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エッセイ

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自身の記事の中から、エッセイをまとめています。
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#心

エッセイ 現状

エッセイ 現状

トイレで、久々に見る飛びグモが現れた日の翌日は、「この日から気温が暖かくなる」と予報されていた日で、川沿いを歩けば急に虫たちが飛びだした。

人間がテクノロジーを駆使して知ることを、虫たちはその感覚で知っているのだから、人間の知性のなんたるかを考えてしまう。

この頃は少し忙しかったためか、心身ともに変化があって。
テレビやスマホの画面から出てくる言葉の私の体内への透過性が低くなっている。
胸の細

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エッセイ 夢

エッセイ 夢

夢を見た。
私が現在(リアル)の苦しみを「演じて」いる夢。演じているのだから、その苦しみから逃れられるのに、重いオモシを自ら背負って歩く様に、苦しみに喘ぎながらひたすら歩いている。
なぜそこから解放されないのか。
それを夢の中でも自問するのだけれど、答えも出ているのだ。「苦しみを背負っている方が楽だから」。たしかにそれは重くて重くて辛いのだけれど、それを背負っている自分でいる方が、心が楽なのだ。あ

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夕空は心を写す

夕空は心を写す

夕空を見た時、人は何を想うのだろうか。
一日を振り返ったり、誰かを想ったり、センチメンタルになったり、様々なのだろう。

私はだいたいいつも、懐かしい風景が想起される。学校の放課後、小さい頃行った野外ライブの空、昭和の夕暮れ、海の向こうの遠い街。
暖色に染められた混じり気のある空気が、同時に鼻の中に入ってきて、心が暖かくなる。息が吸える。

自分でも、どうしてそれが想い出されるのかは分からない。心

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ある雨の日の散文

ある雨の日の散文

雨だ。出かけるのが億劫で、ベッドに横たわっている。雨の中を歩く楽しみを知りたい。
同じ様に、人生を歩む楽しみも知りたい。
人生なんて、みんな必死のパッチなのだろうか。気を抜いたら、良くも悪くも自分をこの世界の中心みたいに考えてしまう私は、私ばかりが必死のパッチで生きているとつい思ってしまう。悪い癖である。

と言っても、外側が必死なのではなく、内側が必死なのだ。思春期の頃から今に至るまで、心はいつ

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赤いワンピース

赤いワンピース

先週、買い物をしに出かけた。ついでにお気に入りの洋服屋さんに立ち寄り、そこで真っ赤なワンピースを手に取った。暑い夏の日に炭酸ジュースを手に取る様に、理由も理論も言い訳もなく無防備に体へあてがった。「歳のわりに」なんて、幸か不幸かちゃんと考えられるのだけれど、そんなことで躊躇する隙もなく、私は体内を真っ赤に染めた。そう、内側だけ。

ショッピングの醍醐味は二段階あって、まずは気に入った洋服を手に取っ

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デトックス

デトックス

音楽を聴いてみても、本を読んでみても、テレビを観てみても、なんにもしっくりこない時はないだろうか。私はたまにそんな時がやってくる。
時間を持て余しているから、何かしようと思うのだけれど、手を動かすこともなくて、じゃあ音楽を聴いてリラックス?などと思ってみても全然しっくりこない。
結果、部屋の真ん中でぽつんと、時間の過ぎる音を聞く。そんな時の私はまるで、この世界の何にもフィットしていない感覚になる。

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季節の途中

季節の途中

このところ、身体の不調に囚われている。
持病のリウマチが再燃したのか?と疑う反面、季節の変わり目のせいかとも思う。

昨年の5月には、近くの公園でピクニックをしたから、今年もするぞとワクワクしていたのに、春を楽しみきれないまま、低空飛行モードになってしまった。

身体が重く、疲労感がなかなか取れない。
散歩と軽い運動を習慣にしているのに、それも気が乗らなくなってきた。
最近少し忙しくしていたので、

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遅い衣替え

遅い衣替え

私は幼少期から病気を患い、人生の序盤で「普通」じゃなくなった。でもそうしたら「特別扱い」されるようになり、もちろん嫌なこともあったけれど、みんなと少し違う場所にいる感覚は、少しだけ幼い私を得意にさせた。けれどそんなに世の中は甘くない。すぐに「特殊扱い」もされるようになり、悪気の無い言葉も温度の無い言葉も冷たい言葉も、私に投げかけられては心に棘を残していった。どうやらその棘は溶けるのに相当な時間を要

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予感

予感

暇だ。とは言えこの世の中、「暇」なんて今やあるのだろうか。本を読む、テレビを観るなどに加え、今はSNSやサブスクなど多様な情報やエンターテイメントがあるのだから。
なんて、今や当たり前の話をしているけれど、でもそれってリッチな話だよなぁと思う。これらはすべて、お金で手に入るものなのだから。「貧乏暇なし」とは言うけれど、ある意味で「裕福暇なし」である。うーん。違うか。この言葉にするにはそもそも、「暇

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冬の空気

冬の空気

「一難去ってまた一難」
「一喜一憂」

そんな言葉があるくらいなのだから、
やっと苦労を乗り越えたのに、また…
なんてことはたぶん、この世界で私だけではないのだろう。
落ち込んだり喜んだり…って何回繰り返してんだ?
なんてことも、私だけじゃないのだろう。
この世界の不条理は、おそらく私にだけ起こっているのでもないのだろう。

そう思うと、幾分かほっとする。

だけれど、「辛さ」「苦しさ」「し

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