黒岩家のしあわせ家族計画4

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秀俊 この状況じゃ無理だ。
満子 一度お義母さんを連れ出した方がよさそうね。
秀俊 母さんはもうダメだ。いつどういうきっかけで我が家の秘密をバラすか分かったもんじゃない。
満子 できるだけ早くやりましょう。(つらそうに)お義母さんをどうやって始末するか考えるのは、楽しかった。
秀俊 何としても実行しないと。おれたちのために。

先ほどから椅子に座って、どこか泰然と構えていたふじ。

ふじ 

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オリジナル企画 「鴉丸」

物語の舞台は、卑しい悪霊が跋扈する文化文政期の江戸。
主役は、魔力を持つ黒犬に育てられた鴉丸。この世に未練を残し、死後も彷徨い続ける霊を成仏させる特殊能力の持ち主だ。
そんな鴉丸の元に、若侍の清田誠二郎がやって来て、兄を殺した悪霊を退治して欲しいと願い出る。
死者となった剣豪が生きる屍となって蘇り、夜な夜な辻斬りを繰り返して、江戸の人々を恐怖のどん底に陥れているのだ……。
幕府転覆を狙い、江戸を地

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励みになります!
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戯曲「声にしていく」

先日、なかのZEROにて開催されていた展示とコラボした戯曲本舗WS「ギャラリーで戯曲を書いてみよう!」で書いた、短編の戯曲を掲載します。

ギャラリーに展示されたものから発想して、戯曲を書き、

(私は、「聲」という書から発想しました。)

戯曲本舗さんが役を演じてくださり、

可知日出男さんの即興生演奏もついて、

素敵な感じの時間を過ごすことができました。

ーーー以下戯曲ですーーー

戯曲「

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今後ともよろしくお願いします。
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黒岩家のしあわせ家族計画3

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そのすぐあと、ドア3からふじが入ってくる。秀俊がそのあとに続く。ふじはそこがランウェイであるかのように、プロポーションを見せつけながらゆったりと舞台を練り歩く(ふじは小太りである)。鎖骨にひびが入っているのだが、とてもそんな風には見えない。秀俊は風采の上がらない、どこか飄々とした感じの中年。うんざりした様子でふじを見守る。ふじは中央で立ち止まってスピーチ。

ふじ (感無量で)昔からきれい

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戯曲販売『うちに来るって本気ですか?(テアトル・エコー SIDE B公演 上演版)』

2013年テアトル・エコーさんによる上演の際、私自身がオリジナル版に加筆修正をした改訂版を作りました。その改訂版データになります。
オリジナル版は私自身がラストに満足できていない部分があり、それでも当時はそれが精一杯だったのですが、心の底ではずっと「もうちょっとうまくまとめられたんじゃないかなぁ」という気持ちがありました。テアトル・エコーさんから書き直す機会をいただき、この改訂版で多少は軟着陸でき

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身に余る光栄!またよろしくお願いします。
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黒岩家のしあわせ家族計画2

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矢野 突然失礼します。ちょっとお宅を拝借させてください。この部屋か、この部屋だな(と問答無用にふじの部屋と開かずの間を指す)。
新田 矢野さん、まずは許可をいただかないと。
満子 (すかさず開かずの間の前に立ちはだかり)ダメダメダメダメダメ! 何なの、あんたたち!
晋一 警察だからって勝手に上がり込んでいいんですか?
新田 申し訳ありません。どうか捜査にご協力いただけないでしょうか。我々は

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ゲッツ!
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(戯曲)「珍子は立ったまま沸騰している」

「珍子は立ったまま沸騰している」(戯曲)

老婆、ぼろ一枚をまとい、両膝を立て座っており、陰毛に覆われた陰部が丸見えになっている。

老婆 戦争はいかん、戦争はいかん、と皆、念仏のように言うがの、戦争で大もうけ、殺し合いで出鱈目に命捨て散らかして、本当はそれで皆、満足しとるのよ。でなければ、敵に向かってでなく、上官に向かって引き金を引けばよかろうが。どうせ殺すのならば、お国を虐殺して差し上げるべき

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戯曲公開(無料)『魚眼パノラマ』

2002年度 第8回 日本劇作家協会新人戯曲賞・最終候補ノミネート作品
戯曲PDFデータを無料公開いたします。

最終候補になりましたが、受賞には至りませんでした。
この作品を書いた時は、前年に書いた初コメディ『うちに来るって本気ですか?』が予想外に評価され、自分でも狼狽えていた時期だったので、自分が書きたいものと、勝手に自分で想像した周りが期待しているであろうものとの狭間で、軸がブレブレになって

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身に余る光栄!またよろしくお願いします。

バスケット #一郎の話 - 2

昼休みの教室。
一郎の席の近くで、クラスメイトが談笑している。

男子「おい、おめえ、『罪と罰』知ってるかよ。」
女子「え~知らない。」
男子「あれな、ドスチェンコフスキーの小説でよ、有名なんだぜ。聞いたことねえか? 「ロミオ~」ってやつ。」
女子「聞いたことある。」
男子「俺、全部読んだぜ。」
女子「すごい。カッコいい!」

一郎、すくっと立ち上がり、近づく。

一郎「おやおやおや。

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四季彦くん #3

季節は、冬、になっていた。明穂と私は「私」の部屋に戻った。
私、一歩踏み入れてから、部屋模様が百八十度変化していることに一瞬戸惑う。
引っ越して間もないはずのその部屋には生活感が溢れていた。

私「すっげ。」

私、部屋をぐるっと見回して、ゆっくりとクローゼットに近づく。
クローゼットの扉を開けて、目に留まったコートを取り出す。

私「…うわ、良いの買ってんな、私。ちょいと拝借。」

私、そのコー

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