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パルテノン神殿解体~外資系コンサルがよく使うメタファー表現~

0.はじめに

Rubatoのnoteにたどり着いた読者の皆様の中には、外資系コンサルと言われる会社の方々が作成した資料を見たことがある方も少なくないかと思います。インターネットの発展によって、公的な機関の発注のプロジェクト等の公開義務のありそうな案件に限り、外資系コンサルのレポートが国内・海外のキューレーションサイト等で公開されてきております。
例えば、Emory’s Goizueta Business SchoolのJohn Kim氏のCONSULTANT’s MINDという「コンサルティングとは?なんぞや?」を記したブログでは、マッキンゼー社等の外資系コンサルティング企業の公開されているレポートやプレゼンが紹介されています。
また、日本語の資料についても、外資系就活等で紹介されております。

◆CONSULTANT’s MIND
https://www.consultantsmind.com/2017/04/23/30-mckinsey-presentations/
◆外資系就活
https://gaishishukatsu.com/archives/66633

Rubatoでパラレルキャリアとして一緒に働いているトニーこと大塚講師と私は、事業会社に勤めていることもあり、定期的にパトロールを実施して、新たな表現の獲得やPPTでのアウトプットのトレンドを調査するようにしています。今では、インプット過多に陥る(笑)ほどの資料があるため、なかなか体系化して整理できないことに若干の悩みを持っています。

さて、今回は単に収集した資料を紹介してもそれは単なる紹介にしかならないと考えました。そこで、少しでも読者の皆様の力になってもらうことを目的に、チャレンジングではありますが、多くの方がこんな資料作れないよ~となってしまうようなチャートを分解して、作れるようになっていただこうということを目的にブログを書いてみることとします。


1. 外資系コンサルの良く使うメタファー=パルテノン神殿

読者の皆様、図1を見てどう思いますか?「え、デザイナーとかがいて、作ってくれるんでしょ?」と感じる人は少なくないかと思います。こちらの資料は、経済産業省がA.T.カーニー社に委託をした「平成25年度クールジャパンの芽の発掘・連携促進事業-ファッション業況調査及びクールジャパンのトレンド・セッティングに関する波及効果・波及経路の分析」調査報告書から抜粋したものです。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11249403

スライド1

さて、この神殿っぽいチャートですが、外資系コンサルの多くで使われているもので、僕は勝手に「パルテノン神殿」と呼んでいます(笑)。Rubatoの講師陣が大ファン?のAndrew Abela教授の書籍「Encyclopedia of Slide Layouts」では、メタファー(隠喩・暗喩)表現として、それぞれの柱の重要性やその上位目的をより効果的に伝えるレイアウトであるとしています。


図2はAbela教授の書籍の中で紹介されているパルテノン神殿チャートを写経したものですが、4つの項目が柱として表現されており、その柱の上に屋根があることで、柱の項目の重要性が効果的に表現されていることが「見て分かる」と思います。

スライド2


2.パルテノン神殿型チャート解体新書

パルテノン神殿型のチャートを何個も見てきた経験や自分で作ってきた時に考えていたことを言語化したものが図3となります。パルテノン神殿型のチャートは、「屋根」「柱頭」「柱」「土台」の4つのパーツから構成されます。各パーツ下記のように利用されることが多いです。

●「屋根」は最上位概念を示すために利用
● 「柱頭」はその名の通り、柱の装飾のように、柱の内容の小見出しや標語として利用
● 「柱」は最上位概念を実施するための具体的な概念(上位概念)や具体的な実施事項を示すのに利用
● 「土台」は上記を支えるためのプラットフォーム等を示すために利用

こうして紐解いてみると、もともと人間が抱いている神殿や建物のパーツをうまく使ったメタファー表現であることが分かりますよね?

スライド3


さて、以前このnoteでも同じような問いかけをさせていただいたかと思いますが、パルテノン神殿をはじめとして、外資系コンサルが良く使っているメタファー表現はイラストレーター等のソフトウェアや絵心が必要だと思いますか?
図4にあるように、図解作成の際に最低限使う図形は大きく6つです。この6つをまず使いこなせるようになれば、図解は概ね大丈夫だと思います。この6つの図解に何の要素を入れて、どんな関係性を表すか?ということだけに注力すれば、多少難しいメタファー型のチャートも作成することができます。

スライド4


さて、図5の通り、上記で紹介した6つの図形をイメージしながらA.T.カーニーの例を分解していくと、実はこのパルテノン神殿は三角形と長方形と台形のみで構成されていることが分かるかと思います。(台形は6つの最低限使う図の中に入ってなかったですね。すみません)

スライド5

A.T.カーニーのパルテノン神殿型チャートを観察をし、写経したものが図6となります。概ね模写はできているのではないでしょうか?

