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すずきかんたの思考

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すずきかんたの思考や主張、意見のまとめです。
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#法律

『一般的客観的に判断する』という規範

『一般的客観的に判断する』という規範

…一般的客観的に判断する…。

法律を学んでいる読者の方の中には、こんな規範を見た事がある人や、論文や答案で書いた事がある人がいるだろう。

筆者も答案や論文を書く際に、書いた事がある。

しかし、よくよく考えると、この規範には違和感を覚える。

はたして本当に「一般的客観的に判断」できる人なんているのだろうか。

所詮答案や論文の当てはめなんて、某有名人の言葉を借りるならば「それってあなたの感想

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冤罪

冤罪

冤罪―。

無実の罪で刑罰を科せられる事。

…怖すぎない?

いつでも誰でも起こり得るものだし。

刑罰を科されなくても、逮捕されたり勾留されたりするのでも十分嫌だよね。

こうしている間にも、あなたは身に覚えがない罪で現行犯逮捕されるかも知れない。

明日自宅で目覚めたら、警察が逮捕状持って玄関先に来るかも。

気にし過ぎだろう、とか、そんなの自分には起こるはずがない、なんて思っている読者の人

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完全犯罪のやり方

完全犯罪のやり方

本記事では、タイトル通り、完全犯罪のやり方を考えてみる。

また、念のため予め断っておくべき事項が2つ。

まず1点目。

本記事では具体的な犯罪の方法を検討したりするが、決して犯罪行為を推奨している訳では無い。

仮に犯罪をするなら自己責任でお願いしたい。

筆者は一切の責任を負いかねる。

次に2点目として、当然の事だが、本記事の一部のみを恣意的に切り取って色々と言うのではなく、最後まで読んだ

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権利の上に眠る者は保護されない―。

権利の上に眠る者は保護されない―。

民法には消滅時効ってのがある。

簡単に言えば、長期間権利があるのに行使しないと、その権利が無くなっちゃうよ、っていう制度。

例えば、1990年5月20日にAさんがBさんに10万円貸したとしよう。

そうすると、普通に考えてAさんはBさんに10万円返せって言える訳だけど、仮に2023年現在まで何も言わなかったら、もう金返せって言えないよ、って話。

で、なぜ

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覚えられない…。

覚えられない…。

この記事は愚痴です。笑

なので、興味無い人はスキとフォローだけして、この記事を閉じてください。笑

では、以下愚痴です。

私は予備試験のために暗記をしないといけないんだが、それができない…。

暗記のために良いとされている色々な方法も試した。

例えば、歩きながら覚えるとか、語呂合わせ作るとか、理解して覚える、とか。

それでも覚えられないものは覚えられない。

語呂合わせとかに至っては、作っ

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病気は言わないとダメ?

病気は言わないとダメ?

憲法記念日―。という事で、ちょっと憲法っぽい話をしてみる。

で、その内容はタイトル通り、病気は言わないとダメ?って話。

例えば、就活や、アパートを借りるとき。

面接官や大家に「病気持ってないよね?」みたいに聞かれたとき、答えないといけないかって話ね。

なお、予め言っておきますが、本記事の内容はあくまで抽象的な話なので、個別具体的な事情によって結論は変化し得ます。
また、筆者は弁護士でも憲法

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窃盗癖(クレプトマニア)患者と窃盗罪―不法領得の意思に着目して―

窃盗癖(クレプトマニア)患者と窃盗罪―不法領得の意思に着目して―

今回はタイトル通り、窃盗癖(クレプトマニア)の患者と窃盗罪について、特に不法領得の意思の観点から検討してみたい。

参考文献は以下の通り。

それでは本題。

窃盗癖(クレプトマニア)とは?クレプトマニアは、れっきとした精神疾患である。

「この障害の基本的特徴は、物を盗むという衝動のために窃盗を繰り返すことである。ほとんどが万引きである。ただし、盗むのは、個人的な実利や金儲けのため、復讐のためと

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不自由なルールを破りたい!ってなったときに読んで欲しい記事。

不自由なルールを破りたい!ってなったときに読んで欲しい記事。

法律、校則、マナー…。

世の中には無数の『ルール』が存在する。

そして私達は当然のようにこれらを守ることを求められ、ルールに反するような場合には、制裁等の何らかの不利益を被ることもある。

このようなルールは私達の自由を制約するものである場合が多い。
にも関わらず、なぜ正当化され、受け入れられるのか。

それは、ルールに『必要性』が認められているからである。

例えば、日本には「人を殺す」事を

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強制採尿は無令状でなし得るか(刑事訴訟法論点研究的なやつ)

強制採尿は無令状でなし得るか(刑事訴訟法論点研究的なやつ)

今回は強制採尿(対象者が排尿を拒む場合に、その抵抗を排除して強制的に―具体的にはカテーテルと呼ばれるゴム製導尿管を尿道に挿入して―尿を採取する事)を無令状でなし得るか、について考えたい。

なお、そもそも強制採尿は、対象者の受ける負担が他の強制処分に比して著しく大きい等の理由で、いかなる条件によっても認めないとする立場もあるようである。

しかし今回は、実務の運用の観点から、強制採尿を一定の条件の

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民法714条類推適用法理の思い付き

民法714条類推適用法理の思い付き

今回の記事は有識者向け。

あと、読んでもらえればわかると思いますが、忙しい人にはお勧めできません。

その事をわかった上で、以下本文どうぞ。

民法714条1項は、その適用される場面が「責任無能力者がその責任を負わない場合」に限定されている。

しかし資力の無い未成年者が責任能力を有するような場合、仮に親等が責任を負わないとすると被害者の救済が不十分となってしまうという問題がある。

そこで判例

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無資力者からの債権回収についての提案

無資力者からの債権回収についての提案

無資力者から債権を回収する事は容易ではない。

事実上回収が不可能な場合もある。

無い袖は振れぬ、という事だ。

詳しくは書けないが、私自身、こうした事態により泣き寝入りせざるを得ない債権者の気持ちはよくわかる。

債務者に開き直られて、まんまと逃げられる感じがして、なんというか、腹立たしいし、やるせない。

今回の記事は、そんな事態を防ぐ提案をしてみたい。

それは、国なり地方公共団体なり、そ

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犯行後に責任能力を喪失した場合等の処罰に関する問題点の提示

犯行後に責任能力を喪失した場合等の処罰に関する問題点の提示

はじめに現行の刑事制度の下では、犯行時に責任能力があると認められれば刑法上の犯罪が成立し、犯人を処罰することが可能であるとされている。

(犯罪の成立など刑法の基礎については以下の記事参照。)

しかし、果たしてこれで妥当なのだろうか。

犯行当時に責任能力が認められたとしても、この記事のタイトルにも書いた通り、犯行後に責任能力を喪失したりした場合にも犯人を処罰するのは妥当なのだろうか。

例えば

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