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桃山時代と近代障壁画の競演@サントリー美術館「京都・智積院の名宝」展

会期末駆け込みダッシュでサントリー美術館「京都・智積院の名宝」展に行き、長谷川等伯の障壁画を堪能しました。

明後日1/22(日)閉幕ということもあって、平日にもかかわらず10:00の開館前は入場列ができていました(開館後はスムーズに入れました)。

本展は、京都・東山に建つ智積院が誇る、長谷川等伯と息子・久蔵が手掛けた金碧障壁画「楓図」「桜図」をはじめとした美術品を紹介するものです。なんと寺外での両作品同時公開は初とのこと。

実際に見る障壁画は、そのサイズの大きさもあって壮観の一言に尽きます。

そしていつまでも見飽きなかったのは、長谷川等伯「十六羅漢図屏風」(桃山時代 慶長14年[1609])。

飄々とした羅漢たちのポーズや表情も面白いのですが、彼らの衣に胡粉や金泥でほどこされた細かな模様に見惚れてしまいます。身も蓋もない比喩ですが、「トーンでも貼ったん?」というくらい正確無比に1cm大くらいの文様が衣を覆っています。獅子の毛や波頭の描線も繊細な描き込みです。
また、薄墨によって金の輝きが綿密に調整されていて、吹き荒れる風が墨で表されていたり、逆に墨を入れないことでこちらへやってくる龍から発せられる後光がパッと光って見えたりと、等伯の画技が光る作品です。

第一展示室の4Fで「桜図」「楓図」「十六羅漢図屏風」など長谷川等伯率いる等伯派の作品をじっくり鑑賞した後、3Fに下がると今度は打って変わって近代日本画に出迎えられます。

1947年に焼失し、1958年立て替えられた智積院の宸殿のため、京都画壇で活躍した堂本印象が描いた本作。二人の女性がピクニックする様子というモチーフ、明るく春を思わせるような色彩ともに目を惹く作品です。
手前の椅子にお座りなさいと招かれているようにも感じます。作中にそれぞれ異なるデザインの椅子が5つあり、何かしらこだわりがあったのかどうかも気になるところ。

おなじく堂本印象による「松桜柳図」も、「婦人喫茶図」のように目が覚めるような鮮やかな色彩ですが、画面全体を大胆に横切る木の幹は等伯「桜図」に通じるものを感じます。

この鮮やかで現代的な障壁画、ぜひ宸殿で本来の場所に納まった形で観てみたい……! 普段は非公開のようですが、2021年冬には特別公開も行っていたようです。また公開されるならぜひ行きたいですね……

桃山・近代日本画の対比が鮮やかな展覧会です。1/22(日)まで、六本木・サントリー美術館にて開催。

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