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伝わる!マトリクス図解の三つのポイント~表頭、画像、ピクトグラム

資料作成講座の講師をしております丸尾です。資料作成を学び、仕事や日常生活でも多くの資料に触れていることと思います。一連のnote記事でも、資料作成の参考になるプレゼン資料として、「外資系コンサルファームのプレゼン資料(2020年最新版)~各社の特徴を洗い出す」、「資料作成の参考になるIR資料を探してみた」を紹介してきました。

ご覧の通り、スライドのデザインやスタイルには、様々なバリエーションがあります。いざ参考にしようとしても、「なぜ、このスタイルなのか?単なる好み?」と疑問に感じられたり、「何が正解なのだろうか?」と迷われたりするのではないかと思います。先日も「マトリクス型でテキストと一緒に写真やピクトグラムを入れたい場合は、どこに配置すればよいか?」というご質問をいただきました。そこで今回は、マトリクス図解における表現スタイルと画像の活用ポイントについて考えてみたいと思います。自信をもってマトリクス図解を活用できる手助けになれば幸いです。


表頭のスタイル

マトリクス図解は、表頭(横軸)と表側(縦軸)の2軸を掛け合わせた図解です。表頭のスタイルは、主に3種類あります。
 ① 小見出しの箱を塗りつぶす「塗りつぶし派」
 ② 小見出しの箱の直下に下線を引く「下線派」
 ③ 文字だけ記入する「文字だけ派」

スライド2

このスタイルの違いは、何に起因するのでしょうか。
「塗りつぶし派」の狙いは、濃い色の表頭へ視線を誘導することにあります。しかし、濃い色で塗りつぶすことは、フタを被せたような重たい印象を与える恐れがあります。特に文字が多いスライドでは、そうした印象が強まります。

「下線派」は、重い印象を軽減するため、塗りつぶすかわりに、下線を引くスタイルをとります。ファクトやデータなど情報が多いコンサルファームの資料には下線派が多いです。表頭は下線、表側は塗りつぶしと異なるスタイルにすることで、縦軸と横軸の2軸を識別しやすくしています。「塗りつぶし派」と「下線派」の共通点は、表頭の幅が基準となり、表頭以下の説明エリアの横幅や位置をあわせ、整った見た目を作り出していることです。

「文字だけ派」は、表頭の小見出しには塗りつぶしや下線を引きません。これは、表頭よりも背景を塗られた説明エリアに視線を集めるためと思われます。また薄い色で塗りつぶすことで、柔らかいトーンを演出しているようにも感じます。


マトリクス図解での画像の使用場所

資料作成講座では、イメージでの伝えやデザイン性向上のため、画像(ピクトグラムや写真)を活用することを推奨しています。画像は、マトリクス図解のどこに配置するのがよいでしょうか。
候補の場所は、①表頭エリア、②表側エリア、③説明エリアの3つがあります。このうち、説明エリアは箱の数が多いです。すべての箱に画像を入れると、煩雑な印象になってしまいます。同じ理由から、表頭と表側の両方に入れるのではなく、どちらか一方だけで十分です。小見出しの数と同じ3~4個が適量でしょう。私は、表頭の場合は写真、表側の場合にはピクトグラムを使用することが多いです。この理由について説明したいと思います。

スライド3

◆表頭に画像を使用する場合
表頭は、①企業、製品、場所、人物などの名詞(対象を具体的に特定できる固有名詞と一般的な名詞がある)、②解決策などの選択肢を示すような動詞、が入ることが多いです。②は、例えば、体重を減らすための選択肢として、食事量を減らす、運動する(ランニングする、泳ぐなど)、脂肪吸引する、などの行動が挙げられます。
対象が、固有名詞の場合は写真がベスト。一般名詞や動詞の場合は、写真でもピクトグラムのどちらでも良いです。抽象的なイメージを醸し出すピクトグラムのほうが探す手間が少なく、使用場所の制約も少ないため扱いやすいと考えます。

スライド4

表頭に画像を使う場合は、表頭直下の位置に用いることが多いです。理由は、意味や結びつきが強いもの同士は近くに配置するという「近接のルール」に従っていることや、小見出しの背景に紛れず画像が映えるためです。

◆表側に画像を使用する場合
表側は、比較基準や特徴項目など概念的な要素が入ることが多いです。表側には、ピクトグラムが向いています。ピクトグラムは程よい抽象度で、イメージを醸し出すという特徴があります。それが概念的な要素をあらわすのに向いています。表側の限られたスペースでも存在感を発揮できる一方、写真は具体的に魅せるという特徴を持つため、大きく使わないと映えません。表側の小さいスペースで、写真を上手く扱うことは非常に難しいです。

スライド5

表側にある小見出し内でピクトグラムを入れる場合、どの位置が良いでしょうか。次の3つの条件を満たす位置が、機能美を果たす上で良いと考えます。
 ① 文字と重ならないこと
 ② 挿入するスペースがあること
 ③ 視線の流れと整合していることである

上記の3つの条件を考慮しながら、位置を模索してみました。感覚的ですが、対角線上の位置が、座りが良いように見えます。まず説明の文字や意味を理解し、次にイメージに合う画像が視線に入るという流れに違和感が少ないということが挙げられます。小見出しにナンバリングする場合にも、ピクトグラムが邪魔にならないことから考えると、右下隅の位置が合理的かと思います。


ピクトグラムのスタイルの違い

過去のnote「資料が劇的にわかりやくなる!おすすめピクトグラムサイト7選」でも紹介したように、ピクトグラムにも様々なスタイルがあります。
大きく2種類に分類すると、輪郭を線で描くスタイル(塗りつぶしなし)輪郭を塗りつぶしで描くスタイルです。特徴の違いを挙げると、線のスタイルは、余白が多くスタイリッシュな印象がありますが、背景の色に紛れてしまう恐れがあるため、色の調整が必要になります。塗りつぶしのスタイルは、色の乗った面積が広いだけ、力強い印象で視認性が高いです。背景色がある場合、塗りつぶされたピクトグラムがおススメとなります。

スライド6


まとめ

マトリクス図解の表頭スタイルや画像の配置に関して、「何となく」「感覚的に」決めてこられたのかもしれません。今回は、見やすい図解デザインに仕上げるという目的に照らしてできるだけ合理的に考えてみました。資料作成の上達には、このように感覚的な部分と理屈の部分を互いに磨きあわせることが大事だと考えています。今後、参考になるパワポ資料を目にしたときに、表現スタイルの意図を言語化できると、単に真似るだけではない、自信をもって自身の資料にも応用できるようになると思います。


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