4つのグラフで予算と実績のギャップを可視化する~ファイナンス(FP&A)実務から~
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
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4つのグラフで予算と実績のギャップを可視化する~ファイナンス(FP&A)実務から~

ルバートで資料作成講座を担当する大塚です。
本note記事ではルバートの講座の中で代表松上とともにグラフ実践編の開発を担当した経験と、ルバートと並行して働く外資系企業でのファイナンス実務経験をもとに、ファイナンスの業務でよく使用するグラフを紹介したいと思います。

CFOが管轄する業務の分類

私はこれまでのキャリアの中で、ルバートでの活動と並行して一貫して外資系企業に勤務してきました。
外資系企業においてはCFOが管轄する業務を大別すると①財務業務(資金調達や管理など)、②経理業務(決算・税務・原価計算業務など)、③FP&A業務(予算策定・予算管理など)の3種類に分けることができます。
この中で、私がキャリアで長らくかかわっている③FP&A業務でよく使うグラフを紹介したいと思います。

FP&Aとは

FP&AとはFinancial Planning & Analysisの略称です。
FP&A部門ではビジネスの現状を認識したうえで、目標の利益を達成するために事業部門と戦略を立て数字に落とし込み予算を策定します。(馴染みのない方は以後、“予算”を“目標”と読み替えてください。)
予算づくりに加えて直近のビジネス環境や戦術進捗状況を加味して数字化し予測を出し、予算と予測の差分/Gapを認識することで戦略を柔軟に変えることで予算達成をサポートをします。

FP&Aのポイント

上記を踏まえたうえで、FP&A業務では分かりやすい数字のコミュニケーションが重要視されます。
具体的には以下のポイントとなります。

a. 戦略を数字に落とし込む際に社内の人間が理解しやすさを意識することで戦略意図を定性的のみならず定量的も理解し社内のベクトルをそろえることができる

b. 予算・予測の間の要因を数値分析し解りやすく加工して共有することで、事業部門になるべく早くアクションを起こしていただくことができる


上記のポイントを抑えるための分かりやすい情報共有の手段として、私はグラフを数多く活用します。

今回の記事では b.予算と予測の差分/Gapを認識することで戦略を柔軟に変えるサポートする際によく使うグラフを見ていきましょう。
*今回は説明を単純化するために指数ではなく実数をスコープとします。

通常のGap分析を行う際には大きく分けて以下の2つのステップで行います。

Step1: いつ予算と予測の間にGapが生じる見込みか(もしくは生じたか)
Step2: 何の要因でGapが生じるのか

以降ではそれぞれのステップで使用するグラフを見ていきましょう。

Step1: 時系列の分析(いつ予算と予測の間にGapが生じる見込みか/または生じたか)

Gapを分析するにあたり、まず予算と予測を比較してどの時点までGapが少なくどの時点からGapが大きくなっているのかを把握する必要があります。
このステップを踏むことで、深掘り(step2)を行うべきか否かの判断を行うことができます。

時系列の分析の際の具体的なステップとしては (i)累積を使用した時系列の確認 と (ii)累積前の情報を指標した時系列の確認 を行います。

(i)累積を使用した時系列の確認
累積を使用した時系列の確認を行うことで、以下の2点を確認することができます
- そもそもこれ以上の深掘りを行う必要があるか否か
*最終的に予測が予算通りであれば深堀分析を行わなくても良い可能性がある
- 今後の進捗にリスクが生じるか否か
*最終的に数字が予算と同程度になったとしても期間の最後に急に数字が上昇している場合には(例えば売上などの)前倒しが行われている可能性がある

スライド1

(ii) 累積前の情報を指標した時系列の確認
累積前の情報をグラフ化することで累積後では見えづらい情報の比較を行うことができます。
先ほどの(i)の段階で深堀を行うべきと判断し、さらにこの(ii)のフェーズで深堀期間を特定することでstep2で行う作業を最小化することができます。

スライド2

Step2: 要因の特定(何の要因でGapが生じるのか)

深掘りする期間が特定出来たらその中での変動の主要因を特定します。
特定を行う際には縦軸にビジネスが重要視している要素を、縦軸に管理する指標をとったグラフを使用します。
そして予算・予測・Gapを横に並べることで進捗度合いを表すことができます。
縦軸に重要視する要素を並べる理由は、ビジネス上重要な切り口であるのみならず通常はそれらの要素別に何らかの仮定を置き予算/目標や予測を設定しているため、それぞれの情報を容易に入手できるためです。
このグラフを活用することで、各要素の管理責任者に現状を簡単に伝えることができ、必要であれば戦略変更までに要する時間を短縮できます

スライド3

上記のグラフに合わせて頻度高く使用するのが以下で示すウォーターフォールグラフ(滝グラフ)です。
横棒グラフを3種類横に並べた場合と異なり予算・予測の全体の数値と各要素の変動を示すことで変動の各要素が全体に与える影響度合いを可視化することができます
先ほどの横棒グラフが各担当者向けのグラフであったのに対して、このグラフはビジネス全体を見る責任者向けの可視化方法といえます。このグラフを活用することで全体責任者は投資配分の意思決定を行うことができます

スライド4

終わりに

ビジネスの現場においては、相手に情報を理解していただきなるべく早く動いていただくことが重要です。
ビジネスの現場において、特に将来の問題を取り扱う際にはどれだけ力を割いたとしても意思決定に必要な完璧な情報を得られることはほぼあり得ないため、不確実性を持ったうえでの意思決定を行います。そのような際には細かい数字よりも理解しやすいイメージが求められることが多く、今回紹介したグラフは非常に有効です
昨今ではTableauのBIツールを使用しグラフを描写するケースも多いかと思いますが、ツールが自動で選んだグラフではなく意思を込めてグラフを選択することで読み手に期待するアクションを明確にすることができます
そしてアクションを通じて企業のパフォーマンスを向上させることができます。
ビジネスパーソンがグラフを使いこなし、元気な会社が一社でも増え、日本のGDPが上向きになることを心より願っています。

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