宮澤重夫

元陸上自衛隊化学科隊員、地下鉄サリン事件や福島第1原発事故などの現場の自衛官が体験した…

宮澤重夫

元陸上自衛隊化学科隊員、地下鉄サリン事件や福島第1原発事故などの現場の自衛官が体験した内容を中心に書いて行きます。 危機管理等の参考になれば幸いです。 趣味は、ダルメシアンとアイガモを飼っています。インスタで紹介しています。@timapiku

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現場の自衛官が見た福島第1原発事故(加筆Ver.)

目 次 はじめに 1 超巨大地震 2 出 動 3 3号機の水素爆発 4 恐怖の移動 5 地上放水冷却活動 6 出 撃 おわりに はじめに  2011年3月11日、けしてあの日…

宮澤重夫
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散歩道

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宮澤重夫
4日前
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最近読んだ本の紹介

 最近読んだ、2冊の本を紹介します。  1冊目は、酒本歩先生の『ロスト・ドッグ』(光文社)です。  この本は、笹目いく子先生が紹介されていたNote記事を読み、私は…

宮澤重夫
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「迷ったら任務に立ち返れ」続・現場の自衛官が見た地下鉄サリン事件

 「迷ったら任務に立ち返れ!」  自衛隊では、よく使われる言葉だ。  今年は、2024年  今から29年前の1995年3月20日、地下鉄サリン事件は起きた。  この事件は、…

宮澤重夫
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なぜ日本はこんなに地震が多いの?

 地震大国日本  東日本大震災や能登半島地震など、なぜ日本は、これほどまでに地震が多いのでしょうか。  宇宙からのエネルギー?、大ナマズが暴れた?  いやいや、…

宮澤重夫
3か月前
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人はそれをかけがえのない命と呼ぶ fly 高く舞いあがれ

「ピクちゃん」、「パパのところへ来てくれてありがとう」  私は、幼少期の頃から動物を飼うのが好だ。  今迄に、多くの動物達と過ごし、どれだけ癒やされてきただろう…

宮澤重夫
3か月前
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ボールペン

 ここに1本のボールペンがある。  当時、「This is a pen」と言う言葉が流行っていた。  このボールペンは、今から45年前、私が学生だった頃に拾ったものだ。  あ…

宮澤重夫
5か月前
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集合写真の思い出

 恋愛専門家コラムニストである、神崎桃子先生の誕生日に、ツイッターXのスペースで、リスナーのソーさん(レゴブロックコレクター)が、レゴで参加者の集合写真を作って…

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6か月前
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父へ

 私は、今は亡き父の夢を見た。  それは、自宅から少し離れた河原の土手の上を歩いていた。 「お父さん、今ではこの辺りもすっかり変わってしまったよ。」「昔は、この…

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6か月前
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命の水

「中尉、最後のお願いです。私に水を飲ませてもらえませんか」   私は、隊長室に呼び出された。  ノックをし、ドアを開ける「入ります」  「まぁ座れ」  私は「あ…

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一枚の写真

はじめに  この記事に書かれています、お名前、お写真及び文章の一部引用は、飼い主様の承諾を得て記載しております。 一枚の写真  るめは16歳、人間でいえば 11…

宮澤重夫
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プロライター神崎桃子氏を探る

 今回の神崎氏の作品は、まさに彼女の原点とも言える作品です。  主人公、美佐子の納得のいかない別れ。そして、美佐子に突きつけられた厳しい現実  この先、美佐子はど…

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10か月前
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元自衛官が見た神崎桃子「もがく女の出版ヒストリー」を読んで。

 プロライター神崎桃子との出会い  私は、「現場の自衛官が見たシリーズ」を書いている。  これは、私が、現役自衛官の頃に体験した、事件・事故等を本人でなければ知…

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現場の自衛官が見た地下鉄サリン事件(加筆Ver.)

目  次 まえがき 1 前 兆 2 出 動 3 突 入 4 経験の普及 おわりに まえがき  これは私が陸上自衛隊化学科隊員だった頃の事実に基づく体験談であり、物語…

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現場の自衛官が見たよもやま話

 これは私が、陸上自衛隊化学学校の職員(隊員)であった頃、職員に対する精神教育(道徳教育)がおこなわれた時の話になる。    あれは今から30年近く前の話である。…

宮澤重夫
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現場の自衛官が見た日航ジャンボ機墜落事故

目 次 まえがき 1 事故発生 2 化学科部隊の任務とは 3 劣化ウランの捜索 おわりに まえがき  これは私が陸上自衛隊化学科隊員だった頃の事実に基づく体験談であ…

宮澤重夫
11か月前
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現場の自衛官が見た福島第1原発事故(加筆Ver.)

