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歴史考察

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歴史について考察した記事をまとめています。
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2024年5月の記事一覧

幕末の集団の例えで現代のSNSを比較する

幕末の集団の例えで現代のSNSを比較する

幕末の日本では活動家たちのコミュニティ、
「集団」が生まれました。
既存の枠組みでは捉えられない集団。

志士集団は「藩」の内の身分の枠を超え、
それぞれの意志で結集します。
長州では『奇兵隊』や『松下村塾』。
薩摩なら『誠忠組』。土佐は『勤王党』。
水戸なら『天狗党』など。
脱藩して全国的に活動する人もいました。
幕府側ではありますが
『新選組』もこの範疇に入る。

一方、藩校などの集団は、

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外の知識と平等と ~胡蝶の夢とSNS鎖国~

外の知識と平等と ~胡蝶の夢とSNS鎖国~

医学には「平等」な側面があります。

なぜなら、
どんなに偉い人でも、貧しい人でも、
「人間の身体の変化」という面では
平等だからです。

(もちろん個体差は千差万別ですが、
生まれて亡くなるまでの過程の意味)

「不老不死」はあり得ません。
古代の権力者、秦の始皇帝は
不老不死の妙薬を求めたそうですが、
ついには寿命が来て亡くなった。

生・老・病・死が、等しく訪れる。
生きている限りいつかは老

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大いなる麓 ~華麗なる学者一族~

大いなる麓 ~華麗なる学者一族~

9歳で20代の大人たちに英語を教える。
11歳でロンドンに初の留学。
22歳でケンブリッジ大学卒業。
同年、東京帝国大学の理学部教授…。

いや、実在の人物です。
彼の名は菊池大麓(きくち だいろく)。
1855年生まれ、1917年に亡くなる。
誤植?と疑われそうな凄まじいキャリア…。

本記事では彼のキャリアを追いつつ、
江戸~明治の学者について書いてみます。
※記事の下部のリンクから
「西周」

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津田真道の「道」~失敗続きでも切り替える~

津田真道の「道」~失敗続きでも切り替える~

朝ドラの『虎に翼』では、
日本初の女性弁護士が主人公のモデル。
彼女は、日本において法学を志します。

その日本の近代法学を語る時に、
津田真道という人の存在は欠かせない。
「つだ まみち」と読みます。
(まさみち、しんどうと読むことも)

1829年~1903年に生きた人。

先日、記事を書いた「日本哲学の父」
西周(にし あまね)と
セットにされることが多い人物です。
※本記事の下部のリンクか

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「西周」という橋渡し ~日本哲学の父~

「西周」という橋渡し ~日本哲学の父~

「西周」と書いて「にし あまね」!
人の名前です。
1829年生まれ、1897年に亡くなる。

「philosophy」を
「フィロソフィー」ではなく
「哲学」と名付けて訳した人です。
人呼んで「日本哲学の父」!

「藝術(芸術)」「理性」「科學(科学)」
「技術」「心理学」「意識」「知識」「概念」
「帰納」「演繹」「定義」「命題」「分解」…。

すべて西周が訳した言葉。

彼が生きた幕末~明治時

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幻の廃県置州 ~都道府県の行く末は?~

幻の廃県置州 ~都道府県の行く末は?~

1871年、藩と「イワナイ」県と呼ぶ、の
ゴロ合わせで覚える『廃藩置県』の結果、
3つの府と、約300の県が成立しました。

今から、約150年ほども前のことです。

東京・大阪・京都が「府」になって、
それまでの藩が「県」となりました。
(注:「府」は10か所ほどありましたが、
3か所だけ留めて、他は「県」にした)

