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【短歌日記】あたしの肉は何色ですか 2023/08/20-2023/08/26



2023/08/20 しゃぼん玉みたいに光る虹色の石油が混じる水たまり越ゆ

うたの日「渡」。
水に浮かんだ油を眺めるのが結構好きだ。石油まじりの水たまりはもちろん、ラーメンに浮かぶ斑点もいい。ぬるぬると形も色も変えていく光景は飽きない。

2023/08/21 猪を牡丹と喩えた人に訊く あたしの肉は何色ですか

うたの日「猪」。
ざくろ色なのだろうか。

2023/08/22 生まれつき太ももにある粉瘤は王家の血を引く証じゃなかった

うたの日「瘤」。
ふとももに8mmくらいの粉瘤があり、押すとぐにぐに動く。幼い頃から数か月周期で瘤がどうしても気になり、ついつまんで爪を立てたりしてしまう。この瘤をいつか皮膚科で取り出してもらい、中身を目にするのが人生の目標だ。


2023/08/23 無洗米5kgが稲何本分かも知らず毎日食べる

うたの日「稲」。
私が口に入れる一日平均一合の米も、稲換算何本分なのだろうか。大きな数字のことを考えると、いつも何も考えずに過ごす日常がそら恐ろしくなる。

2023/08/24 麻酔とはわたしと他人になる薬 歯茎からまだ鉄の味する

うたの日「麻」。
歯医者で抜歯した後、麻酔が残っていてうまく口が動かず、うがいした水が唇からだらだら出ていくことがある。できると認識すらしていなかったできることができなくなり、自分が動けない無機物になった気持ちだ。

2023/08/25 「栗花が咲いた」の文が飛ばされた国語を受ける女子校5限

うたの日「栗」。
タイトルもあらすじも忘れてしまったが、いつも一文一文をしつこいくらい精読させる先生だったので妙に記憶に残っている。

2023/08/26 あいまいな規律に乗って歩いてく5a出口は右手側です

ひさびさに都会へ行った。地下鉄出口が1から10以上、さらにいくつかは2a,2b…とfまで続くような駅だ。

銀座松屋のブルーナ絵本展を見て、ミッフィーの描線は極細の筆で何度もなぞられるようにして描かれるものだと知った。AdobeのIllustratorで描いた線のように正確無比に見える線は、職人的な技で生まれていたのか。


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