hengeni books

活動人数4名の雑文集。 週1更新だったり、隔週更新だったり、不定期更新だったり。 それ…

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活動人数4名の雑文集。 週1更新だったり、隔週更新だったり、不定期更新だったり。 それぞれの色のあるマガジンをぜひご一読ください。

マガジン

  • 取るに足らない頭の中を、とりとめもなく書き綴る

    七緒栞菜です。書かない日常より書く日常の方がほんの少し心躍る。楽しい日でも、寂しい日でも。毎週月曜夜更新。

  • 真面目に不真面目録 山中りんたそ

    山中りんたそです。週に1度エッセイを更新します。 文章は三浦しをんさん、内田樹さん、星野源さん等に影響を受けている気がします(多分)。よろしくどうぞ。

  • 今日もいい出汁取れてます

    秋豆 絹(あきず きぬ)です。 豆といえば豆乳、きなこ、味噌、最中、黒豆茶、豆皿、など様々思い起こされますね。 豆腐は絹派ですが、カラオケでは木綿のハンカチーフという曲を十八番にしています。 隔週日曜更新します。

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記事一覧

誕生日の日記 七緒栞菜

 四半世紀を生きたってことか。  25になった朝はどんよりとした曇り空だったけれど、悪い気はしなかった。  冷凍庫にはまるまる一本のバゲット。食べるときのことを考…

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6日前
3

梅雨の楽しみ方 山中りんたそ

 ・・・朝、玄関をでると雨が降っている。  「傘をさしますか。」  ▶いいえ。多少濡れるのばっちこい。濡れない場所を探しながら歩くのも良い。  ・・・自転車に乗…

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6日前
3

暑中お見舞い、牛乳瓶 秋豆絹

7月初旬。秋葉原駅のホームはこれ以上ないほどの彩度を放ちながらも、ぬるま湯のプールに浸かっているような、行き場のない嫌な熱気を帯びていた。ここに立っているだけで…

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8日前
3

でっかくてちっぽけな世界 七緒栞菜

 子どもの頃に、物理的に大きく感じられていた世界の中をたくさんたくさん歩き回れば、大人になったときにこの世界はちっぽけに感じられてもっと気楽に生きられたのかなと…

hengeni books
13日前
4

受験生、その保護者必見。 山中りんたそ

 1学期も残すところ後2週間になりました。最近の山中は、文章の中で教員であることをあまり隠さなくなってきているので、今日は学校であった出来事を守秘義務違反になら…

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13日前
2

hengeniの由来と多面体について 七緒栞菜

私は、シルバージュエリーの制作・販売と私物の古本やzineの販売活動を行っている。屋号は「hengeni」と「hengeni books」(読み方はローマ字読みでそのまま「ヘンゲニ」で…

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2週間前
7

ツーブロック禁止!?山中りんたそ

 みなさん、美容院の頻度はいかほどでしょうか?  山中は、2ヶ月に1回の周期であることが生徒にバレ、 「山中先生って2ヶ月に1回髪型変わるよね。」 「まだ若いから…

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2週間前
5

顔を洗ってご自愛ください 秋豆絹

最近、スキンケアのラインナップを変えた。 別にそこまでスキンケアを気にできるほど丁寧な暮らしはしていないが、気に入るものが見つかるまでは、いろんなものを試してみ…

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3週間前
4

さっぱりした身体で、日々を動かす 秋豆絹

今日、私は久しぶりにホカホカの身体だ。しっかり湯舟に浸かることができたのだ。 最近は仕事が再度カオスになり、毎日宇宙が広がっている。 不衛生な話で申し訳ないが、…

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1か月前
3

赤、青。金、銀。 七緒栞菜

 赤色は私にとってチャンピオンの色で、憧れながらもずっと苦手な色だった。  空手道の形競技では、2名がそれぞれ赤帯と青帯を身に着けて演武を行う。私が小学生の頃は…

hengeni books
1か月前
3

解像度が高い=幸せ?山中りんたそ

 私は、料理の味の細やかな違いがよくわからない。  例えば、コーヒー。毎日、豆を挽いてコーヒーを淹れているくらいにはこだわって飲んでいるつもりだが、そこからの解…

hengeni books
1か月前
2

私は私が3人ほしい。 七緒栞菜

 私は私が3人ほしい。  ひとりは、新しいことを学ぶ私。 興味の対象が多くある。圧倒的に好きなことがいまいちわからないからこそ、いろんな分野になんとなく興味があ…

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1か月前
2

休日は仕事のためにあるんじゃない 山中りんたそ

 世間では仕事がない日のことを一般的に休日と呼ぶ。休む日と書いて休日。つまり、仕事がない日は体力を回復させなさいというわけである。  冷静に考えておかしくないで…

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1か月前
2

初めての坦々そうめん 秋豆絹

我が家に揖保乃糸が来た。友達ではない、そうめんだ。 実家の食料便からのご登場だったのだが、先日実家に帰った際に食べたそうめんがやたら美味しかったのはお主のせいか…