…この廃藩置県によって、
それまでは各地方の「藩」「藩主」が
地方の政治を行っ

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臼井城の戦い ~謎の軍師、軍神を破る~

臼井城の戦い ~謎の軍師、軍神を破る~

成田空港と西船橋の中間地点。
千葉県にある印旛沼(いんばぬま)の近くに
「臼井城」(うすいじょう)の跡があります。

印旛沼沿いの台地の上にあり
沼が一望できる眺めの良い城跡…。
今では「臼井城址公園」となり、
のんびりとした空気が流れている。

…しかし、ですね。
この城でとんでもないことが起こった。

1566年、戦国時代の真っただ中、
この城は「軍神」に包囲されてしまい、
まさに落城の危機に

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この現代日本に生きる自分にとっての「自由」あれこれ

この現代日本に生きる自分にとっての「自由」あれこれ

「自由」には分類があります。

先日の記事で「フリーダム」「リバティ」
(あえてカタカナ英語)の違いを書きました。

分類すればこうなりますが、
必ずハッキリと分かれるわけではなく、
重なり合っていたり、
区別できなかったりする部分もあります。
ゆえに、日本語では一緒くたに
「自由」とまとめられています。

また「消極的自由」「積極的自由」
という分類もあるそうです。

何かの行為が勝手に決められ

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『自由』から逃走するか、否か

『自由』から逃走するか、否か

先日『自由』の訳語についての記事、
フリーダムとリバティの違いについて
LinkedInで投稿しましたところ、
たくさんのリアクションや
コメントをいただくことができました。
ありがとうございます!

本記事では、そのコメントの一部のみを
紹介しつつ、もう少し『自由』について
考えてみたい、と思います。

なお、あえてメンションはつけず、
コメント内容のみを引用紹介いたします。
LinkedInの

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「自由」という日本語と訳語

「自由」という日本語と訳語

日本語で「自由」は借り物の言葉です。

古くは仏教用語の熟語でした。
日本独自の概念ではない。
自らに由る。自らにもとづく。
しかしこの漢字とて訳語です。
元々はサンスクリット語の「svayam」
スヴァヤンの訳語。

何かに依存しない。寄りかからない。
独立。何にも縛られない!

古代では、権力者などの他人に、
強制、支配されることが多かった。
自由が無い…。だからこそブッダは
「自由であれ!」

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桂と原 ~太郎と敬という男~

桂と原 ~太郎と敬という男~

どっちも一文字の名字ですが、
明治~大正を象徴する人物です。

桂太郎(かつらたろう)と
原敬(はらたかし)!

その通り。
…ただ、何となく、ですが
以下のようなイメージもありませんか?

◆桂太郎:薩長閥のリーダー
民主主義的でない独裁的な政治運営
◆原敬:本格的な政党政治の指導者
開明的で新時代のデモクラシー論者

私もそんなイメージでした。

桂太郎は、有名な桂小五郎(木戸孝允)と
同じ一

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「古河市兵衛」という補助線

「古河市兵衛」という補助線

日本史の教科書に出てくる人たち。
陸奥宗光、渋沢栄一、原敬、
田中正造、志賀直哉!

「一問一答方式」的な知識だと、
以下のイメージがあるかもしれません。

…詳しい方なら、
こんな感じで語れるかも?

「陸奥宗光は『かみそり陸奥』とも呼ばれ、
日清戦争、下関条約などの外交を指導した
キレッキレの外務大臣!

渋沢栄一は、大河ドラマ
『青天を衝け』の主人公。
元は幕臣、徳川慶喜の家臣でした。
日本

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並立の三文字熟語、三国志っぽい熟語

並立の三文字熟語、三国志っぽい熟語

日本語というものはとてもユニークでして、
漢字を並べることで「熟語」として
使うことができる言語です。

二文字熟語が最も多いですが、
四文字熟語にも有名なものが多い。
例えば「弱肉強食」「焼肉定食」など、
味のあるものが多いですよね!
「故事成語」もたくさんあります。

では、三文字熟語はどうでしょう?

…うん、パッと思い浮かびそうで
浮かばないこともある。
いや、もちろん使ったりは
するので

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「衣・食・住」と「医・ショック・情」

「衣・食・住」と「医・ショック・情」

「いしょくじゅう」と「いしょっくじょう」!
これは人間の生活に欠かせないものです。

特に『衣食住』が必要だ!とは、
昔からよく言われていますよね。

これらは、人間の欲求や心理に
ダイレクトに対応しています。

服を着ずに真っ裸では寒いし恥ずかしい。
食べないことには人は生きていけません。
家が無いと、安全とはなかなか言えない。
最低限の「衣食住」を揃えようとする。

そのため「衣食住に関わる仕

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