マガジンのカバー画像

君の住む街

171
街について書いた文章。
運営しているクリエイター

2020年1月の記事一覧

白金と高輪のあいだ

白金と高輪のあいだ

事務所のネタ見せで白金高輪に行った。

もう5年近く通っているから愛着がある。

白金高輪は不思議な街だ。
白金とも高輪とも違う。

タワーマンションもあるけれど
下町みたいな感じも残っている。

飲食店は確かに入りづらいけど
実は100均もあるしサイゼもある。

住んだら大変かもだけど
通うぶんにはいい街だ。

ネタ見せの後、バイトに行くために
バスを待ってると日が出てきて暖かくて。

今年もみ

もっとみる
大学生が治める街

大学生が治める街

ライブに出るために高田馬場に行った。

雨だし荷物も多いので早めに移動した。
いつもよりはマシだったけど
それでも駅前は混んでいた。

大学が近いからだろう。
駅前はいつも大学生らしき若者でいっぱいだ。

ライブの会場は早稲田口から歩いて3分。
隅田川沿いにあるカフェの3階。

カフェの入口を入って階段を上がる。
店員も大学生。お客さんも大学生。

いつ行ってもそうだ。
駅からずっと大学生しかいな

もっとみる
若手芸人が夢を見る街

若手芸人が夢を見る街

ライブの手伝いで銀座に行った。

事務所の先輩エレ片さんのコントライブ。

毎年大きな劇場で単独公演をして
お客さんを満員にする。

若手芸人の夢を体現し続ける人たち。

受付の手伝いの後、ライブを見学させて頂く。
コントはもちろん、映像や音楽も最高だった。

終演後、ご挨拶をして外へ出ると
銀座の街がキラキラと輝いていて。

ライブの余韻に浸りながら歩いた。

くすんだ顔した若手芸人なんて
ひと

もっとみる
終バスにひとりは眠る

終バスにひとりは眠る

仕事して飲んだ帰り道。
下井草で荻窪行きの最終バスに乗った。

電車で帰る手もあったけど。
行きの満員電車がつらすぎたので
帰りも乗る気がしなかった。

夕方から降り始めた雨は
もう雪に変わっていた。

バスは他に誰も乗っていなくて。
窓という窓がぜんぶ曇っていて。

夢の中を走っているようだった。

最終バスに乗るといつも、
穂村弘の短歌を思い出す。

終バスにふたりは眠る紫の
〈降りますランプ

もっとみる
2階の思い出

2階の思い出

打ち合わせ終わりに何人かで
新宿の思い出横丁へ行った。

サラリーマンのおじさんにまじって
外国人観光客もたくさんいた。

ここは確かに面白いだろうなぁ。

2階席は空いてますと言われ狭い階段を上ると、
屋根裏部屋みたいな空間があった。

4人がけのテーブル席が2つだけ。簡素だ。
簡素すぎて最初、従業員の控室かと思った。

This is 2階席? Amazing!

観光

もっとみる
雪の降る街

雪の降る街

どうしてセンター試験の日は、
いつも東京に雪が降るんだろう。

毎年降っている気がする。

上京してからずっと思っている。
何もこんな日にやらなくても。

僕は地元の沖縄で受けたので、
今思えばめちゃめちゃ恵まれてたと思う。

2次試験で筑波に来た時、
雪が積もってて死ぬかと思った。

前期で落ちて後期で受かった。ぎりぎりだ。
後期は春が近かったから。なんとかなった。

寒いと思考が止まる。何も考

もっとみる
恵比寿から松屋が消えたなら

恵比寿から松屋が消えたなら

いつものように松屋に入ろうとして、
張り紙を見つけて言葉を失った。

閉店のお知らせ。

えっ!?そうなの?これ日付、今日じゃん!
嘘でしょ?あと1時間で閉まるってこと?

まったく信じられなかった。

カウンターしかない狭い店内は
いつも通り満席なのに。

牛めしはもう売り切れていて、
券売機の表示はカレーしかなかった。

「創業ビーフカレー復活」という文字が
やけに虚しく光っている。

創業も

もっとみる
どこかに青春を隠しているから

どこかに青春を隠しているから

事務所ライブに出るために下北沢へ行った。

しもきた空間リバティ。単独ライブや手伝いも入れると、けっこう通ってる方だと思う。

ちなみにGoogle mapで検索したとき最初に出てくるこの写真は、僕が撮ったものです。

それぐらい通っている。

リバティは下北沢の駅前から歩いてすぐ。
ちょっと椅子は堅いけど、良い劇場だ。

終わってから打ち上げ。居酒屋を追い出された後も、終電まで30分く

もっとみる
サラリーマンの楽園

サラリーマンの楽園

日本テレビの新年会に行った。
いわゆる全社的な新年パーティだ。

バイト先の会社は、日テレとの業務があるから参加できるらしい。汐留に向かう社員の人たちに付いて行かせてもらった。

中にはスーツを着た人が大勢いて。色々な料理が並んでいて。まさにサラリーマンの楽園という感じだった。

美味しいものをたくさん頂きました。
ありがとうございました。

混んでいてよく見えなかったが、
前の方にはステージ

もっとみる
無限個のスクランブルスクエア

無限個のスクランブルスクエア

銀座線で渋谷に行った。

電車が到着したとき、
景色が全くちがっていて驚く。

そうだ、ホームが変わったんだ。

銀座線なのに銀座線じゃない。
別の世界線に来てしまったような
不思議な気持ちになる。

無限個の平行世界のどれかの渋谷。
明治通りの上空に銀座線のホームがある世界。

広くてきれいで新しくて。晴れた空が見える。
この世界の渋谷も意外と悪くないけれど。

どっちに歩けばいいのかが全く

もっとみる
原宿の中心で、髪を切る

原宿の中心で、髪を切る

髪を切りに原宿へ行った。

正月の原宿は、いつにも増して
めちゃめちゃ混んでいた。

僕みたいなおじさんが、
正月に原宿に行って、髪を切るなんて。

僕だって馬鹿げてると思う。でも仕方がない。
知り合いの人がそこにいるからだ。

「今日はどうしますか?」と聞かれて
「切ってない感じに切ってください」と頼む。

無理な注文だと思うが本当にそうしてほしい。
切りたての落ち着かない感じが苦手だからだ。

もっとみる
清潔で使いみちがないから

清潔で使いみちがないから

正月が好きだ。街から人がいなくなるから。

人は正月になると地元に帰るけど。
僕はあまり帰らない。

地元が遠いから。飛行機が高いから。
それは本当のことだけど。本当のところは。

人がいない都会にいたいからだ。

『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の中で「夜明けが美しいのは、清潔で使いみちがないから」みたいなくだりがあって。

村上春樹の文章の中で、そこが一番好きで。誰もいない街を

もっとみる