スライド6


2. 外資系コンサルの作るパルテノン神殿型チャート・コレクション 2020

今までは、オーソドックスなパルテノン神殿型チャートを紹介してきました。ここからは外資系コンサルは、パルテノン神殿型チャートでも「守破離」の「離」に到達している例を2つほど紹介しようと思います。
まず、マッキンゼー社ですが、「柱頭」部分に矢羽根を利用することでフローを表現し、さらに「土台」は四象限型を使っており、見て分かると思いますが、三角形、長方形、丸の図形を駆使して、国家のイノベーションシステムの全体図をかっこよく表現しています。
これぞまさに総合格闘技家ですね(笑)

スライド7


次に、ボストン・コンサルティング・グループの例です。(図8)「柱頭」に3つのビジョンを入れ、「柱」部分に戦略とゴールを表現しています。これもパルテノン神殿型チャートの応用型と言えるのではないでしょうか?

スライド8

冒頭で紹介した我らがAbela教授の例も、「柱」部分に縦棒グラフを入れており、こちらも応用型と言えるのではないでしょうか?

スライド9


3. Rubatoの提唱している基本図解とパルテノン神殿型チャートの親和性

このブログ用のパワーポイントを作っている際に、頭の中がスパークしたのですが、パルテノン神殿型のチャートは、「柱頭」を小見出しにして、「柱」をその内容を示す型で、「列挙型」「背景型」「フロー型/回転型」と親和性が良いことに気づきました。簡単に言うと、横に要素を列挙した列挙型(列挙型3)の頭に三角形の帽子をかぶせればパルテノン神殿型のチャートになるのではないかと。。。(長々書いたのに結論がこれか・・・と)

スライド10


4. 見えないものを見る力

来たる11月中旬(おそらく14日)に、大塚講師と私とで、今回紹介したような応用型の外資系コンサルの資料を作るための「見えないものを見る力、パワポ写経(仮)」を開催しようと企画しています。
このブログで紹介しているように、図解を分解できる力、関係性を見抜く力、そしてちょっとマニアックなコマンドを使いこなす力があれば、一見作れそうにないチャートでも短時間で作成することができるようになるはず・・・です。
他にも、操作と表現図解実践の実践系講座を受講いただくことで、ぐーーーんと効率をあげることができると思いますので、ぜひぜひご参加いただければと思います。


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【公開中note一覧】
◆「人を動かす一人歩きする」資料Before→After
第1回 入門編①図解の基本形「一人で行くバー」をお薦めするスライド
第2回 入門編②2つの比較「ストアカ」をお薦めするスライド
第3回 入門編③図解の基本形「コーチングアプリ」をお薦めするスライド
第4回 基礎編①線グラフの基本 企業の変革を促すスライド
第5回 基礎編②スライド構成と図解 新規事業を提案するスライド
第6回 Before→After OBOG版(前編)~霞が関文学編~
第7回 Before→After OBOG版(後編)~霞が関文学編~
番外編 『PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則』
     Amazon週間売上ランキングのスライド

◆Rubato講師×note
1.ロジカルな図解のつくりかた(前編)
2.ロジカルな図解のつくりかた(後編)
3.アウトプット→インプットの話
4.Rubato流「オトナのパワポ正月遊び」
5.ターゲットを絞り、刺さる資料をつくるコツ
6.「かっこいい」デザインと「余白」の話
7.添削からわかる、伝わるパワポ資料3つの特徴~添削 of the Year
8.図解でわかる!新型コロナウイルス予防のコツ
9.外資系コンサルはなぜ資料作成にこだわる?
10.知る人ぞ知るPowerPoint効率化スキル
11.テレワークでのコミュニケーションスキルとは
12.【保存版】グラフを自在に操りたい人必見の書籍9選
13.周りに差がつく!情報収集のコツと独断で選ぶ国内外のウェブ9選
14.ビジネス記事のロジカル図解化3ステップ~設計→MECE→表現~
15.オンライン研修から学ぶ、オンライン打合せの生産性を高める3つの小さな工夫 
16.ゼロからロジカルシンキングを学んだ講師のおすすめ書籍5選!
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18.4つのグラフで予算と実績のギャップを可視化する~ファイナンス(FP&A)実務から~
19.パワポはチャラ書き(下書き)が重要って知っていますか~そのプロセスとコツ~
20.資料の配色でもう迷わない~ブランドイメージを伝える配色のノウハウ~
21.論理で「見えていない世界」に気付く ~MECEな切り口(軸)の考え方~
22.プロフェッショナル流、マネージャーのための資料作成マネジメント術
23.資料作成講師がMacのパワポを触ってみた~MacとWindowsのパワーポイントの違い~

【Rubatoの資料作成講座】

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元外資系コンサルタント松上純一郎を中心とする実力派講師陣が、論点思考、ロジカルシンキング、図解、定量表現といった仕事の基礎となるスキルや、「人を動かす一人歩きする資料」を作るドキュメント・コミュニケーションスキルを養成。多数の受講生が講義を通じて目指すキャリアを実現しています。