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梅雨の楽しみ方 山中りんたそ
・・・朝、玄関をでると雨が降っている。
「傘をさしますか。」
▶いいえ。多少濡れるのばっちこい。濡れない場所を探しながら歩くのも良い。
・・・自転車に乗っていると水たまりがある。
「水たまりを避けますか。」
▶いいえ。できる限り、深いところを通って大きな飛沫をあげます。
・・・土砂降りの中、帰宅する。
「車から降りますか。」
▶いいえ。車の天井に当たる雨の音を聞きながら
暑中お見舞い、牛乳瓶 秋豆絹
7月初旬。秋葉原駅のホームはこれ以上ないほどの彩度を放ちながらも、ぬるま湯のプールに浸かっているような、行き場のない嫌な熱気を帯びていた。ここに立っているだけで体力を吸い尽くされそうなくらいの暑さだ。
電車を待つ間、へばった頭と体で、ぼんやりと向こう側のホームを見つめていると、牛乳瓶を持った男性が階段を降りてホームに入ってきた。温まりすぎた空気と湿気は、もれなく日差しに当てられて光の粒となり、そ
でっかくてちっぽけな世界 七緒栞菜
子どもの頃に、物理的に大きく感じられていた世界の中をたくさんたくさん歩き回れば、大人になったときにこの世界はちっぽけに感じられてもっと気楽に生きられたのかなとか、よく考える。
七夕まつりとか、市のお祭りとか、幼い頃に歩いたお祭りの道は、どこまでも続いているような気がしていた。
家の食器棚の上の方に手が届かなかった。手を伸ばして取ろうとすればお母さんが取ってくれた。
水道で手を洗う時には背
顔を洗ってご自愛ください 秋豆絹
最近、スキンケアのラインナップを変えた。
別にそこまでスキンケアを気にできるほど丁寧な暮らしはしていないが、気に入るものが見つかるまでは、いろんなものを試してみたい精神がある人間である。冬に買った化粧水が終わるこの夏手前のタイミングで一新することにした。
今回変えたのは洗顔と化粧水。というのもメイクをして会社に行くことを諦めたすっぴん万歳な私は、前回のスキンケア購入テーマ「簡単な工程でそれなりにケ
さっぱりした身体で、日々を動かす 秋豆絹
今日、私は久しぶりにホカホカの身体だ。しっかり湯舟に浸かることができたのだ。
最近は仕事が再度カオスになり、毎日宇宙が広がっている。
不衛生な話で申し訳ないが、私は疲れすぎると自分の生活がまともにできなくなる。冷蔵庫の中の野菜に手を出せないまましおらせてしまう。納豆も卵も手軽に使える豆腐でさえも賞味期限を切らしてしまう。洗い物も洗濯物も溜まってしまう。ご飯を食べて21時に布団でうとうとしてしまい
解像度が高い=幸せ?山中りんたそ
私は、料理の味の細やかな違いがよくわからない。
例えば、コーヒー。毎日、豆を挽いてコーヒーを淹れているくらいにはこだわって飲んでいるつもりだが、そこからの解像度があまりにも粗い。淹れる前に豆を蒸らすと深みが出るとか、1グラムでも変わると味が変わるとか、熱湯の温度によって味が違うとか、ドリッパーが円錐か台形かで濃度感が変わるとか言われているが、試したものの正直違いがよくわからない。
さらに、
休日は仕事のためにあるんじゃない 山中りんたそ
世間では仕事がない日のことを一般的に休日と呼ぶ。休む日と書いて休日。つまり、仕事がない日は体力を回復させなさいというわけである。
冷静に考えておかしくないでしょうか。
休日というネーミングでは、まるで仕事をしている状態が通常みたいだ。そして、そのじ状態に戻るために1日を使いなさいというわけだ。この解釈だと、仕事のために休日があるみたいではないか。
しかし、私たち労働者は本来、休日のた
初めての坦々そうめん 秋豆絹
我が家に揖保乃糸が来た。友達ではない、そうめんだ。
実家の食料便からのご登場だったのだが、先日実家に帰った際に食べたそうめんがやたら美味しかったのはお主のせいか、と人間だったら両肩をガシッと掴んで身体を前後に揺さぶる感じで鷲掴みした。
これを日常で食べてしまったらもう戻れない。でも送ってもらったわけだから食べるしかない。よき頃合いを見つけて美味しく頂こう、と食材の詰まった段ボール箱に丁寧に戻した。
人脈という言葉への後ろめたさ 七緒栞菜
人脈があると言われると、どこか後ろめたさがある。
そもそも私に人脈はないし、利害関係が透けて見えるような関係性はどちらかというと苦手だ。でも、ここ数年、私は人脈を広げようと努力してきたような気もして、なんだか少し気持ちが悪くなる。
興味のある分野の活動を調べたり、実際に飛び込んだりしているのは確かなので、他者を知っていることは多いかもしれないが、それは人脈ではなく一方的に知っているだけだ