見出し画像

5つのビジネス図解を使えばわかる! 話題の『Go Toキャンペーン』を図解してみた

1.はじめに

読者の皆さんこんにちは。資料作成講座の講師をしております中川です。
いよいよ2020年も残すところわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今年は1月初めに国内初の新型コロナウイルス感染者が確認されて以降、1年通して感染症の流行に悩まされることになってしまいました。しかしそんな中でも、景気・経済を再興させることを目的とした日本政府による経済政策「Go To キャンペーン」が実施され、少しずつではありますが元の生活に向けて前進しております。(2020年12月10日現在)

さて既に多くの方が利用されている「Go To キャンペーン」ですが、皆さんはこのキャンペーンについて、どんな事業なのか、誰が所管しているか、どのように利用するのかなど、具体的な内容を説明することができますか。
今回は意外と知らない「Go To キャンペーン」を、ビジネス図解を用いて解説してみたいと思います。

2.どんな事業なのか

まずは「Go To キャンペーン」という事業についてですが、こちらは4つのテーマに分かれた事業の総称となります。

① Go Toトラベル
② Go Toイート
③ Go Toイベント
④ Go To商店街

4つの事業に関する概要とそれぞれの予算に関しては以下の通りです。

スライド1

ちなみにこちらは応用図解でおなじみのマトリックス型でまとめております。

事業予算の大半がGo To トラベルに割り当てされていることもあり、「Go Toでどこか旅行した?」という会話が日常的に成り立っていますが、実は他にも3つの事業が動いているのです。特にGo To 商店街に関しては「商店街等の活性化につながる取組を実施できる事業者」が対象となっている関係で、意外と知らない方もいるのではないでしょうか。

3.誰が所管しているのか

ではそれぞれの事業は内閣の中でどの省庁が所管としているのでしょうか。

スライド2

こちらは弊社の個人向け講座「戦略的プレゼン資料作成講座~図解実践編 ビジネス図解のルール~」の中でご紹介している5つのビジネス図解パターンより、組織の構造を示す「組織図」を利用しております。

こうやって見てみると4つの事業のうちGo To イベントとGo To 商店街は経済産業省が掛け持ちしていることや、Go To トラベルは国土交通省ではなく、観光庁が所管している点など新たな発見があって面白いですね。

ここからは更に事業に関する様々な関係性を詳しく見るために、Go To トラベルを例に見ていきたいと思います。

4.どのような全体像になっているのか

まずは改めてGo To トラベルのおさらいから始めたいと思います。
Go Toトラベルは、失われた旅行需要の回復や旅行中における地域の観光関連消費の喚起を図るとともに、ウィズコロナ の時代における「安全で安心な旅のスタイル」を普及・定着させる。』ことを目的として観光庁が所管しています。

Go To トラベル事業は、その事務局業務を「ツーリズム産業共同提案体」に対して業務委託しており、彼らはGo To トラベル事務局として旅行事業者や関連事業者からの申請手続きや販売・利用実績に即した給付金の交付を行っています。
事業の全体像は以下の通りです。

スライド3

こちらは5つのビジネス図解パターンより、全体像を示す「スキーム図」を利用しております。

Go To トラベル事務局は旅行事業者との旅行販売実績の管理だけではなく、土産物店や飲食店などの関連事業者とのクーポン利用実績の管理も行っています。旅行者側から見るとわかりませんが、事務局側からすれば旅行代金割引と地域共通クーポンは全く異なる事業者とのやり取りとなるため、2つの事業が同時に開始している状況に近いのかもしれません。

では続いて、ツーリズム産業共同提案体がGo Toトラベル事業を受託する際のビジネスモデルを見てみたいと思います。

スライド4

ちらは5つのビジネス図解パターンより、ビジネス上の取引を示す「ビジネスモデル図」を利用しております。

ツーリズム産業共同提案体は3つの業界団体と4つの事業者からなり、それぞれの企業や団体は受託業務における一部業務(事務局対応、申請書類の確認、地域共通クーポンの配送など)を代行することで、観光庁の事業委託費を分配していると思われます。
とはいえどの部分を代行するにせよ日本全国の観光事業者とのやり取りとなるため、なかなか業務量も多そうですね・・・。

5.どのように利用するのか

では旅行者がどのようにGo To トラベルを利用すればよいのでしょうか。
その前に旅行者が受けることができる具体的な支援をおさらいしておきたいとおもいます。

スライド5

Go Toトラベルの利用により、旅行者は1人1泊当たり20,000円を上限に、旅行代金35%分の割引と旅先で使える旅行代金15%分の地域共通クーポンをもらうことができます。
つまり1泊40,000円以下の旅行で、地域共通クーポンも全額使ったとすると、半額の料金で旅行を楽しむことができるというわけです。

