芝々(11/11文学フリマ東京37/S-31)

展覧会巡りと編み物、読書を好む引きこもりです。 noteでは、展覧会巡りの記録やエッセ…

芝々(11/11文学フリマ東京37/S-31)

展覧会巡りと編み物、読書を好む引きこもりです。 noteでは、展覧会巡りの記録やエッセイを書きます。 5/21文学フリマ東京36出品予定。 短歌日記ZINE、展覧会で観た鹿の毛玉ほりさげZINE販売中 https://shibashiba.booth.pm/

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祖母と編む

6月に亡くなった祖母は、棒針がついたままの編地を遺していったので、私はそれを編み継ぐことにした。 祖母、エーコさん 私の祖母、エーコさんはかぎ針も棒針も使いこなす人で、私にもよくマフラーを編んでくれた。彼女から直接教わったわけではないが、私が編み物をはじめたのはエーコさんの影響も強い。 亡くなった日、エーコさんはまったくいつも通りの一日を過ごしていた。祖父と一緒に洗濯物をたたんでいたとき急に倒れ、そのまま意識が戻らなかったそうだ。 報せを受けた私は、まったく実感のわかな

    • 【短歌と絵本】2023/11/11 文学フリマ東京37お品書き【メメント森書房S-31】

      2023/11/11(土)、文学フリマ東京にて芝々による短歌エッセイと、画家・とんかちしょうねんによる作品集&絵本を出品します。 ブースは第一展示場S-31。初の詩歌ジャンルでどきどきしています。 今回の芝々『メメント短歌』表紙は前回に引き続きとんかちしょうねん氏。「Excelの最後の列まで跳ぶように横断歩道駆け抜けよきみ」をイメージして描いていただきました。 文学フリマ東京37 開催概要 🕙11/11(土) 12:00〜17:00開催 📍東京流通センター 第一・第二

      • 【短歌日記】なかよしのさんにんぐみのふりしてる ふたりとひとりのひとり側で(9/10~10/9)

        はや一カ月、更新が滞っていたひとえに怠惰のせいである。ありがちながら、言い訳は仕事。数か月前から始めたものが徐々に量を増し、可処分時間の多くを費やすようになった。現在は週2~3回、帰りの電車内で半分寝かけながら「うたの日」の21時部屋か23時部屋に即詠のものを何とか出すというありさまだ。 せめてもの思いで、一カ月に詠んだ短歌をダイジェストで記録しておく。 なかよしのさんにんぐみのふりしてる ふたりとひとりのひとり側で JとFキーがでろりと輝いた おもに私の指のあぶらで

        • 【短歌日記】「です」なんて言い切れるのはごく稀で「と思います」の連続を生く 2023/09/03-2023/09/09

          2023/09/03 三角を2つつないで蝶とする虫の部分は無いものとする うたの日「蝶」。虫全般が苦手で、蝶を見ても美しい羽根より胴部分に目が行ってしまう。歴然と虫で怖い。 2023/09/04 月曜日、呆然としていたら過ぎた。 2023/09/05 斬斬と声出し2社目の同期らをブロックしてく 気付かれもせず うたの日「斬」。ふと思い立ってグループラインをいくつか抜ける。 2023/09/06 03と任意の3桁と0783(おなやみ)をダイヤルしてく誰か聞いてよ

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          【短歌日記】 無くなれば買い足せばいいヘアピンの一本である非正規の我 2023/08/27-2023/09/02

          2023/08/27 豆苗は買う時少し悩みたい一週間の付き合いだから うたの日「豆」。 豆苗を塩昆布で和え、残った根っこに水をやる。窓辺に置いておき、ふと豆苗のケースに手をやるとぬるま湯くらいの熱さになっていた。 2023/08/28 6食の米を炊いては凍らせる一日パンの余白を残し うたの日「米」。 同僚の約半数が炊飯器を持っていないということが判明する。若干驚くとともに、自分も一人暮らしの頃は1回3合まとめて炊いて冷凍保存しつつもうっすら面倒くさいと思っていたので納

