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ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く

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ベルリンで出会った移民から、日本ではなかなか聞けないような話、外国で生き残るための秘訣などを聞きます。 EU国籍の人はビザなしでEU圏内だとどこでも住めてあまり日本人には参考にな… もっと読む
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東欧の独裁国家ベラルーシ、地政学的要因から人権侵害が放置され続ける国-3

東欧の独裁国家ベラルーシ、地政学的要因から人権侵害が放置され続ける国-3

・インフレし続けるベラルーシ・ルーブル
E:ベラルーシのインフレ率は結構高いみたいだけど、体感的にどう?

A:そりゃ酷いわよ、5年前にはデノミ(Wikipedia:デノミネーション)でゼロが4桁削られたもの。
一晩で10000ルーブルが1ルーブルになったの。
今の公式レートは1ドルが2.5ベラルーシ・ルーブルくらいだけど、もちろんこんなのフェイクで、すごいスピードでインフレしてくわ。

E:じゃ

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東欧の独裁国家ベラルーシ、拷問とITスタートアップとレイヴカルチャー -2

東欧の独裁国家ベラルーシ、拷問とITスタートアップとレイヴカルチャー -2

・ナチスドイツと変わらない刑務所での拷問E:拷問は行われてるの?

A:拷問はもちろんあるし、今でも続いてるわ、いろんなやり方で。
例えば警棒でレイプするとか。女だけじゃなくて男もよ。
それとか太った警官がごっつい革のブーツ履いて、床が倒れた人で埋まってる部屋を走り回るとか。
皆んな出血してて、足や腰の骨が折れてて、トイレもそこでしてるのよ。
腎臓を破られたり、男の多くは睾丸をブーツで圧迫されたり

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テクノ・パンク女子に聞く東欧の独裁国家ベラルーシの現状-1

テクノ・パンク女子に聞く東欧の独裁国家ベラルーシの現状-1



今回は去年、ベルリンで知り合ったベラルーシ人のAdelaida(仮名)に話を聞いた。

2020年8月にベラルーシであった大統領選に不正があったとして多くの人々が抗議の声を上げ、同時に多くの人がベラルーシに見切りをつけて国を出たが、彼女もそんな中、ポーランドの首都ワルシャワに移住した一人だった。
ベラルーシのテクノやパンクなどのシーンに関わりのある彼女の周囲の人の7割は弾圧を恐れ、国を離れたと

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ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ファン(中国) 「西側メディアの報道とは異なり大半の中国人は政府を支持していて、未来に希望を持っている」

ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ファン(中国) 「西側メディアの報道とは異なり大半の中国人は政府を支持していて、未来に希望を持っている」

・ドイツ社会に対する複雑な感情
E:じゃあ自己紹介をお願いします。

F:ファンです。 
中国出身でドイツに8年住んでいます。
ドイツには建築を学びに来ました。 
卒業してから3年働いています。

E:どういう仕事をしてるの?

F:小さな建築事務所で働いてます。
でもコロナや、プライベートなことも色々あるので、仕事を辞めて、中国に帰国しようと思ってます。

E:じゃあドイツの建築業界もコロナでだ

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ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く アノーシュ(イラン)-2  「自国通貨の暴落に翻弄される」

ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く アノーシュ(イラン)-2 「自国通貨の暴落に翻弄される」

・ブルガリア留学前に通貨が暴落する

2006年から2020年12月までのイラン・リヤルとユーロの公式為替レートの推移。公式レートはいわばイラン政府の願望で、実際に両替する際はもっとイラン・リヤルに不利なレートになるが殆ど。特に近年はその乖離が激しい。10リヤル =1トマン。イラン国内では実際的に殆どの商取引がトマン単位で行われている。
(ページ最上段の写真 https://en.radiofar

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ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ー はじめに

ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ー はじめに

このシリーズを始めようと思った理由

初めまして、ドイツのベルリンに住んでいるエダマメです。

主に音楽や映像の仕事をしています。

ベルリンは移民の街で様々な国から来た人が住んでいますが、主にEU加盟国以外の国出身でベルリンに住んでいる移民が異国での生活をどう思っているのかや、どういう国で育ったか、これからどうしたいかなど、何でも話したいことを話してもらって、それらを日本語にして投稿していきたい

