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意味の図画と言葉の工作、このふたつで僕は文章をつくる

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図画とはクリエイティブであり、工作とはエンジニアリングである。実用に資する公的に正しい文章は、伝達と行動を企図した徹底的な他者志向から生まれる。 文化人や知識人は世の言葉の乱れ… もっと読む
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2019年6月の記事一覧

ゲームライターに「基礎教養」は必要か

ゲームライターに「基礎教養」は必要か

 カワチさんのゲームライターラジオに呼んでもらってから、「ゲームライターは『基礎教養的ゲーム』をどれくらい遊んでおくべきか」についてずっと考え続けていて、配信では「基本的には必要ないんじゃない?」みたいなことを言ってたんだけど、考えれば考えるほど「やっぱり必要なんじゃないか」と思うようになってきた。

 で、自分でもちょっと面白いテーマだなと思ったので、ここらで一度考えを整理しておこうと思ってこれ

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百合と異界は児童小説の……

百合と異界は児童小説の……

「ハヤカワ文庫の百合SFフェア」開催を記念して、完売御礼のSFマガジン2019年2月号百合特集からコラム企画を抜粋公開いたします。今回公開するのは、昨年劇場アニメ版が大ヒットした『若おかみは小学生!』などで知られる児童書作家・令丈ヒロ子さんによるエッセイです。

「劇場版 若おかみは小学生! アートブック」 (一迅社)

「パンプキン! 模擬原爆の夏 」
令丈 ヒロ子/講談社青い鳥文庫

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難しい言葉を使いたがる大人へ

難しい言葉を使いたがる大人へ

ものすっごいアホなので、実は人の言っていることが半分くらいしかわかっていないときがある。(暴露)

最近は何だ、レバレッジ?みたいな言葉がよくわからなかった。たぶん、見返りとか余裕とか幅みたいな意味だと信じている。よくわからないけどレバレッジを効かせると良いことだけはわかった。

それはともかく、わたしがビジネス書を嫌う理由のひとつとして、謎の横文字が多いことが挙げられる。

何なら、サイバーに入

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小説執筆ツールWavemaker.cards ―テキストエディタ、アウトラインプロセッサ、データベース、そしてマインドマップ―

小説執筆ツールWavemaker.cards ―テキストエディタ、アウトラインプロセッサ、データベース、そしてマインドマップ―

なんかNotionのコピーみたいになったな

小説のプロットどうやって作るの問題は、字書きの悩みあるあるだと勝手に思っている。かくいう私も、プロットを書く方法や媒体について試行錯誤を繰り返しながら、いまひとつしっくり来るものが得られていない。

で、そんなときになんかのリンク集でWavemaker.cardsの名前を知った。名前だけ。だってろくな説明書いてなかったんだもんよ

一応、小説の執筆に使

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武器は装備しないと意味がないよ!

武器は装備しないと意味がないよ!

だいぶ前に

こんな記事を見たので、遅まきながら自分の装備品を確認してみよう。

1.REAL稲妻に打たれ、そのあと隕石の直撃をくらってはならないのだ
(マーシアン/アンディ・ウィアー)

REALの話。リアリティの話。
『マーシアン』(邦題:オデッセイ)はぼくが尊敬するSF小説の中で最も新しいものだ。

これのあとがきの中で著者のアンディはこういっている。
物語の展開とは必然性から生まれなければ

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装備している名言を確認する #2

装備している名言を確認する #2

 よくきたな🍑

 逆噴射小説大賞に参加したあの日から毎日更新を続けていたが、今日とうとう200日連続更新となった。ここ2,3日はヤバかったけど。

 ともあれ、三日坊主の僕としては異例の出来事だ。褒めてほしい。

 せっかくのキリ番なので、100日記念のときと同じく「装備している名言を確認する」をやろうと思う。そろそろ見直しの時期かなとも思うので。

 前回はこれだ。

 前回も「ここ2,3日

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名作コピーの時間

名作コピーの時間

最近参考にしている本の中に、名作コピーの時間という本があります。これは、雑誌ブレーンで連載されている企画で、広告業界の錚々たるクリエイターの方々が、自分にとっての名作コピーを3本ずつ選ぶという内容です。

この本がそれぞれの仕事に対する熱い想いや、なぜそのコピーが好きなのかが詳しく知れて、紹介している人の人間性まで垣間見えるのが面白くて何度も読み返しています。本を読んでいたら、私もコレがやりたい!

