意味不明小説

創作》コトバ集め

僕は世界の音という物を知らない。
言葉がどんな音で聞こえるのか、音楽がどんなものか知らない。

しかし、僕にはその人の発する言葉が美しいものかそうでないか、判る。

人は皆、言葉を発する時、羽を吐き出す。
美しい言葉なら純白に輝き、そうでなければ薄暗く、黒ずんでいる。
普通の人には見えていないようだ。

僕はその羽を「言羽」と呼んだ。

言羽は人の口から何枚か吐き出され、地面に落ちる前に消え去る。

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6

創作》コトリの飼い方

「ねぇ、一つ頼みたいことがあるの」

付き合っている彼女がそう言った。

「私、明日から海外に仕事に行くのだけど、私のいない間、私の代わりにコトリの世話をしてくれないかしら?」
「コトリ?君飼っていたっけ?」
「えぇ。いつも一緒にいるの。淋しがり屋だから。でも仕事だし、コトリに構ってあげられないから」
「え、いつも一緒?」
「えぇ。今、私の肩にいるの。ほら、私のいない間、彼の言うことを聞くのよ?」

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4

創作》帰り道の猫

それは仕事を終えて、家に帰る途中のことだった。

「おい、お前」

頭上から声が降ってきた。
見上げると、太い木の枝にキジトラの猫が座っている。

「え、もしかして、今の……お前が?」

そんなバカな。
猫が人の言葉を話すなんて。

「ほかに誰がいる?」

信じられないという僕の表情など知る由もなく、猫はそう言った。

よく見れば、そいつは見知った猫だ。
近所の、おばあさんが一人で住んでいる古い一

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5

創作》引越し先の気になるところ

最近引っ越しをした。

築年数5年以内の、綺麗なマンション。
駅近で、見晴らしもよく、日当たり良好。

立地条件は申し分ないのだが、
1つだけ気になることがある。

実は水道の蛇口をひねると、
ざぁーっという水音にまじって、

死にたい、消えたい、いなくなりたい

ボソボソと聞こえてくるのだ。

手を洗うたびに、
シャワーを流すたびに、

これが延々と聞こえ続けてくるので、
また引っ越すべきかどう

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2

創作》ポスター

駅の改札の側の壁に、ポスターが貼ってある。

ダイエット食品のポスターだ。

ポスターの隅が少しだけ破れていて、悪戯心でめくってやった。

向こう側に、不健康そうな顔で笑う女の子がいた。

申し訳ない気持ちで、めくったところを元に戻した。

original post:http://novel.ark-under.net/short/ss/92

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3

創作》私が手放したもの

その日は薄曇りの空だった。

けだるい朝、外に出るのも億劫。
しかし、行かなければ、社会的な信頼を失うだろう。
その日必要な書類を持っているのは私だけなのだから。

原付きで片道30分。
いつもの道だ。

通いなれた、なだらかな下り坂。
緩やかなカーブに合わせてハンドルをきっていた。

つもりだった。

タイヤは道に沿って大きなカーブを描くガードレールを目指していた。
近付いてくるガードレールの凹

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2

創作》おにさんこちら

少し悩んでいることがある。

それは我が家での出来事。
大きめの部屋に一人暮ししているのだが、どうやら住人が僕以外にもいるようなのだ。

部屋でくつろいでいると突然浴室からシャワーの音がしたり、
トイレから出て電気を消して暫くするとまた電気が点いたり、
キッチンに立っていると靴箱を開け閉めする音がして、玄関を見ると靴が散乱していたり。

自分の頭がおかしくなったのか、と疑ったが、実際問題異常は起き

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2

創作》明滅する世界

部屋の蛍光灯がチカチカと点滅し始めていた。
少し前からやばそうだな、と思っていたが、この繰り返される明滅はだいぶ気になる。

昔、部屋の蛍光灯が切れかけて点滅を始めたら、家の外も点滅をしている、そんな話を読んだことを思い出した。

新しい蛍光灯を買いに行こうと外に出た。
外でも部屋と同じ明滅が繰り返されていた。

これはマズイ。

あの話と一緒ではないか。
慌てて買いに行き、慌てて付け替えた。

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1

創作》消された側のぼくら

マンガとかでさ、よくあるじゃん。

『タイムリープ』

主人公とか主人公に近しい誰かが、特殊能力で時間を巻き戻すってヤツ。

ぼくはそれに遭遇したことがあるんだ。

それはまー、びっくりしたよ。
キズだらけになったアイツは、病室のベッドで突然
「こんなはずじゃなかった」
「ごめん」
なんて、中二病かな?って発言したから、頭も検査した方がいいんじゃないと本気で思った。

でも、アイツは泣きながら銀色

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2

創作》宛先

面倒臭がりな私は、自分のメールアドレスを電話帳に登録している。

友達に教えたりする時、管理者情報とか、携帯をいちいち弄るのが面倒だから。
登録者名は「じぶん」にしてある。

ある日、「じぶん」からメールが来た。

内容は
「死にそう」
と一言だけ。

気味が悪くてすぐ消した。

数日後、酷い風邪をひいて寝込んだ。

友達から
「大丈夫?」
とメールが来た。

私は熱で朦朧としながら返信した。

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