          【短歌日記】 無くなれば買い足せばいいヘアピンの一本である非正規の我 2023/08/27-2023/09/02

          【短歌日記】あたしの肉は何色ですか 2023/08/20-2023/08/26

          2023/08/20 しゃぼん玉みたいに光る虹色の石油が混じる水たまり越ゆ うたの日「渡」。 水に浮かんだ油を眺めるのが結構好きだ。石油まじりの水たまりはもちろん、ラーメンに浮かぶ斑点もいい。ぬるぬると形も色も変えていく光景は飽きない。 2023/08/21 猪を牡丹と喩えた人に訊く あたしの肉は何色ですか うたの日「猪」。 ざくろ色なのだろうか。 2023/08/22 生まれつき太ももにある粉瘤は王家の血を引く証じゃなかった うたの日「瘤」。 ふとももに8mmく

          【短歌日記】あたしの肉は何色ですか 2023/08/20-2023/08/26

          【短歌日記】穿たれて絵を掛けてまた埋められる画廊の壁のごとき我が頬 2023/08/13-2023/08/19

          2023/08/13 押入れに『蛍雪時代』ふりつもり夜食を喰らう若き父見た うたの日「蛍」。 「蛍雪時代」は大学受験生向けの雑誌名で、言うまでもなく夏も冬も苦学する「蛍雪の功」から来ているのだろうと思うのだが、私の中では断然冬のイメージが強い。紅白で歌う「蛍の光」の印象が強いせいだろうか? 真冬の午前2時にぬるいうどんをすする受験生がどうしても想起される。 2023/08/14 大の字を犬にするべく集まった兵どもの足跡を追う うたの日「好きな山」。 故郷のお盆では、祖

          【短歌日記】穿たれて絵を掛けてまた埋められる画廊の壁のごとき我が頬 2023/08/13-2023/08/19

          【短歌日記】ヤクザらもスプシにSUMと書くだろう 2023/08/06-2023/08/12

          2023/08/06 着古したMUJIシャツの襟やぶれだし有印そして悪品となる うたの日「良」。 社会人となり、服に興味を失うとともにワードローブの中身が停滞し、ちらほら10年ものの服が増えてきた。3日に1度くらい袖を通しているTシャツにふと毛玉の群れを発見し、ショックを受ける。ダサいではなくみすぼらしいのフェーズに入ってきた。やばい。 2023/08/07 ヤクザらもスプシにSUMと書くだろう わたしとおなじ血の色のひと うたの日「ヤクザ」。 ヤクザのものものしい事

          【短歌日記】ヤクザらもスプシにSUMと書くだろう 2023/08/06-2023/08/12

          【短歌日記】出し切った麦茶パックは親よりもあたしに似てる 明日はごみの日 2023/07/30-2023/08/05

          2023/07/30 意味を成すあなたの声を拾おうとダイヤル1mmずつ回す夜 月末、久々に仕事らしい仕事の無い日曜日。ここぞとばかりにうだうだし、昨日書店で見かけて買うか迷った津村記久子『うどん陣営の受難』を買う。買ってよかった。うどんは政治。The personal is Political. 2023/07/31 親指の付け根の肉は休めないインターネットの世紀のせいで うたの日「筋肉」。 スマホの使い過ぎ、キーボード打ち過ぎによる慢性的な腱鞘炎を抱えている。もちろ

          【短歌日記】出し切った麦茶パックは親よりもあたしに似てる 明日はごみの日 2023/07/30-2023/08/05

          【短歌日記】触ったら泥水になる雪のごと善行と思う善行は消ゆ 2023/07/23-2023/07/29

          2023/07/23 爪の間に詰まった土が取れなくて指先だけがマンガの住人 小さい頃、マンガや絵本ではすべてに輪郭線が付いているのに現実ではそうでもないこと、マンガの人の鼻はスラっとしていて格好いいのにリアルの人間のそれには不格好な穴が2個も開いていることなどに納得しかねていた。 今となっては、こういう事項は心の地中に深く埋まっていて普段意識しないけれど、短歌を詠んでいると、たまにそれらが発掘される。 2023/07/24 会議には出ないし電話も取らないし旅行者みたく

