TOP余白1

こんにちは。
突然ですが、皆さんは最近見た資料の中で、「かっこいい」と思ったスライドはありますか。


今回はルバートが主催する資料作成講座の講師である大塚が何となく「かっこいい」と感じたスライドの共通要素を考えることで、よりよい資料作成のヒントを見つけ出していきたいと思います。

※なおこちらの内容は12月22日に開催いたしました「資料作成年末キャンプ ―マニアックだけどこれが伝えたい!―」にて講師の大塚がプレゼンテーションした内容をまとめております。

早速ですが、例えばこちらのスライドはいかがでしょうか。

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参照:「自律性の高い組織作りへの進化の道筋とは?」2017年8月27日 佐宗 邦威 氏

対比型を利用しOrange型組織とGreen & Teal型組織の違いを説明したスライドですが、情報量が多いにもかかわらず非常にすっきりとした印象でかっこいいなと感じます。

またこちらのスライドはいかがでしょうか。

画像2

参照:経済産業省「産業競争力とデザインを考える研究会(第4回)」配布資料

フロー型を利用し産業とデザインの遷移を6つの世代別に説明したスライドですが、5つの要素が同時に横に並んでいるにも関わらず、非常に見やすいレイアウトになっており、何よりオシャレです。

どちらのスライドもデザイン性が高く、こういうスライドが作れるとかっこいいなと感じますが、資料に共通する点として以下2つのポイントが見えてきます。

1. 文字が小さい(投影されると見えにくいかも・・・)
2. 小見出しを使わない(枠線がないので小見出しに見えない・・・)

日頃、弊社ルバートの講座では、「文字は見やすいサイズで書きましょう」「小見出しを作り、左端に配置しましょう」とお伝えしているため、受講頂いている皆様は上記の内容に違和感を覚えた方もいるかと思います。
そこで、そんな皆さんの“違和感”を払拭するため、試しに1枚目のスライドをルバート流に修正してみると以下にようになります。

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今回の修正項目は以下の4点です。

① 小見出しを左へ移動
② 文字を14pt以上へ変更
③ ピクトグラムを追加
④ 文字強調を追加

ルール通りに直しているため資料として見やすいとは思いますが、でも修正前の方が「かっこいいな」と感じませんか・・・。

紹介した「かっこいい」スライド例は、1枚目はBIOTOPE代表の佐宗氏、2枚目はtakram design engineering 代表の田川氏が作成したものです。
BIOTOPE社とtakram社はともにデザインコンサル/デザインファームであり、両名はビジネスデザイナーです。

実際にスライドを修正し、元のスライドと比較をすると2つのポイントの本質の仮説が浮かび上がってきました。

1. 文字が小さい ⇒ 余白を確保する
2. 小見出しを使わない ⇒ インク量を最小化する

つまり、インク量(内容量)を少なくし、余白を確保することができれば、「かっこいい」スライドになるのではないか。
そんな仮説から今回は「インク量分析」を実施することにしました。

まず「インク量分析」の概要は以下の通りです。

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スライド内のインク使用部分(テキストや画像など)をその色により「黒」・「それ以外」の2パターン、また何も記入がない部分を「白」に分け、合計3パターンにてそれぞれスライド面積の何パーセントを占めているかを分析していきます。

例えば上記のスライドでは、文字が「黒」と判定され全体の約2割、小見出しや国旗が「それ以外」と判定され全体の約1割、その他未記入領域が約7割という構成になっているわけですね。

とはいえ上記のスライドは元々すっきりしているスライドかと思いますので、実際によく見るようなスライドで試してみましょう。

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参照:文部科学省「平成27年度 科学技術の振興に関する年次報告」概要版

こちらは文部科学省の資料になりますが、「黒」と「それ以外」の色構成比が全体の7割以上となっており、先ほどのスライドとは面積が逆転しております。
この2枚を比べてみるとやはり余白を残しておくことの重要性に気づかされますね。

ただここで1つ問題があります。
それはテーマが違うのでそもそもそのスライドが伝えるべき情報量に差が出てしまっているという点です。
特にこの文部科学省のスライドは内容が非常に細かくイラスト付きで説明しており、プレゼン用資料というわけではないので、これだけインク面積が多いことは仕方がないのかもしれません。

同じテーマのスライドで比較することはできないだろうか・・・。
ということで、弊社が毎月開催しております「資料作成キャンプ」という講座内の演習にて実際に作成された資料で比較してみることにしました。

その結果がこちらです。

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まず1つ目が講師の渡邉さんの作品です。
インク量を分析されることになるとは思いもしなかったと思いますが、「白」の色構成比が約5割という結果になりました。
スライド内容自体は、上下にスライドを分割することで情報を整理し、グラフを入れることで非常にわかりやすいのですが、強調用に入れている背景色のオレンジが結果的に「それ以外」の色構成比を上昇させています。

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続いて今回の仕掛人である大塚の作品です。
インク量分析の構想を練っている段階の作品ということで、作成中に「白」の構成比を広げることを意識したのですが、その結果全体の約7割を「白」の構成比として残すことができました。

確かに「白」の構成比が高いほうがすっきりした印象を受けますね。
提出する相手の趣向によって印象の使い分けができると、表現に幅が大きく広がるのではないでしょうか。

さて、では最後に冒頭の2つのスライドがどのような色構成比だったのか一緒に見ていきましょう。

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余裕の8割超えでした・・・恐るべし。

ということで、今回の「インク量分析」のまとめです。

• どうやらデザイナーの方々はスライドの80%位を余白にするみたい
• 普通にスライドを作成すると60%程度が関の山
• 意識をすると70%くらいまでは頑張れそう!
• スライドタイプ(具 – 抽、トピックス等)によりインク量は変わってしまう
• 色の変更や小見出し幅の適正化などにより少しはコントロールできるかも

スライドの世界は奥が深いですね。
カッコ良いスライドを作成するためにどのように余白を確保するのかより一層このテーマで深めていきたいですね。皆さんからのご意見も募集しております!

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第2回 入門編②2つの比較「ストアカ」をお薦めするスライド
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第4回 基礎編①線グラフの基本 企業の変革を促すスライド
第5回 基礎編②スライド構成と図解 新規事業を提案するスライド
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