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【2022年度版】プロフェッショナルの大原則「人を動かす一人歩きする」資料Before→After OBOG版(後編) ~霞が関文学編~

※本記事は2020年1月に投稿した記事を2022年版としてブラッシュアップしたものです。2年以上経ちますが、いまだに多くの方に読んでいただいているコンテンツですので、再度ブラッシュアップしてお届けいたします。


前編の記事はこちら

 前回に引き続き、昨年末に開催いたしました「資料作成講座OBOG 大忘年会」にて講座OBOGの皆さんに挑戦いただきました資料修正の一部をご紹介&解説させていただきます。
 後編の今回は「ビジネスドキュメンテーション総合実践・個別スキル実践」の講師の作品を紹介させていただきます。

 まず挑戦いただいた資料はこちら
【北陸信越運輸局の訪日外国人旅行者数の推移に関する資料】

前編をご覧いただいた方は、まず情報量の多さスライドのカラフルさを修正したくなるのではないでしょうか。またキーメッセージが2つある点も気になりますね。

 それでは早速皆さんの資料修正のご紹介を始めましょう。
今回は「戦略的プレゼン資料作成講座」の講師である丸尾さんの作品からスタートです。

全体のスライド構成は変えていないのに、かなりすっきりしていますね!
修正ポイントは以下3点です。

① 「情報の整理」グラフ内の余分情報を整理
② 「グラフの変更」円グラフを横棒グラフへ変更
③ 「色を削減」色を使い過ぎない

 最も大きな変化は円グラフを横棒グラフへ変更したことですね。
 円グラフは様々な資料でよく見るグラフであるものの要素が多くなると非常に見づらくなってしまうため、「過半数」など視覚的に意味を持たせたい場合を除き推奨していません
 今回は国名が横に長いことから横棒グラフへ変更し、また地域という情報を追加することで東アジアが多いというメッセージを整理しています。
 また左側の旅行者数推移では急成長を始める前のデータをカットすることで情報を整理しています。


 さてここからは応用編に入ります。
 二人目の挑戦者は、資料作成講師である大塚さんの作品です。

元のスライドが左右2つで構成されていたのに、3つに分けるという応用術ですね!
修正ポイントは以下3点です。

① 「情報の整理」グラフ内の余分情報を整理
② 「グラフの変更」円グラフを積み上げ棒グラフへ変更
③ 「色を削減」色を使い過ぎない

ちなみに作成過程も作成いただいたので合わせてご紹介させていただきます。

注目したいのはスライドを3つに分けているのに、それぞれに関係性を持たせている点です。
 まず左側の縦棒グラフ内にて2018年の訪日外国人旅行者数3千万人を強調し、真ん中の積み上げ棒グラフ内にて訪日旅行者数内訳をエリア別に明示する。そしてその中のアジア部分85%の内訳を右側の積み上げ棒グラフ内にてさらに国別に明示し、結果的に中国が最も多いというメッセージにたどり着いています。
 3つに分けた部分をそれぞれ1枚のスライドと扱うことで情報量を調整し、結果的にスライド全体のキーメッセージは短く整理しています。
色に関しても青系統でまとめているので、情報量のわりにはスッキリ見えますね。
 そして三人目の挑戦者は同じく資料作成の講師である渡邉さんの作品です。

ここまでいくと全く別の資料に見えますね・・・さすがです!
修正ポイントは以下3点です。

① 「情報の追加」定性情報の追加
② 「グラフの変更」円グラフをバーメッコグラフへ変更
③ 「色を削減」色を使い過ぎない

 これまで紹介していく中で初めて上下に分かれているスライドの登場です。
 左右に分けた場合に比べ関係性がわかりづらくなりがちですが、左側の小見出しとグラデーションを利用することで、上のグラフのどの部分に関して下のグラフで語りたいのかをわかりやすくしています。
 下半分で出てきたグラフはバーメッコグラフというグラフで、縦軸には12年~18年の年平均成長率、横軸には18年の旅行者数を表すことで、単年度での増加人数を面積で見ることができます。
 年平均成長率だけで見るとベトナム・フィリピンが高いもののそもそもの旅行者数が少ないため、増加人数では実は中国・香港・韓国・台湾などに劣っているということが視覚的にわかりますね。
 また旅行者数の推移のグラフでは「ビジットジャパンキャンペーン開始」などの定性情報を追記することで、余計に見える部分にも意味を持たせています。
 以上が皆さんの作品でしたが、表現の仕方が色々あり面白いですね。
 今回のスライドはどちらも情報量が多く、かつ使用している色も多かったため、まずはその2点を整理するだけでも印象がかわってくるのではないでしょうか。
 では最後に2枚のお題スライドを1枚に整理した松上さんの作品がこちらです。

たくさんの情報があったのに、非常に親しみやすくなっていますね!
整理すると実はとってもシンプルな内容だったことに気づかされます。
一問目のお題スライドを左側でグラフ化し、二問目のお題スライドを右側でピクトグラムと小見出しを利用して整理していますね。
 特にピクトグラムの表現がわかりやすくイメージで伝わってきます。


 さて、2枚のお題スライドとそれに挑戦いただいた皆さんの作品をご紹介してきましたが、修正前に比べてどの方の作品もかなりメッセージが伝わりやすくなっていたのではないでしょうか。
 資料作成におけるポイントを勉強したい方は是非戦略的プレゼン資料作成講義」をご受講ください。ご参加もお待ちしております。

(出所:財務省関東財務局「第8回新潟活性化サロン」北陸信越運輸局発表資料http://kantou.mof.go.jp/content/000233679.pdf

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5.ターゲットを絞り、刺さる資料をつくるコツ
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