          【短歌日記】触ったら泥水になる雪のごと善行と思う善行は消ゆ 2023/07/23-2023/07/29

          【短歌日記】太陽町ハイツ202号室 1K2万日照ゼロです 2023/07/16-2023/07/22

          2023/07/16 太陽町ハイツ202号室 1K2万日照ゼロです うたの日「太陽」。 「太陽」とか「光」とかポジティブな単語の付いた町や建物は何となく怖い。住所を書く度に、自分の生活の明るさが吸い取られていくような気がする。 2023/07/17 飲み干したポカリはすぐに体外に滲む ほら海わたしの海だよ うたの日「海」。 引き続きホットヨガに通っている。レッスン中に1Lほどの水をがぶがぶ飲むのだが、飲んだ端から汗になるのかと錯覚するくらいだばだば汗まみれになる。

          【短歌日記】太陽町ハイツ202号室 1K2万日照ゼロです 2023/07/16-2023/07/22

          【短歌日記】今日帰る願掛けとして冷凍のミンチを溶かす 2023/07/09-2023/07/15

          2023/07/09  その女児はブルース・リーを葬ったDVDによだれを垂らし うたの日「ブルース」。 幼い頃、私はあまたものディスク型記録保持装置を破壊した、らしい。ケチャップや鼻水やもろもろの液体でべっとりした手でDVDの裏面を触りまくったのだろう。父のコレクションがだいぶ犠牲になったそうだが、被害総額は知らないし覚えてもいない。 2023/07/10  マドラーのように熱波をかき混ぜる溶かす砂糖も無いまま回る うたの日「自由詠」。 猛暑だ。あとこれが2ヶ月く

          【短歌日記】今日帰る願掛けとして冷凍のミンチを溶かす 2023/07/09-2023/07/15

          【短歌日記】腐らせたって何者かになる 2023/07/02-2023/07/08

          短歌日記を一週遅れで更新します。(前週、平日にきつめの風邪を患ってぎりぎりだったので) 2023/07/02 手がしびれ君のあたまに傘骨を刺しちゃう 星が1個減ってく うたの日「相合傘」。 非力なので、相合傘を持つ手が段々に下がり、相手の頭に傘の骨を刺してしまう常習犯です。でも、毎回友だちに傘を差しかける時には自分の力の無さを忘れてしまう。申し訳ない。 2023/07/03 湯婆婆は「飛翔体」から「翔」を取りニュースに戻す 贅沢な名だ うたの日「翔」。 「飛翔体」がニ

          【短歌日記】腐らせたって何者かになる 2023/07/02-2023/07/08

          諸般の事情でMPが切れ、短歌日記は一週スキップします……

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          【短歌日記】ふたりともたがいを看取ることはできない 2023/06/25-2023/07/01

          2023/06/25 くちづけたあなたとわたし ふたりともたがいを看取ることはできない うたの日「限」。 切れかけていた床用ウェットシートを補充するなど、細かい生活のメンテナンスをする日だった。大変にまっとうだけれど、健全な日こそ「私はこの先誰を看取るのだろう」という考えが脈絡もなく頭をよぎっては通り過ぎていく。 2023/06/26 昼は児を夜は盛った猫を模し いつも飽かずにうみねこは鳴く うたの日「いつ」。 ここ数カ月、うみねこが近所に飛来している。鳴き声を聞き

          【短歌日記】ふたりともたがいを看取ることはできない 2023/06/25-2023/07/01

          【短歌日記】用の美と言うことにしてくれまいか 2023/06/18-2023/06/24

          2023/06/18 「お父さん」じゃなく「おれ」と父は言う たぶんわたしが家を出てから うたの日「俺」。 「お父さん」や「お母さん」を一番初めに自称するシーンも気になる。自発的に「お父さん/お母さん」と口に出すというよりは、周りの人々に「もうお父さん/お母さんなんだから」と言われる中で、知らぬ間に一人称も「お父さん/お母さん」に染まっていくのだろうか。今度帰省したら両親に聞いてみようと思う。 2023/06/19 踏まれつつ虚空を見てる餓鬼たちの気持ち味わう満員電車

          【短歌日記】用の美と言うことにしてくれまいか 2023/06/18-2023/06/24