話す・聞く、伝える・伝わる 七緒栞菜
話すのが苦手だとずっと思っていた。中学生くらいまではそんなことはなかったのだが、だんだんと人と話すのが怖くなって、ずっと何かのお面をつけて自分をパペットのようにして話しているような気分だった。
だから、はじめましての人と話すとき「私は話すのが苦手です」と先に伝えるようにしていた。ずるいなあと思いながら、そうしていた。人と話す時に必然的に生じる空白の時間さえも恐ろしくて、黙り込みながら静かに怯えていたり、話さねばと咄嗟に言葉を発して後悔したりすることが多かった。だから、自分が