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この本いいよ!

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これまで私がnoteに投稿した読書感想記事をまとめたマガジンです。本選びの参考になればいいなと思います。
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2021年4月の記事一覧

第44回:「画面の中で頑張る人」を応援する人にこの「花束」のような物語を

第44回:「画面の中で頑張る人」を応援する人にこの「花束」のような物語を

汐見夏衛さんの『ないものねだりの君に光の花束を』という小説を読みました。汐見さんの作品ではこれまでに、人とのつながりや命の大切さ、戦争の恐怖を描いた物語と出会い、何度も感動や学びを得ました。

今回のお話には、クラスの「モブ」としてひっそりと生きる主人公と「アイドル」として芸能界で活躍する男子生徒の交流が描かれます。

設定だけでは非現実的な話と思うかもしれません。だけど、この物語に登場する問題は

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第43回:『猫町』の奇妙な姿に酔いしれたい

第43回:『猫町』の奇妙な姿に酔いしれたい

こんにちは、あみのです(=^・^=)

今回の本は、萩原朔太郎の『猫町』です。私が読んだのは、またまた立東舎の「乙女の本棚」シリーズ版です。

先日、唐突に幻想的な物語が読みたくなり、だいぶ前に購入したこの本を改めて読んでみました。

ちなみに購入のきっかけは、イラストを担当しているしきみさんのイラストがもともと好きだったからです。(単純!)

購入当時、「名作を人気イラストレーターのイラストで楽

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第42回:ネメシスⅢを読みました

第42回:ネメシスⅢを読みました

こんにちは!あみのです。今回の本は、テレビドラマ『ネメシス』のノベライズの3巻です。(レーベルは講談社タイガ)

ノベライズの既刊が面白かったので、ドラマも毎週見ています。基本的な内容は同じですが、一部の謎の描き方など活字との違いを探す楽しさもあるドラマだと思っています。ドラマ独自の謎が全体を通して描かれるのもわくわくしますね!

さて今作の著者は、周木律さん。高校生のころから大好きなミステリー作

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第41回:あのときの感情を取り戻した新作に感謝したい

第41回:あのときの感情を取り戻した新作に感謝したい

おはようございます!あみのです。

今回の本は、沖田円さんのライト文芸作品『雲雀坂の魔法使い』(実業之日本社文庫GROW)です。

私は高校生のとき、沖田さんの『僕は何度でも、きみに初めての恋をする。』という作品を読み、初めて「本を読んで泣く」という経験をしました。

よくキャッチコピーでも使われがちな「泣ける本」の実在を知った瞬間は、今でもよく覚えています。

「記憶」の残酷さや恋する「美しさ」

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第40回:「正義」と「悪」は紙一重かもしれない

第40回:「正義」と「悪」は紙一重かもしれない

こんにちは、あみのです。今回の本は達間涼さんのライトノベル作品『PAY DAY』(MF文庫J)です。

ラノベでも普段はラブコメが多いので、今作のような少年漫画っぽい雰囲気の作品は読んでいて少し新鮮な気分になりました。コミカライズしても魅力が引き出せそうな作品でしたね。

今作は世間で「悪役」と呼ばれている存在たちの物語です。悪役は何のために「正義」と戦うのかがよくわかる作品でした。ちょっと違う角

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ちょっと報告。先日、早川書房の新刊の読者モニターに当選し、その際の感想がこの記事で採用されました。(https://www.hayakawabooks.com/n/nf5351d2e938c?magazine_key=m13a2d9c34ee5
私の感想は1番はじめのものです。海外ミステリー初心者でも読みやすい作品です。1冊でいろんな雰囲気の謎を楽しみたい人におすすめです!

第39回:「切ない」だけでなく、思わず過去を重ねてしまった青春小説

第39回:「切ない」だけでなく、思わず過去を重ねてしまった青春小説

おはようございます!あみのです。今回の本は、国仲シンジさんのライト文芸作品『僕といた夏を、君が忘れないように。』(メディアワークス文庫)です。今作も今年の電撃小説大賞受賞作のひとつになります。メディアワークス文庫の方の受賞作は今年初ですね。

とても純粋な感情であふれた物語で、ちょっと現実に疲れているときに読むと、気持ちがリフレッシュできる1冊だと思います!

あと完全に余談ですが、作者のプロフィ

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第38回:『逆ソクラテス』で「先入観」をぶち壊せ

第38回:『逆ソクラテス』で「先入観」をぶち壊せ

こんにちは、あみのです。今回の本は、伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』です。超がつく人気作家さんの作品ですね。何人かのnoterさんの感想文を読んで興味を持ち、読んでみました!

敵は、先入観。世界をひっくり返せ!

まず、今作のこのキャッチコピーがめちゃくちゃ好きです。キャッチコピーだけでも「これはただの物語ではない」ことを予感します。

この物語には一体どんな独創的な世界が広がっているのだろうか

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第37回:サスペンス強めないぬじゅんさんも悪くないですね

第37回:サスペンス強めないぬじゅんさんも悪くないですね

おはようございます!あみのです。今回の本は、いぬじゅんさんのライト文芸作品『今、きみの瞳に映るのは。』(実業之日本社文庫GROW)です。

大好きな作家さんの新作なのはもちろん、ライト文芸の新レーベルだそうなので読んでみました!公式サイトの執筆予定者を見てみると、スターツ出版文庫系の作家さんが多そうですね。

心温まる作風、切ない物語の印象が強い作家さんですが、今回はこれまではおまけのような扱いだ

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第34回:ダークな青春も時にはいいかも

第34回:ダークな青春も時にはいいかも

おはようございます!あみのです。個人的に好きな青春小説に出会えたので、紹介します。

今回の本は、瀬尾順さんのライト文芸作品『死に至る恋は嘘から始まる』(新潮文庫nex)です。タイトルの響きと表紙のヒロインの姿にひとめぼれし、手にしました。

この物語を簡単にいうと「切ないを超越した恋物語」だと思います。今作には2人の「命がけの恋愛」を経験する高校生が登場します。

そもそも恋愛に「命がけ」という

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第33回:谷崎の『秘密』は、男女の関係の儚さに注目したい物語

第33回:谷崎の『秘密』は、男女の関係の儚さに注目したい物語

こんにちは!あみのです。今回の本は、谷崎潤一郎の名作『秘密』です。『痴人の愛』で谷崎の世界観に関心を持ち、別作品も読んでみようとまずは短めなこの作品を選びました。

私が読んだのは、立東舎の「乙女の本棚」シリーズ版です。

谷崎の官能的な作風と、マツオヒロミさんが得意とするレトロなイラストとの相性が抜群な1冊でした。画集・絵本感覚で読むことができるので、気軽に名作を楽しみたい人におすすめです。

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