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「マッチ売りの少女」(講談社文芸文庫『性の根源へ』所収)野坂昭如著:図書館司書の短編小説紹介
ホストに貢ぐために体を売ることを厭わない。
そんな女性たちが新宿の大久保公園に、立ちんぼとして集まっているという。
中には、月に百万円以上稼ぐ人もいるという。
日本では、売買春が売春防止法という法律で禁じられているので、捕まれば罰金もあるし懲役もあるし前科も付く。
でも、そういった方面に疎い自分でさえ知ることになったというのだから、もはや公然と売買春が行われているといっても過言ではないと
「鯉」火野葦平著(講談社文芸文庫『自然と人間』所収)火野葦平著:図書館司書の短編小説紹介
筑後川で鯉を素手で捕まえ、それを見世物にしている名人があった。
土地の大地主である佐々木の旦那が、小さな頃から水練と漁が好きだった彼の技術を職にまで引き上げてくれたのだ。
そのお蔭で彼は、死んだ父の借金を返し、家族を養うこともできた。
戦前の観客は、趣味人や数寄者といった裕福な人が多く、彼は誇りを持って漁をしていた。
けれど、戦時中は威張りかえった軍人や役人の観覧に供せられ、そこに言語を
ドストエフスキーの視点からロシアを見て
ロシアとウクライナの戦争が始まってから来月で二年になる。
欧米諸国で支援疲れが起きている中、ロシアはまだまだ意気軒高のよう。
あのアメリカがついているのだから、ウクライナの勝利は揺らがない、最初は多くの人がそう思っていたのではないだろうか。
けれど、あのアメリカ、というものが揺らいできているようにも思える。
一方で、ロシアは最初から譲らないことについては一貫している。
国内事情を見るに、