(CWBs)という表現があります。「非生産的」と訳されていますが,最初の単語はcounterproductiveですので,「反生産的」としたほうがよいかもしれません。

これは,組織や組織のメンバーの福利を損なう方向での,従業員による意図的な行動だとされるものです。

CWBs非生産的職務行動は,個人を対象とした逸脱行動(CWBI)と,組織を対象とした逸脱行動(CWBO)に分類され

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サイコパシーが犯罪につながるポイント

サイコパシーが犯罪につながるポイント

アメリカの精神科医ハーベイ・クレックリーは,1941年の著書『The Mask of Sanity(正気の仮面)』の中で,サイコパシーの中核的要素を整理しています。それは,感情面の乏しさ,対人関係から離れること,抑制の効かない行動傾向といった特徴です。

適応的サイコパシーサイコパシー特性が高くても,必ずしも犯罪者になるわけではありません。確かに,一般の人々の間における問題を伴うサイコパシーの割合

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