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ニンジャスレイヤーでニンジャネームを名乗りあう意味

ニンジャスレイヤーでニンジャネームを名乗りあう意味

ニンジャスレイヤーという作品は、パルプ小説として気軽にパッと読めるような工夫がそこかしこになされている。その中の一つが戦闘開始時に互いにニンジャネームを名乗りあうという作中のルールである。

ニンジャどうしのアイサツというルールは、一見するとある種のトンチキさを醸す要因になっているが、少し読み進めると読みやすさを確保するためのメタ的なギミックだとわかる。

1. 登場直後に固有名詞が与えられる通常

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伝わる文章にするための実践術

伝わる文章にするための実践術

こんにちは、だーすーです。

突然ですが、「丁寧なのに見にくい」、「何が言いたいんだろう?」、「後で読もう!後回し!」こんな気持ちにさせられた文章に出会ったことありませんか?

日々やり取りするメッセージの中で、すぐに返信をするものとそうじゃないものがあると思います。

リモートワークで日々仕事をしていると『伝える力』と『読み解く力』が大事だと常々思います。

今回は、『伝える力』にフォーカスし、

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プロの文章が響かなくなっている

プロの文章が響かなくなっている

noteには書く職業(ライターだけでなく)の人が結構行き交ってる。なのにプロの物書きであるはずの人のnoteが読んでて響かない問題。

どきっとした。こういうのある。書いてることはプロの領域の話が書かれてる。なのに平板で引っかかり(いい意味での)もなく、こころが振れない。

自分じゃん!!!!!

思い当たることありすぎて思わず心の中で「うわっ」ってなった。

逆に言えば、こういうヤマシタ マサト

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「躊躇った」を「ちゅうちょった」と読んでいた話

「躊躇った」を「ちゅうちょった」と読んでいた話

少し前のことになるのだけれど、SNSを眺めていると

「躊躇った」

という文字が飛び込んできた。

「ちゅうちょった」なんて言い方あったかな? と首をひねった。

昨年2月からフリーでライターの仕事をはじめておよそ1年と4ヶ月。日本語の世界にどっぷりとつかるのも久しぶりだ。私が日本を離れてNZで暮らしている間に、新しい言葉が次々と出てきている。

言葉は、生き物だ。

「ちゅうちょった」も、もし

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誰に向かって書いているの?

誰に向かって書いているの?

noteを書く時に、誰に向かって書いていますか?という投げかけが目にとまった。

これの答えは人によってホントまちまちで、フォロワーさんを具体的に想像している人もいれば、完全に日記や日報のような人もいれば、不特定多数への文字通りの長いつぶやきの人もいる。

僕自身はどうかというと、何種類かを使い分けている。

①単純なつぶやき対象:誰でもない
アイデアメモ的なもの。思いついた事や仮説を殴り書きする

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「捨ておけ」

言ってみたい。なんだろうこの圧倒的な無慈悲感と、にじみ出る気高さは。

これちょっと捨てておいてー、とはわけが違う。それすら私は滅多に口にしない。人に頼む前に自分で捨ててしまう。なんかちょっと気が引けるし、自分でやったほうが早いもの。

「捨ておけ」はお願いを通り越して命令です。有無を言わさない。しかも、そこのゴミ捨てといてよとか、そういう軽い意味でもない。

きっと捨てる対象は物ではないだろう。

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