現場の自衛官が見た福島第1原発事故(加筆Ver.)

目 次
はじめに
1 超巨大地震
2 出 動
3 3号機の水素爆発
4 恐怖の移動
5 地上放水冷却活動
6 出 撃
おわりに

はじめに

 2011年3月11日、けしてあの日は忘れない。

 そして、3月20日、福島第1原発へと向かった。

 16年前のちょうど同じ日、3月20日、地下鉄サリン事件で、除染作業に従事したときの恐怖がよみがえった。

 これは、運命なのかも知れない。

 それが、

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散歩道

散歩道

 愛鳥週間の今、鳥たちの声を聴きに、いつもの散歩道へ愛犬(ティマ)と出かけて行った。

 五月の爽やかな風が吹き抜ける散歩道

 田んぼの端にポツンと建ってるポンプ小屋
 
 その片隅で、そよ風は枯れ草を舞って立ち止まる。

 田んぼには水がはられ、輝く水面には、既に田植えが始まっていた。

 ポンプ小屋から湧き出す水は、「ひゃ!」と思わず手を引っ込めたくなるくらい冷たい!

 耳を澄ませば。

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最近読んだ本の紹介

最近読んだ本の紹介

 最近読んだ、2冊の本を紹介します。

 1冊目は、酒本歩先生の『ロスト・ドッグ』(光文社)です。

 この本は、笹目いく子先生が紹介されていたNote記事を読み、私は知りました。

 『ロスト・ドッグ』は、動物医療をテーマとしたミステリー小説です。

 私は、動物が好きで、今までも、さまざまなペット達と過ごしてきました。もちろん動物病院へ、お世話になったことは沢山あります。

 皆様も経験がおあ

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「迷ったら任務に立ち返れ」続・現場の自衛官が見た地下鉄サリン事件

「迷ったら任務に立ち返れ」続・現場の自衛官が見た地下鉄サリン事件

 「迷ったら任務に立ち返れ!」

 自衛隊では、よく使われる言葉だ。

 今年は、2024年

 今から29年前の1995年3月20日、地下鉄サリン事件は起きた。

 この事件は、死者14名、重軽傷者6000名以上にのぼる大惨事となった。

 化学兵器にも使用される猛毒サリンを使った、宗教団体オウム真理教による、同時多発テロだ。

 当時、サリンを使用した、世界でも類をみないテロ事件は、日本のみな

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なぜ日本はこんなに地震が多いの?

なぜ日本はこんなに地震が多いの?

 地震大国日本

 東日本大震災や能登半島地震など、なぜ日本は、これほどまでに地震が多いのでしょうか。

 宇宙からのエネルギー?、大ナマズが暴れた?

 いやいや、日本が地震が多いのは、それなりの理由があるからです。

 今回は、そのあたりを簡単にお話します。

 「宮澤さ〜ん」

 「何?カンちゃん?(職場の同僚)」

 「宮澤さん、こういうの詳しいんでしょ?」

 「いや、専門家じゃないから

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人はそれをかけがえのない命と呼ぶ fly 高く舞いあがれ

人はそれをかけがえのない命と呼ぶ fly 高く舞いあがれ

「ピクちゃん」、「パパのところへ来てくれてありがとう」

 私は、幼少期の頃から動物を飼うのが好だ。

 今迄に、多くの動物達と過ごし、どれだけ癒やされてきただろう。

 何度となく別れを経験し、そのたびに瞼を腫らし泣いた。

 先に逝ってしまう、動物達を私は見送り。「私のもとへ来てくれてありがとう」

 彼らには感謝しかない。

 現在、私は、犬と合鴨と暮らしている。

 彼女たちは、言うまでも

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ボールペン

ボールペン

 ここに1本のボールペンがある。

 当時、「This is a pen」と言う言葉が流行っていた。

 このボールペンは、今から45年前、私が学生だった頃に拾ったものだ。

 あれは、蝉が鳴く、暑い夏の午後だったと思う。

 中学生だった私は、学校の帰り道。近道を通ろうと、通学路から外れ、砂利の駐車場を突っ切ろうとした。

「何だ?あの光っているものは!」

 私が進む先に、何やら光るものがある

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集合写真の思い出

集合写真の思い出

 恋愛専門家コラムニストである、神崎桃子先生の誕生日に、ツイッターXのスペースで、リスナーのソーさん(レゴブロックコレクター)が、レゴで参加者の集合写真を作ってくれました。

 それを見た私は、遠い記憶を思い起こさせられたのでした。

 とてもくだらない、恥ずかしい話をしてもいいですか?

