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野村航の文章投稿

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記事一覧

大人も間違っていい。

大人も間違っていい。

 きょうの猫村さんで有名な、ほしよりこさんの本の感想文です。

 主人公の「大人は間違ってはいけないんだ」と言う言葉に涙が浮かびました。彼女はそういったけど、それはその人生において彼女が言わされるに至ったものに思え、孤独な追いつめられ人生に(若干自分自身を重ねて)涙がわいたのだと思います。本音を出す場所がなく、物分かりの良いテイを装いながら、大人から見た優等生を演じる。それが板に付いた少女は状況に

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読書感想文/コンビニ人間・村田沙耶香

読書感想文/コンビニ人間・村田沙耶香

居場所を掴めたことを羨ましく思う、後悔するはずなどない

とても面白かった。自閉症スペクトラム臭のする女性がコンビニだけで社会と繋がっていた。まさにコンビニ人間だった。社会との繋がり(居場所)を掴めた人は幸せだ。
ちょっと違う気もするけど、『自分にとっての全て』という意味ではミュージシャンにとっての音楽や、僕にとってのロック等とも少し通じているのかも知れないと思ったりも。つまり彼女にとってのコンビ

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横田滋さんと、『ふるさとの風』について

横田滋さんと、『ふるさとの風』について

横田滋さんが亡くなったと聞き、悲しく思いました。滋さんは人が好さそうで、ちょっと気が弱そうにも見える姿が優しそうで、個人的に印象に残っていましたが、反面、拉致被害者家族連絡会の代表を長く務め矢面に立ち、講演もたくさんしてきたそうで生涯かけて挑んできたことに敬意の念を感じます…。追善の思いです…。

拉致被害者に向けた短波放送『ふるさとの風』を、つい先日聞いていました。夜空にラジオのアンテナを向けて

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女を殴る男のことが忘れられないと言う女性の気持ちがなかなか分からない

女を殴る男のことが忘れられないと言う女性の気持ちがなかなか分からない

レビュー
見た映画:彼女がその名を知らない鳥たち(2018年)
感想タイトル:女を殴る男のことが忘れられないと言う女性の気持ちがなかなか分からない

十和子(蒼井優)は気の良いブ男のダンナ陣治(阿部サダヲ)を蔑ろにし、昔の暴力男のことが忘れられません。当時、殴られて顔面やアバラ折られているのだが。ウーム…。
しかし陣治も嫌われるのが嫌なら、髪切って無精ひげぐらい剃ればいいのに(映画の演出上仕方ない

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性格の出ている洋楽ディスクレビュー

性格の出ている洋楽ディスクレビュー

むかし書いたものを少し校正しました。最近は、ここまではこだわって音楽聴いていないかも😓💦。

The Pains Of Being Pure At Heart / Belong (2011)

   悪くないけど、もっと必然を感じたい

 ネオ・シューゲイザー等で語られるバンドらしいが、ニューオーダーの流れを汲むバンドという印象を持った。非常になめらかで引っ掛かりがない。質感が高く丁寧さも感じ

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キナリ杯投稿短編小説『あたるくんだけは許す!!』

キナリ杯投稿短編小説『あたるくんだけは許す!!』

#キナリ杯

岸田奈美さんの主催による、キナリ杯に参加するために書いた短編小説です。自分の経験を元にしたフィクションで、文字数は8000文字ほど(原稿用紙20枚位)です。このたびは参加させていただき、ありがとうございます。

タイトル:あたるくんだけは許す!!
著者:野村 航

 小学校低学年の頃、近所にあった広場で近い年齢の子たちが集まってよく遊んでいた。特に仲が良い子が集っているというよりも、

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庶民不在の癒着が是とされる社会における倫理や正義とはなんでしょう。

庶民不在の癒着が是とされる社会における倫理や正義とはなんでしょう。

フェイスブックにあげた文章が予想より多くの共感を得た(?)ので、ここにも転載してみます。少し長いかも知れませんが…。誰かを不用意に傷つけたいものではないです。また、面倒なことにも関わりたくないです。それでも憤りを感じうんざりして、吐き出すように書いた文章です。

 黒川さんと新聞社の話を聞いて、世の中綺麗事だけじゃ勝ち上がれないんでしょうけれども、月に二度三度を数年と聞きまして、友達じゃないんです

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#読書感想文 /ホームレスが流した涙(村田らむ 著)

#読書感想文 /ホームレスが流した涙(村田らむ 著)

 村田氏は『こじき大百科』等、およそ一般的ではない本を出している人だが、ここではとても丁寧に、人を大切にして彼ら一人ひとりの人生を書き綴っている。読んでいて非常につらい気持ちにもなるのだが、同時にとても心を打ち、内面を豊かにしてくれる。僕はこの本を中高生や新社会人への推薦図書にしてもいいのではないかと思った。僕よりもそれらの人が読むべきだ。そして、もしこの本に偽善を感じるなら、そのときこそ『こじき

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超短編/だんなが倒れた

超短編/だんなが倒れた

(副題・新垣結衣に見捨てられた男) 先日突然にだんなが倒れた。最近無表情で、大丈夫かしらと思っていた。 「あなた少し働きすぎじゃない?」 そう声をかけたところだった。そのとき彼はぼんやりして何も言わなかった。

 ある日彼は寝坊した。具合が優れないようだったので、一度声をかけた後そのままにしていたのだ。起きた彼は 「自転車で駅まで送ってくれ」 なんていった。自動車ではなくて自転車という。だから私

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超短編/脳髄注射

超短編/脳髄注射

 あまりにも頭がいたい博士次郎は、国立河川敷あたま研究病院へ行くことにした。到着後、問診票に『あたまがいたい』と書くと、さっそく脳髄注射と相成った。
「ちょっとチクーとしますけど我慢してくださいねー」
美少女看護婦人の声が聞こえる。脳天から針がブスリ、エキスが注入される。
「注射のなかみ、まさかお姉さんのおしっこじゃないでしょうね」
そんなかる口を叩くヒマもなく、あっという間に眠りに落ちた博士次郎

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大切なのは、血で書かれていること

大切なのは、血で書かれていること

#私を構成する5つのマンガ

山田花子『花咲ける孤独』

世の中とうまくやっていくことが困難だった女性がその魂を打ち付けた作品。血で書かれているようだ。いつも自分の中にある作品。若いころは自意識と思いやりに捕らわれ『自分は絶対にこっち側に立つ人間でいるんだ』と頑なに思っていた。今はそこまで自分を追い詰める感じではなくなった。しかしここで書かれているような、苦しみに満ちて孤立するしかないかのような人

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