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1か月前
4

話す・聞く、伝える・伝わる 七緒栞菜

話すのが苦手だとずっと思っていた。中学生くらいまではそんなことはなかったのだが、だんだんと人と話すのが怖くなって、ずっと何かのお面をつけて自分をパペットのように…

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1か月前
5

人脈という言葉への後ろめたさ 七緒栞菜

 人脈があると言われると、どこか後ろめたさがある。  そもそも私に人脈はないし、利害関係が透けて見えるような関係性はどちらかというと苦手だ。でも、ここ数年、私は…

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2か月前
5
誕生日の日記 七緒栞菜

誕生日の日記 七緒栞菜

 四半世紀を生きたってことか。
 25になった朝はどんよりとした曇り空だったけれど、悪い気はしなかった。

 冷凍庫にはまるまる一本のバゲット。食べるときのことを考えなかったのだろうか。起き立ての私は、起きていても寝ぼけていたかのような行動を取った過去の私に少し笑いながら、凍ったままの硬いバゲットを包丁でぎこぎこ切った。のこぎりが欲しくなった。やっとのことで切れた不揃いなバゲットを3分ほど焼き、ミ

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梅雨の楽しみ方 山中りんたそ

梅雨の楽しみ方 山中りんたそ

 ・・・朝、玄関をでると雨が降っている。

 「傘をさしますか。」
 ▶いいえ。多少濡れるのばっちこい。濡れない場所を探しながら歩くのも良い。

 ・・・自転車に乗っていると水たまりがある。

 「水たまりを避けますか。」
 ▶いいえ。できる限り、深いところを通って大きな飛沫をあげます。

 ・・・土砂降りの中、帰宅する。

 「車から降りますか。」
 ▶いいえ。車の天井に当たる雨の音を聞きながら

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暑中お見舞い、牛乳瓶 秋豆絹

暑中お見舞い、牛乳瓶 秋豆絹

7月初旬。秋葉原駅のホームはこれ以上ないほどの彩度を放ちながらも、ぬるま湯のプールに浸かっているような、行き場のない嫌な熱気を帯びていた。ここに立っているだけで体力を吸い尽くされそうなくらいの暑さだ。

電車を待つ間、へばった頭と体で、ぼんやりと向こう側のホームを見つめていると、牛乳瓶を持った男性が階段を降りてホームに入ってきた。温まりすぎた空気と湿気は、もれなく日差しに当てられて光の粒となり、そ

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でっかくてちっぽけな世界 七緒栞菜

でっかくてちっぽけな世界 七緒栞菜

 子どもの頃に、物理的に大きく感じられていた世界の中をたくさんたくさん歩き回れば、大人になったときにこの世界はちっぽけに感じられてもっと気楽に生きられたのかなとか、よく考える。

 七夕まつりとか、市のお祭りとか、幼い頃に歩いたお祭りの道は、どこまでも続いているような気がしていた。
 家の食器棚の上の方に手が届かなかった。手を伸ばして取ろうとすればお母さんが取ってくれた。
 水道で手を洗う時には背

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受験生、その保護者必見。 山中りんたそ

受験生、その保護者必見。 山中りんたそ

 1学期も残すところ後2週間になりました。最近の山中は、文章の中で教員であることをあまり隠さなくなってきているので、今日は学校であった出来事を守秘義務違反にならないよう最新の注意を払いながら少々。

 山中は現在、中学校3年生の担任をしている。学級の生徒たちは修学旅行、期末テスト、部活動の最後の大会を終えて、いよいよ受験と正面から向き合う時期になってきている。

 そんな状況なので、ある生徒からこ

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hengeniの由来と多面体について 七緒栞菜

hengeniの由来と多面体について 七緒栞菜

私は、シルバージュエリーの制作・販売と私物の古本やzineの販売活動を行っている。屋号は「hengeni」と「hengeni books」(読み方はローマ字読みでそのまま「ヘンゲニ」です。)

 この「hengeni」という屋号は、ジュエリー販売を始めるときに悩みに悩んでつけたもので、ふたつの意味を込めている。(そしてすごく気に入っている…!)

 ひとつは、「変幻自在」という意味。「henge

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ツーブロック禁止!?山中りんたそ

ツーブロック禁止!?山中りんたそ

 みなさん、美容院の頻度はいかほどでしょうか?

 山中は、2ヶ月に1回の周期であることが生徒にバレ、
「山中先生って2ヶ月に1回髪型変わるよね。」
「まだ若いから、自分の髪型に迷っているんじゃない。」
なんていう、いらない詮索をされています。

 先日も、来たる授業参観に張り切って直前に美容院に行った。

 そして、次の日生徒からはこんな言葉を頂戴した。

 「なんで僕たちはツーブロックがだめな

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顔を洗ってご自愛ください 秋豆絹

顔を洗ってご自愛ください 秋豆絹

最近、スキンケアのラインナップを変えた。
別にそこまでスキンケアを気にできるほど丁寧な暮らしはしていないが、気に入るものが見つかるまでは、いろんなものを試してみたい精神がある人間である。冬に買った化粧水が終わるこの夏手前のタイミングで一新することにした。
今回変えたのは洗顔と化粧水。というのもメイクをして会社に行くことを諦めたすっぴん万歳な私は、前回のスキンケア購入テーマ「簡単な工程でそれなりにケ

