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展覧会日記

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訪れた展覧会の感想を記録しています。
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座れる展覧会:「フィン・ユールとデンマークの椅子」展@東京都美術館

座れる展覧会:「フィン・ユールとデンマークの椅子」展@東京都美術館

都内では28日ぶりの猛暑日となった日曜日、デンマークのデザイナーで、「彫刻のような椅子」と評される優美な作品で知られるフィン・ユールの展覧会を観に行ってきました。
展示の見どころは、なんといっても展示されている椅子に実際に座れるというところ。椅子好きにはたまらない展示でした!

第1章 デンマークの椅子 そのデザインがはくぐまれた背景

展示は3章構成で、第1章「デンマークの椅子 そのデザインがは

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北斎かける百人一首@すみだ北斎美術館

北斎かける百人一首@すみだ北斎美術館

2月に入りましたがまだまだ気分は年明け、年明けといえば百人一首! ということで、すみだ北斎美術館「北斎かける百人一首」展に行ってきました。

この展覧会は、葛飾北斎が描いた大判錦絵「百人一首乳母かゑとき」を中心に、江戸時代中期の人々に浸透していた百人一首にまつわる浮世絵を紹介するものです。

「百人一首乳母かゑとき」は北斎最後の大判錦絵シリーズで、「乳母が絵解きをする」ように大人が子供に作品を見せ

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【スフマート様にて掲載】智美術館「現代のやきもの」展

【スフマート様にて掲載】智美術館「現代のやきもの」展

アート系情報メディア スフマート(Sfumart)様にて、六本木にある智美術館「現代のやきもの」展の読者レビュー記事を掲載していただきました!

現代陶芸の魅力を伝える美術館智美術館は現代陶芸のコレクターであった菊地智(1923~2016)の収蔵品を母体に開館した美術館です。虎ノ門ヒルズ駅(東京メトロ日比谷線)から徒歩8分、高層ビルが立ち並ぶ一角に忽然と現れる白い塀に囲まれた空間です。

今回初め

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桃山時代と近代障壁画の競演@サントリー美術館「京都・智積院の名宝」展

桃山時代と近代障壁画の競演@サントリー美術館「京都・智積院の名宝」展

会期末駆け込みダッシュでサントリー美術館「京都・智積院の名宝」展に行き、長谷川等伯の障壁画を堪能しました。

明後日1/22(日)閉幕ということもあって、平日にもかかわらず10:00の開館前は入場列ができていました(開館後はスムーズに入れました)。

本展は、京都・東山に建つ智積院が誇る、長谷川等伯と息子・久蔵が手掛けた金碧障壁画「楓図」「桜図」をはじめとした美術品を紹介するものです。なんと寺外で

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 junaida展「IMAGINARIUM」@PLAY! MUSEUM

junaida展「IMAGINARIUM」@PLAY! MUSEUM

12月に入り、街はクリスマス一色。皆何となく浮足立ち、店や民家の軒先が様々に装飾されるこの季節に、赤や金で彩られる空間を楽しめるjunaida展「IMAGINARIUM」はぴったりかもしれません。

junaida展「IMAGINARIUM」「IMAGINARIUM」展は、『Michi』『怪物園』などの絵本作品で知られる画家・junaidaの初の大規模個展です。オリジナルのイラストレーション作品は

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「加藤泉一寄生するプラモデル」@ワタリウム美術館

「加藤泉一寄生するプラモデル」@ワタリウム美術館

冬の入り口、毎日気温が乱高下して寒暖差でやられそうです。運がよく晴れた日、ワタリウム美術館「加藤泉一寄生するプラモデル」展へ行ってきました。

「加藤泉一寄生するプラモデル」展「加藤泉一寄生するプラモデル」展(2023/3/12(日)まで)は、アーティスト・加藤泉氏がコロナ禍の折、昔生産された動物のプラモデルを取り入れて彫刻作品を制作したのをきっかけに、オリジナルのプラモデル制作まで突き進む過程の

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「ヴァロットンー黒と白」展@三菱一号美術館

「ヴァロットンー黒と白」展@三菱一号美術館

1894年、ジョサイア・コンドルが設計したレンガ造りの洋館で知られる三菱一号美術館。

洋館を再利用した美術館は他にもありますが、三菱一号美術館はさらに周辺もレンガ壁のビルで囲まれ、小さな公園のような空間でくつろげることや、東京駅からのアクセスのよさも相まって定期的に通ってしまいます。

