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【短歌日記】今日帰る願掛けとして冷凍のミンチを溶かす 2023/07/09-2023/07/15



2023/07/09  その女児はブルース・リーを葬ったDVDによだれを垂らし


うたの日「ブルース」。

幼い頃、私はあまたものディスク型記録保持装置を破壊した、らしい。ケチャップや鼻水やもろもろの液体でべっとりした手でDVDの裏面を触りまくったのだろう。父のコレクションがだいぶ犠牲になったそうだが、被害総額は知らないし覚えてもいない。


2023/07/10  マドラーのように熱波をかき混ぜる溶かす砂糖も無いまま回る

うたの日「自由詠」。

猛暑だ。あとこれが2ヶ月くらいは続くのだと思うと絶望する。何が辛いかと言えば、朝、汗をだらだらかきながら息も絶え絶えにオフィスに辿り着いたと思ったら、体感気温18℃はゆうに切っている冷房地獄に放り込まれることである。冬用の裏起毛カーディガンを羽織っても手先が冷え切り上手く動かない。

同じオフィスの同僚はもちろんみんな半袖なので、多分出勤してない日は「あの毛玉ぼろぼろカーディガンの人」と呼ばれているのだろうと思う。


2023/07/11  子、士、子、士と何度唱えて書こうとも「在じます」から逃れえぬ我

うたの日「存」。
存/在はもちろん、辛/幸も若干区別がついていない。

2023/07/12 今日帰る願掛けとして冷凍のミンチを溶かす 帰ったら焼く

うたの日「願」。
平日に自炊をする気力が無いので、普段は休日下味冷凍しておいた肉を、適宜溶かして焼いて夕食としている。だが、生活が乱れると、そもそも朝に肉を冷凍庫から冷蔵庫に移すこともままならず、毎日冷凍スパゲッティに頼ってしまう。前週、病気で寝込んだ影響が残っているのか、今週ぜんぜん肉を溶かせておらず、焦る。

2023/07/13  スクロール10回分を1日に消費していた貪欲な恋

うたの日「遠距離恋愛」。
LINEに堆積したやり取りを、きちんとテキストファイルにエクスポートして保存しておきたいような、そこまでやるのは若干気持ち悪いという自意識が邪魔するような気持ちのまま放っておいている。

2023/07/14 早退を告げたチャットに「了解」が全員付くまでボスは見ている

うたの日「早」。

私事と仕事の区別が簡単につかなくなってしまう性格なので、職場のチャットは絶対に絶対に家では見まいと決めていたものの、前週に欠勤の連絡をするため家でチャットを開いてしまった。以降、休日でも1日3回くらいはチェックしてしまう。たいした仕事も任されていないくせに。


2023/07/15 「運動じゃ足らんサプリも飲みな?」ジムに貼られたビラは囁く

うたの日「罠」。

最近ホットヨガを始めたのだが、教室のロッカーやシャワールームの至る所に高価なサプリ購入を促すビラが貼られている。サプリを飲まないとストレスで老化が進むそうだ。「うちらはヨガやってるからまだマシかもだけど、やっぱりやれることはしておきたいよね!」とビラに描かれたいらすとやの女性が述べている。「ヨガやってるからまだマシ」と言わせるあたり悪辣だ。

教室も商売やねんし仕方ないわな、と諦めつつも、どこまでも脅されている気がしてちょっとしんどい。


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