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今回はルバートが主催する資料作成講座の講師をつとめる丸尾武司による『ターゲットを絞り、刺さる資料をつくるコツ』について紹介いたします。

◆ターゲットを絞り込む大切さ

資料作成の目的は、人を動かすこと。資料を通じたコミュニケーションにおいて、複数の人に伝える場合でも、そのターゲットとなる「ペルソナ」を具体的に設定することは、良い資料作成を進めるうえで重要です。このブログ記事では、資料作成を学んでいるが、伝えるターゲットをうまく絞り切れないという方を想定し、私なりのコツを簡潔に紹介したいと思います。

戦略的プレゼン資料作成講座」2日間集中講義では、1日目の宿題として「自分がおススメしたいこと」をテーマに資料を作成いただき、受講生全員の宿題についてフィードバックを行っています。2日目にフィードバックする際に、実際に資料作成に取り組んでみて、どこが難しかったかを受講生にお聞きしています。最も多い悩みの1つは「自分が何をメッセージとして伝えるべきかが難しい」というものです。そのような悩みの背景には、ターゲットが具体的に絞り切れていないことにあると考えています。

そうした受講生の悩みに対して、私がコツとしてお伝えしてるのは、「自分が言いたいこと」の前に、「相手が聞きたいと思うこと」を考えてみるということです。自分が「こう動いてほしい」と提案したときに、相手から返ってくる質問や反応がいくつか思い浮かびますよね。それらに答えるように、自分が伝えるべきことを構成するという方法です。

◆ターゲットの絞り込み方

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相手によって伝える内容は変わります。伝えるべきことに迷われている方は、ターゲットが不明確のまま、万人に通じる論理や情報を提供しようとされていたのかもしれません。伝えるターゲットを具体的に設定することで、自分が伝えるべきことも具体的に定まってきます。

では、ターゲットを明確に設定するにはどうすればよいでしょうか?伝える相手を様々な角度からとらえることが大事です。大きく「属性」と「状態」という2つの切り口から設定するのがよいと思います。「属性」は、マーケティングに詳しい方なら、セグメンテーションの軸を想像していただくとわかりやすいかもしれません。例えば、年齢、性別、職業、役職、年収、家族構成、居住地、ライフスタイル、意思決定プロセスでの役割などです。

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◆ターゲットに動いてもらうためには

次に、相手の「状態」を考えてみましょう。これは、「人を動かす」という観点から掘り下げることがオススメです。相手が提案を受けて行動するまでのプロセスには、「①知る」→「②興味を持つ」→「③実際に行動する」の大きく3つのステップがあります。それぞれのステップでの相手の状態を考えてみることです。各ステップのから次のステップへ移行を手助けするように適切な情報を提供し、最終的に相手に期待するアクションへ導いていきます。各ステップのポイントについて整理しました。


① 知る-知っていること/知らないこと
相手が、あなたが提案するモノやサービスについて知らない状態なら、まずは知ってもらう状態へ導くことになります。そのために資料の冒頭で、モノやサービスの概要を説明し、前提知識や相手の理解度をそろえます。逆に言うと、相手が知っていることを想定することでもあります。知っていることには、純粋な知識だけでなく、提案前から相手が抱いている第一印象や予測される反応も含まれます。相手が知っていることは簡潔に説明し、知らないことは丁寧に説明し、こちらの提案を聞く準備を整えます。

② 興味を持つ-興味・関心、困っていること、不満なこと
相手が、モノやサービスについて知っているが、実行するまでに動機が高まっていない場合、提案によって相手の興味を喚起することが必要です。そのためには、提案が相手の興味や関心にそったものであることや、相手の課題を効果的に解決できることが鍵になります。重要なことは、ターゲットである「相手に」刺さるかどうかです。相手にあわせた論理や情緒を揺さぶる要素がどこにあるかを考えることがポイントになります。

③ 行動する-実行時の制約条件(お金、時間、人手、ノウハウや経験など)
相手が実際に行動しようとしたときに、大きな障害となる要素を考えることです。典型的には、リソース不足があります。例えば、お金がない、時間がない、道具がない、人手がないなどです。時間がないには、実行するときの時間と成果創出までの期限(納期)という2つの意味があります。相手の制約条件を踏まえた提案をすることで、提案後の実行可能性を高めます。ここまで提案したいモノやサービスを適切に紹介し、相手の興味を喚起することに成功したとしても、相手が実行できない状態に陥らないようにします。

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以上のように、ターゲットの設定方法のコツをご紹介しました。資料作成の設計段階で、自分でターゲットを掘り下げて考えることもできるのですが、精度を高めるためにターゲットなる人へヒアリングすることをオススメしています。資料作成の目的が、相手を動かすことである以上、ターゲットを精度高く設定できることは、その目的からも効果的です。また、副次的には、こうした相手とのコミュニケーションを通じて、あなたの提案が「相手のため」に練られていることや、「相手を巻き込んで」創られている体験を経ることにより、最終的に提案した際に、情緒的にも共感を得やすくなると思います。

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【公開中note一覧】
◆「人を動かす一人歩きする」資料Before→After
第1回 入門編①図解の基本形「一人で行くバー」をお薦めするスライド
第2回 入門編②2つの比較「ストアカ」をお薦めするスライド
第3回 入門編③図解の基本形「コーチングアプリ」をお薦めするスライド
第4回 基礎編①線グラフの基本 企業の変革を促すスライド
第5回 基礎編②スライド構成と図解 新規事業を提案するスライド
第6回 Before→After OBOG版(前編)~霞が関文学編~
第7回 Before→After OBOG版(後編)~霞が関文学編~
番外編 『PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則』
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ロジカルな図解のつくりかた(前編)
ロジカルな図解のつくりかた(後編)
アウトプット→インプットの話     
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