今回は特別展「ヴァロットンー黒と白」展を観てきました。

フェリックス・ヴァロットンフェリックス・ヴァロットン

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「大蒔絵展——漆と金の千年物語」@三井記念美術館

「大蒔絵展——漆と金の千年物語」@三井記念美術館

三井記念美術館「大蒔絵展」、会期ぎりぎりに駆け込んできました。

異素材と競演する素材、漆この展示の凄いところはタイトルにまったく誇張がない点です。
平安時代から現代の人間国宝たちの作例に至るまでの蒔絵作品を一気通貫で観ることのできる、まさに「大」蒔絵展であり「千年物語」。

漆芸展はよく訪れるのですが、一度に漆芸史を辿れる展示ははじめてです。しかも、三井記念美術館・MOA美術館・徳川美術館の3館

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江戸時代の人も本に落書きしてた「北斎ブックワールド ―知られざる板本の世界―」展@すみだ北斎美術館

江戸時代の人も本に落書きしてた「北斎ブックワールド ―知られざる板本の世界―」展@すみだ北斎美術館

読書の秋ですね。突然ですが皆さん、絵本や教科書に落書きしたことはありますか?

私は小さい頃ハリー・ポッターシリーズが大好きで(発売日に本屋で並んだリアルタイム世代)、『幻の動物とその生息地』の後ろのページにあったメモ欄に各登場人物のメモ(「ロンは字がきたない」とか)を書き殴っていた記憶があります。中学生くらいになってから落書きの存在を忘れてその本を友達に貸し、返してもらう時にすっごいニヤニヤされ

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ステンドグラスに圧倒される@小樽芸術村

ステンドグラスに圧倒される@小樽芸術村

前回に引き続き、今回も北海道で訪れたミュージアムについて記録します。

札幌から電車で約40分ほどの港町、小樽。小樽は明治時代に物流業やニシン漁産業の街として栄え、銀行や商社が軒を連ねる経済都市に成長を遂げました。現在でも、小樽運河の両岸には当時のレンガ建築が立ち並び、美しい街並みが保存されています。

小樽芸術村今回訪れたのは似鳥文化財団が運営する小樽芸術村。ちなみに似鳥文化財団の「似鳥」は北海

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イサム・ノグチの作品に包まれる@モエレ沼公園

イサム・ノグチの作品に包まれる@モエレ沼公園

秋の深まる中、冬の気配が来る前に急げとばかりに北海道・札幌に行ってきました。
3日間の滞在の中で、めいっぱいはしゃいだのが彫刻家イサム・ノグチが設計したモエレ沼公園。ここに「いる」ことの楽しさを再認識できる場でした。

モエレ沼公園は札幌の東側、JR札幌駅からは地下鉄とバスを乗り継いで約1時間の場所に位置します。
元はゴミ処理施設場でしたが、1982年ごろから公園に作り替える計画がスタートし、さら

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個性豊かなコレクターたち「美をつくし」展@サントリー美術館

個性豊かなコレクターたち「美をつくし」展@サントリー美術館

9/14(水)~11/13(日)まで開催のサントリー美術館「美をつくし」展に行ってきました。「紀元前から近代まで」の名に違わず、幅広い年代の日本・中国美術が見られる展示です。

「美をつくし 大阪市立美術館コレクション」展この展覧会は、現在改修工事中(2925年春まで)の大阪市立美術館が収蔵している、日本中世~近代の美術工芸・中国美術・仏教美術を一堂に会して展示するものです。
タイトル「美をつくし

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鹿がペッてした毛玉「河内長野の霊地 観心寺と金剛寺─真言密教と南朝の遺産─」@京都国立博物館

鹿がペッてした毛玉「河内長野の霊地 観心寺と金剛寺─真言密教と南朝の遺産─」@京都国立博物館

お盆にいくつか京都のミュージアムを回ってきたので、京博をメインにいくつか感想を書く。
鹿がペッて吐き出した毛玉、「鹿玉」のことばっかり書いているがそれ以外もとてもいい展覧会でした。

「河内長野の霊地 観心寺と金剛寺」@京都国立博物館京都国立博物館といえば、ずっと平成館1Fに鎮座していた巨大な大日如来坐像・降三世明王・不動明王の三尊が印象的だった。

その金剛寺と、同じ大阪・河内長野市にある観心寺

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ひつじのショーン展@美術館「えき」KYOTO

ひつじのショーン展@美術館「えき」KYOTO

夏休みの遠出のついでに、JR京都駅の伊勢丹7Fにある美術館「えき」KYOTO「ひつじのショーン」展を観てきました。2007年の公開開始からなんと15周年の記念展だそうです。

展覧会前半は、「ひつじのショーン」の絵コンテや、撮影で使ったセットや小道具を使用したジオラマの数々が展示されています。

人型のパペットが大体15~20cmくらいで、実際目にすると結構大きめに感じます。実際の映像では一瞬しか

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