ダークな性格と認知的共感性の関連は

マキャベリアニズム，ナルシシズム，サイコパシーの3つのパーソナリティ特性は，まとめてダーク・トライアドと呼ばれています。

「性格が悪い」とはどういうことか　――ダークサイドの心理学 (ちくま新書 １８０６)

ダークサイド

これらのパーソナリティ特性は，悪意に満ちた性質を含むことから「ダーク」と表現されます。これらの特性はしばしば，倫理的，道徳的，社会的に逸脱した行動に関連することが報告されます。

ダーク・トライアドはいずれも他者を搾取するような態度をとりがちで，目的を重視した他者の感情的な操作を行う傾向もあるとされます。他者から自分の利益になるようなことを搾取して，自己中心的に振る舞うことはダーク・トライアドに共通する特徴です。

認知的共感性

他者の精神的状態，感情的状態を知覚し，認知し，理解する能力は，社会を構成する動物としての私たちにとっては非常に重要なポイントです。共感する能力は，周囲の人々の状態を深く理解することにつながり，向社会的行動を促すこともあります。

共感性は大きく2つの要素に分けることができます。情動的共感性と，認知的共感性です。情動的共感性は，他者の心の状態を感情面で共有する経験を指します。そして認知的共感性は，感情に関連する情報を認識します。

他者を利用することを考えると，認知的共感性は保ちつつ，情動的共感性を抱かないことが有利に働くかもしれません。ということは，ダークなパーソナリティはそのような関連を示すのでしょうか。メタ分析で関連を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう（Cognitive Empathy and the Dark Triad: A Literature Review）。

Cognitive Empathy and the Dark Triad: A Literature Review