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ロジカルな図解のつくりかた(前編)~「対比」と「MECE感」と「評価」で説得力を高める~

皆様、こんにちは。株式会社Rubato(ルバート)が主催する資料作成講座の講師をつとめる渡邉浩良です。

株式会社Rubatoでは、1か月に1度、「資料作成キャンプ」という講座を開催しています。本講座では、書籍でインプットしても日常の業務でスキルを生かせる機会がなかなかない方、「戦略的プレゼン資料作成講座」2日間集中講義で習得した内容を思い出しながら日々の業務に定着させたい方を対象とした講座です。

資料作成キャンプの特徴としては、下記3点があげられます。

① 限られた時間で与えられたお題に対して資料を作る
② 自分で作成した資料の意図を共有する(資料の意図の言語化)
③ 受講生および講師からフィードバックを受ける

4時間半の講座の中で、修正問題1問、演習問題2問の合計3問の問題に取り組む実践的な講座です。講師陣も同じ条件で、資料作成に取り組んだ上で、受講生の作った資料へフィードバックをしています。

ここでは、私が資料作成キャンプで受講生の作成した資料に対してフィードバックをする際によく見つける課題とその課題に対する解決策、また実際の操作について触れていきたいと思います。

よくある課題:対比ができていない 

例えば、「〇〇さんの歓迎会を開きたいから、20代女性にウケそうな飲み屋を提案してくれない?」というお題をもらった場合、どのようなスライドを書きますか?

ダイニングカフェRubatoを「料理がおいしい、コスパが高い、宴会向き」という3つのメリットから提案したいとします。

そしてそれを図解する場合、ルバートで提唱している6つの基本図解の最も基本の形である、下記のような「列挙型」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?(図-1)

スライド2

さて、ダイニングカフェRubatoをおすすめする主張を支える要素「料理がおいしい、コスパが高い、宴会向き」を上司にすぐに納得していただけるでしょうか?

おそらく上司は、「えっ?このレストランが、料理がおいしい、コスパが高い、宴会向き?それはあなたの主観じゃないの?」となるでしょう。上司からすれば、比較検討の上での提案でないと腑に落ちません。

こうしたケースにおいては、列挙型ではなく、他の対象と比較する対比型やマトリックス型へと変更できるかどうか考えてみましょう。まず、カフェRubatoを比較する上で、聞き手にとって納得感のある比較対象を考えます。

その後、カフェRubatoのメリットとして挙げた利点「料理、コスパ、宴会向きか否か」といった比較項目が、聞き手にとって「MECE感」のあるものか、「抽象度」があっているかを考えます。

イメージとしては下記の図-2のようになります。比較対象が一つの場合は対比型を、複数の場合はマトリックス型を活用すると覚えておきましょう。

スライド3

さてここでは、会社周辺の20代に人気のある居酒屋を3つピックアップしてマトリックス型を作成したとしましょう。

「ダイニングカフェRubatoは居酒屋BとCと比べ、料理がおいしく、コスパが高く、宴会向き」というスライドになりました。(図-3)

スライド4

いかがでしょうか?上司はすぐに納得するでしょうか?

上司からすると次は「カフェRubatoは他と比較してどれくらい良いのだろうか?」という疑問符がつくのではないでしょうか?

比較をする際には、できるだけ具体的に数値等で比べることが重要となります。
(図-4)そして、最後に比較項目ごとに俯瞰をして評価を加えてあげること、対象を強調してあげることで、より主張がシャープとなります。

スライド5

まとめると、対比型やマトリクス型を活用し、主張をシャープにして納得感のあるスライドにするには、

①聞き手にとって納得性のあるものと比較されているか(比較対象の検討)
②MECE感のある比較項目であるか(比較項目の検討)
③数値などで具体的に比べているか(具体性の検討)
④評価(強調)を加えているか(評価・強調の付加)

が重要となります。(図-5)

スライド6

ここまでは考え方と表現の話でした。でも、実際に作れなければ意味がありません。そこで次回は実際の操作の説明に入ってみたいと思います。

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【公開中note一覧】
◆「人を動かす一人歩きする」資料Before→After
第1回 入門編①図解の基本形「一人で行くバー」をお薦めするスライド
第2回 入門編②2つの比較「ストアカ」をお薦めするスライド
第3回 入門編③図解の基本形「コーチングアプリ」をお薦めするスライド
第4回 基礎編①線グラフの基本 企業の変革を促すスライド
第5回 基礎編②スライド構成と図解 新規事業を提案するスライド
番外編 『PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則』
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