 それは、私が、まだ小学6年生の頃の話です。

 小学生ながら、当時、修学旅行なるものがありました。

 確

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父へ

父へ

 私は、今は亡き父の夢を見た。

 それは、自宅から少し離れた河原の土手の上を歩いていた。

「お父さん、今ではこの辺りもすっかり変わってしまったよ。」「昔は、この辺一帯、桑畑だったのにね。」「今では、こんなに住宅が建っている。」

 父は、写真のように、ただ笑っているだけだった。

 西の空には、三日月が出ている。

著 者  宮澤重夫

 平成30年に陸上自衛隊化学学校
化学教導隊副隊長を最後

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命の水

命の水

「中尉、最後のお願いです。私に水を飲ませてもらえませんか」 

 私は、隊長室に呼び出された。

 ノックをし、ドアを開ける「入ります」

 「まぁ座れ」

 私は「あっ、はい」隊長室のソファーへ腰を下ろす。

 「次の幹部候補生の試験な~、お前受けろ」

 私は「いや、私はそんな器ではありません」

 「何を言っている。自分で自分の評価をしてどうする。お前の評価は他人がするんだ」
 「いいな、受

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一枚の写真

一枚の写真

はじめに

 この記事に書かれています、お名前、お写真及び文章の一部引用は、飼い主様の承諾を得て記載しております。

一枚の写真

 るめは16歳、人間でいえば
110歳

 インスタグラムで知り会った、ダルメシアンのるめちゃんだ。

 るめには、1日でも長生きして欲しい。

 るめの写真は、毎日毎日欠かさず投稿されていた。そこには、飼い主さんの、るめへの深い愛情がうかがえ知れる。

 私が初めて

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プロライター神崎桃子氏を探る

プロライター神崎桃子氏を探る

 今回の神崎氏の作品は、まさに彼女の原点とも言える作品です。
 主人公、美佐子の納得のいかない別れ。そして、美佐子に突きつけられた厳しい現実
 この先、美佐子はどう生きていくのか。
 皆さんも、共感出来るところが、沢山あると思います。
 ぜひ、読んでみてください。
 また、できましたら、スキや感想をいただけたら幸です。

 元陸上自衛隊化学科隊員 
 宮澤重夫

元自衛官が見た神崎桃子「もがく女の出版ヒストリー」を読んで。

元自衛官が見た神崎桃子「もがく女の出版ヒストリー」を読んで。

 プロライター神崎桃子との出会い

 私は、「現場の自衛官が見たシリーズ」を書いている。

 これは、私が、現役自衛官の頃に体験した、事件・事故等を本人でなければ知り得ない事実を、現場目線で書いたものだ。

 しかし、私は、記事を書くと言っても文屋ではない。故に読み手に私の意図が伝わっているかあやしいものだ。

 私は、記事を書く前に、文章の書き方で悩んでいた。そんな時、ツイッタースペースで神崎桃

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現場の自衛官が見た地下鉄サリン事件(加筆Ver.)

現場の自衛官が見た地下鉄サリン事件(加筆Ver.)

目  次

まえがき
1 前 兆
2 出 動
3 突 入
4 経験の普及
おわりに

まえがき

 これは私が陸上自衛隊化学科隊員だった頃の事実に基づく体験談であり、物語ではなく、ひとつの情報資料として読んで欲しい。 
 これが災害等、危機管理の一助となれば幸いです。 

1 前 兆

 皆さんは覚えているだろうか。私と同年代の方々は今でも記憶に残っているだろう。
 私は、この事件を通じて、実戦で

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現場の自衛官が見たよもやま話

現場の自衛官が見たよもやま話

 これは私が、陸上自衛隊化学学校の職員(隊員)であった頃、職員に対する精神教育(道徳教育)がおこなわれた時の話になる。
 
 あれは今から30年近く前の話である。

 私が、まだ20代の頃、隊員達の教育を担当してくれた、先輩から聞いた話だ。

 その先輩は、今ではもうご高齢のはずだが、他界したと言う話は聞いていない。

 先輩は、京都で勤務中、休みの日に色々な寺を廻るのを楽しみにしていた。

 あ

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現場の自衛官が見た日航ジャンボ機墜落事故

現場の自衛官が見た日航ジャンボ機墜落事故

目 次
まえがき
1 事故発生
2 化学科部隊の任務とは
3 劣化ウランの捜索
おわりに

まえがき

 これは私が陸上自衛隊化学科隊員だった頃の事実に基づく体験談であり、物語ではなく、ひとつの情報資料として読んで欲しい。

 自衛隊は、各職種ごと任務が定められており、今回は、化学科部隊を例に上げ、この日航ジャンボ機墜落事故では、どのような行動をしていたのか伝えることとする。

1 事故発生

 

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