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ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く アノーシュ(イラン) -1  「音楽家は弾圧される、イランはさながら共産主義国家?」

ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く アノーシュ(イラン) -1 「音楽家は弾圧される、イランはさながら共産主義国家?」

・イランのテクノシーンを描くドキュメンタリー映画に出演後、ヨーロッパに移住した理由とは?(2016年に公開されたイランのアンダーグラウンド・テクノシーンを描いたドキュメンタリー”Raving Iran”。多くのシーンは安全上の理由から服の下に隠したiPhoneで撮影された。少なくない数の人の顔に本人が特定出来ないようモザイクがかかっている)

E:自己紹介をお願いします。

A:名前はAoosh

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ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞くジャスィとアスィール(パレスチナ) -5  「パレスチナのムスリムもクリスマスを盛大に祝う」

ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞くジャスィとアスィール(パレスチナ) -5 「パレスチナのムスリムもクリスマスを盛大に祝う」

・西側メディアはパレスチナの宗教やカルチャーの多様性を隠している
E: パレスチナの人は主にどういう仕事をしてるの?

A: お金を盗んでる。(笑)

E: は?

A: 50%くらいの人はパレスチナの当局関連の仕事をしてるよ。

E: 公務員ってこと?警察官も含めて?

A: ううん、当局の別の部門で。
パレスチナではお金は実質上の首都のラマッラーかベツレヘムに集中してて、ラマッラーは大都会だ

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ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ジャスィとアスィール(パレスチナ) -4 「ドラッグを用いた占領政策」

ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ジャスィとアスィール(パレスチナ) -4 「ドラッグを用いた占領政策」

・報道されないドラッグを用いたパレスチナ占領政策
E: そうだったんだね。
その君を逮捕した警察はイスラエル人かい?

A: ううん、パレスチナ人。

E: すごく保守的な人がパレスチナでは警官になるの?

J: イスラエルの警察にはいろんな部署があるんだけど、そのうちの一つがパレスチナの警察なの。
Aseelがベルリンから戻ってきた後、最初に逮捕された時、パレスチナの警察は高校生や大学生に対して

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ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ジャスィとアスィール(パレスチナ)-3  「意味不明な4回の投獄」

ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ジャスィとアスィール(パレスチナ)-3 「意味不明な4回の投獄」

・パスポート次第で大きく変わる行政の対応A: 今ではこのパスポートはあくまで私にとっての象徴的な物で、法理的に意味があるのはフランスからもらった書類よ。
フランスで学生だった2016年の後にも、コンフェレンスとかJassiと会うのとかでフランスには何度か来ていて、その履歴も(ビザ取得の)プラスになった。
ヨーロッパに入ってそのままヨーロッパに不法滞在することなく、ビザの期限内に帰国してたからね。

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ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ジャスィとアスィール(パレスチナ)-2  「外国に適応するには?」

ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ジャスィとアスィール(パレスチナ)-2 「外国に適応するには?」

・パレスチナでの検閲と拘留

E:ところで、ベルリンの暮らしを楽しんでる?全般的に?

J: うん、そうね。
文句を言いたいことはそんなにない。
すごく大きな街でほぼなんでもあるし、ヨーロッパの他の多くの街より物価安いし、それで私はベルリンに来たんだけど。
カルチャーも盛んだし、自由で個人主義的で、いい意味で誰も他人のこと気にしてないとことかはまさに私が求めていたことでもある。
でも一方ですごく気

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ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ジャスィとアスィール(パレスチナ) -1  「パレスチナの多様性を発信したい」

ハウ・トゥ・サバイブ ベルリン移民に聞く ジャスィとアスィール(パレスチナ) -1 「パレスチナの多様性を発信したい」

・10か月間、無権利状態だった

E: じゃあ自己紹介をお願いします。

J: 私の名前はJassiで、コンテンポラリーダンスを学んでます。
21歳でパレスチナ出身。
ベルリンに3年住んでいて、今はパレスチナの文化を発信するオーガニゼーション(団体、組織)で働いています。
それはパリに拠点があってパレスチナの人々の視点やカルチャーの情報を収集して発信してるの。
それはバーチャル(オンライン)でも

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