2020年8月の記事一覧
嵐が丘(上・下通しての感想)
嵐が丘、読了。
あまりにも深遠。不朽の愛とか復讐とかそんなものじゃない。愛や友情よりもっと、大いなるものを感じる。ミスティシズムって言うでしょうね。
でも本当にそう感じるの。
悪魔になってまで復讐するほどの熱烈な愛なんて持ってないでしょ。私には信仰心みたいな風に見えたわ。
数マイルの距離にある二つの家、幸福で優雅で暖かい慈愛に満ちたスラッシュクロス屋敷と、憎しみと暴力に満ちた地獄のような嵐が丘。
まさに世界の終わり/忘却の前の最後の後悔
ジャン=リュック・ラガルスの戯曲を2本読みました。
全然分かんない。分からないけど少し分かる。リアル。
肝心なことは何も観客に知らせない。全然ト書きも無い。
演出家によってかなり変わるんだと思う。
戯曲は経験が浅いから読めるかなと思ってて、とりあえず寝る前に少し読んでおこうと思ってたけど、続きが気になって眠いの我慢して一気に読んじゃった。
「まさに世界の終わり」の方はもうすぐ死ぬ男が長い間会
この夏の終わりに相応しい時間
フランソワーズ・サガンの『悲しみよ こんにちは』は大学一年の時に買って読んだはずなのに、ほとんど内容を忘れていました。全く、自分の記憶力ほど信頼できないものはないです。すぐに忘れてしまう。今日だって、あることを思い付いて「忘れないようにメモらなきゃ!」と思ったのに、ペンを手に取ってメモに書こうとした瞬間には何を思い付いたのか忘れていたのです。こういうことが毎日何度もあります。メモを取りさえすれば、
もっとみるワイルド『ドリアン・グレイの肖像』を読んで
この小説は十代の時に買って読みましたが、断片的にしか覚えていなかったので、割りと新鮮な気持ちで読みました。
昨日読みましたが、初めて読んだ十代の時に感じた衝撃を再び受けました。自分の語彙力の欠落に失望すると同時に、厳密な言葉を用いた文章の美しさに心を動かされました。
デカダン、唯美主義、ダンディズム、“新”ヘドニズム……
ヘンリー卿の“気ままな”ウィットに富んだ言葉の数々は私の心の奥底で息を潜め
オスカー・ワイルドの『サロメ』読みました。
昨日読んだシュトルムの『みずうみ』の余韻にずっと浸っていました。
「あの青い山の彼方に僕たちの青春時代はあるのですね。あの時代はどこへ行ってしまったのでしょう?」(71頁)
この言葉が切なくて忘れられなかったです。
なんだかドビュッシーの曲を聴いているみたいな感じで流れていく時間が美しくて、儚くて、ドイツの田舎の寡黙な素朴さの中に悩みとか喜びとか愛しとか諦めといった感情がありました。それはどれ
トルストイ作『クロイツェル・ソナタ』を読んだ。
ベートーベン バイオリンソナタ第9番 op.47 クロイツェルを聴いていました。
トルストイ先生のクロイツェル・ソナタのタイトルはこの曲にちなんで付けられたものです。
具体的な男女の間の愛がテーマになっていて、男が妻を殺害するに至った流れを(精密に)語る形式で書かれています。
結婚は儀式的に男性が女性を所有する目的でするものだとか、結婚は愛によってされるべきではない、なぜなら愛が永遠だというのは
ブレヒト『ガリレオの生涯』
ときは一六〇九年のこと、
パドヴァの小さな家から
知識の明るい光が輝きだした、
ガリレオ・ガリレイが計算したのだ、
太陽ではなく、地球が動いているのだ、と。
最初のページのこの文言を見た瞬間から読み終わる今までずっと、ワクワクしっぱなしで読んでいました。人類の歴史のもっとも面白いプロセスを読みました。
『ガリレオの生涯』は、20世紀のドイツの劇作家ブレヒトが書きました。
舞台は17世紀のイタ