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さっぱりした身体で、日々を動かす 秋豆絹

さっぱりした身体で、日々を動かす 秋豆絹

今日、私は久しぶりにホカホカの身体だ。しっかり湯舟に浸かることができたのだ。

最近は仕事が再度カオスになり、毎日宇宙が広がっている。
不衛生な話で申し訳ないが、私は疲れすぎると自分の生活がまともにできなくなる。冷蔵庫の中の野菜に手を出せないまましおらせてしまう。納豆も卵も手軽に使える豆腐でさえも賞味期限を切らしてしまう。洗い物も洗濯物も溜まってしまう。ご飯を食べて21時に布団でうとうとしてしまい

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赤、青。金、銀。 七緒栞菜

赤、青。金、銀。 七緒栞菜

 赤色は私にとってチャンピオンの色で、憧れながらもずっと苦手な色だった。

 空手道の形競技では、2名がそれぞれ赤帯と青帯を身に着けて演武を行う。私が小学生の頃は、トーナメント方式、且つ、フラッグ制だった。5名の審判が上手だと思った(本当はもっといろいろな減点方式の審査基準がある)選手の色の旗をあげる。上がった旗の本数で勝敗が決まる。赤の旗が上がるか、青の旗が上がるか。自分の帯の色が3本以上上がれ

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解像度が高い=幸せ?山中りんたそ

解像度が高い=幸せ?山中りんたそ

 私は、料理の味の細やかな違いがよくわからない。

 例えば、コーヒー。毎日、豆を挽いてコーヒーを淹れているくらいにはこだわって飲んでいるつもりだが、そこからの解像度があまりにも粗い。淹れる前に豆を蒸らすと深みが出るとか、1グラムでも変わると味が変わるとか、熱湯の温度によって味が違うとか、ドリッパーが円錐か台形かで濃度感が変わるとか言われているが、試したものの正直違いがよくわからない。
 さらに、

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私は私が3人ほしい。 七緒栞菜

私は私が3人ほしい。 七緒栞菜

 私は私が3人ほしい。

 ひとりは、新しいことを学ぶ私。
興味の対象が多くある。圧倒的に好きなことがいまいちわからないからこそ、いろんな分野になんとなく興味がある。だから、とりあえずいろんなことを知ろうとする。そんな知りたがりの私を、思いきり解き放ちたいという欲がある。

 もうひとりは、今やらなければならないことを遂行する私。
アクセサリーを作ること、読書会を企画すること、きゅうりをもぐこと(

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休日は仕事のためにあるんじゃない 山中りんたそ

休日は仕事のためにあるんじゃない 山中りんたそ

 世間では仕事がない日のことを一般的に休日と呼ぶ。休む日と書いて休日。つまり、仕事がない日は体力を回復させなさいというわけである。

 冷静に考えておかしくないでしょうか。

 休日というネーミングでは、まるで仕事をしている状態が通常みたいだ。そして、そのじ状態に戻るために1日を使いなさいというわけだ。この解釈だと、仕事のために休日があるみたいではないか。

 しかし、私たち労働者は本来、休日のた

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初めての坦々そうめん 秋豆絹

初めての坦々そうめん 秋豆絹

我が家に揖保乃糸が来た。友達ではない、そうめんだ。
実家の食料便からのご登場だったのだが、先日実家に帰った際に食べたそうめんがやたら美味しかったのはお主のせいか、と人間だったら両肩をガシッと掴んで身体を前後に揺さぶる感じで鷲掴みした。
これを日常で食べてしまったらもう戻れない。でも送ってもらったわけだから食べるしかない。よき頃合いを見つけて美味しく頂こう、と食材の詰まった段ボール箱に丁寧に戻した。

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話す・聞く、伝える・伝わる 七緒栞菜

話す・聞く、伝える・伝わる 七緒栞菜

話すのが苦手だとずっと思っていた。中学生くらいまではそんなことはなかったのだが、だんだんと人と話すのが怖くなって、ずっと何かのお面をつけて自分をパペットのようにして話しているような気分だった。

だから、はじめましての人と話すとき「私は話すのが苦手です」と先に伝えるようにしていた。ずるいなあと思いながら、そうしていた。人と話す時に必然的に生じる空白の時間さえも恐ろしくて、黙り込みながら静かに怯えて

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人脈という言葉への後ろめたさ 七緒栞菜

人脈という言葉への後ろめたさ 七緒栞菜

 人脈があると言われると、どこか後ろめたさがある。

 そもそも私に人脈はないし、利害関係が透けて見えるような関係性はどちらかというと苦手だ。でも、ここ数年、私は人脈を広げようと努力してきたような気もして、なんだか少し気持ちが悪くなる。

 興味のある分野の活動を調べたり、実際に飛び込んだりしているのは確かなので、他者を知っていることは多いかもしれないが、それは人脈ではなく一方的に知っているだけだ

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