また、旅行者が提供されるサービスの流れを図で示すと以下のようになります。

スライド6

こちらは5つのビジネス図解パターンより、サービスの流れを示す「サービス図」を利用しております。

旅行者は割引旅行代金しか支払っていないのに、様々なサービス提供を受けることができ、やはり旅行者側から見るとつかわないと損であることがわかりますね。

最後に、Go Toトラベル利用の流れに関しておさらいしたいと思います。
今回はオンラインで旅行の申し込みをした場合の流れを図解しております。

スライド7

こちらは5つのビジネス図解パターンより、業務のフローを示す「業務フロー図」を利用しております。

さて上の図を見ておやっと思った方はいらっしゃいますか。
実は先ほどのサービス図では旅行事業者から地域共通クーポンの配布を行う矢印としていましたが、今回は宿泊事業者からの配布となっております。それには上記に記載した「オンラインで旅行の申し込みをした場合」というのが大きく影響しているのです。
実は地域共通クーポンには紙クーポンと電子クーポンが存在し、紙クーポンの場合は申し込み方法によってクーポンが渡されるタイミングが異なるのです。窓口で申し込みをしている場合は窓口で予約時に旅行事業者から貰えるが、オンラインの場合はチェックイン時に宿泊事業者から貰えるというわけですね。

せっかく1泊2日の旅行を申し込んでも、観光後にホテルへチェックインしたタイミングでクーポンを貰っても使えない・・・なんてことがないようにクーポン受け取りタイミングを確認してみましょう。なお電子クーポンの場合も、クーポンの利用がチェックイン日の15時以降となりますので、観光を1日目にほとんどしてしまうような計画を立てている場合は要注意です。

6.まとめ

今回は話題の「Go To キャンペーン」を、ビジネス図解を用いて解説してみましたが、Go To キャンペーンについて理解が深まりましたか?
最後にこれまでの5つのビジネス図解パターンをおさらいしてみたいと思います。

スライド8

これまでのGo To キャンペーンを利用した事例でもわかるとおり、単に図解すると言っても、目的や対象によって使い分けが必要です。ついつい集めた様々な情報を全て使用しがちなのですが、わかりやすく図解するためには、その目的にあわせていかに要素を引き算していくのかということが重要となるのです。ビジネス図解って奥が深いですね・・・。
なお今回ご紹介したビジネス図解をしっかり学びたい方は、「ビジネス図解入門」および「図解実践 ビジネス図解のルール」でお待ちしております!

さて今回Go Toキャンペーンの解説を書いてみたものの、残念ながら私はまだキャンペーンを利用できておりません。すっかり出遅れておりますが、書きながら旅行したい熱が高まってしまいましたので、しっかり感染対策をして温泉にでも行きたいなと思っております。
皆さんも安心安全に配慮して素敵な年末年始をお過ごしくださいね。

【参考資料】

観光庁 Go Toトラベル事業関連情報
https://www.mlit.go.jp/kankocho/page01_000637.html
経済産業省Go To イベント事業に対するお知らせ
https://www.meti.go.jp/covid-19/goto-event/index.html
経済産業省Go To 商店街事業に対するお知らせ
https://www.meti.go.jp/covid-19/goto-shoutengai/index.html
農林水産省「Go To Eatキャンペーン事業」について
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/hoseigoto.html
事業者向け Go To トラベル事業申請サイト
https://biz.goto.jata-net.or.jp/


* * *

【公開中note一覧】
◆「人を動かす一人歩きする」資料Before→After
第1回 入門編①図解の基本形「一人で行くバー」をお薦めするスライド
第2回 入門編②2つの比較「ストアカ」をお薦めするスライド
第3回 入門編③図解の基本形「コーチングアプリ」をお薦めするスライド
第4回 基礎編①線グラフの基本 企業の変革を促すスライド
第5回 基礎編②スライド構成と図解 新規事業を提案するスライド
第6回 Before→After OBOG版(前編)~霞が関文学編~
第7回 Before→After OBOG版(後編)~霞が関文学編~
番外編 『PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則』
     Amazon週間売上ランキングのスライド

◆Rubato講師×note
1.ロジカルな図解のつくりかた(前編)
2.ロジカルな図解のつくりかた(後編)
3.アウトプット→インプットの話
4.Rubato流「オトナのパワポ正月遊び」
5.ターゲットを絞り、刺さる資料をつくるコツ
6.「かっこいい」デザインと「余白」の話
7.添削からわかる、伝わるパワポ資料3つの特徴~添削 of the Year
8.図解でわかる!新型コロナウイルス予防のコツ
9.外資系コンサルはなぜ資料作成にこだわる?
10.知る人ぞ知るPowerPoint効率化スキル
11.テレワークでのコミュニケーションスキルとは
12.【保存版】グラフを自在に操りたい人必見の書籍9選
13.周りに差がつく!情報収集のコツと独断で選ぶ国内外のウェブ9選
14.ビジネス記事のロジカル図解化3ステップ~設計→MECE→表現~
15.オンライン研修から学ぶ、オンライン打合せの生産性を高める3つの小さな工夫 
16.ゼロからロジカルシンキングを学んだ講師のおすすめ書籍5選!
17.オンライン会議をスムーズにする3種類の1枚資料
18.4つのグラフで予算と実績のギャップを可視化する~ファイナンス(FP&A)実務から~
19.パワポはチャラ書き(下書き)が重要って知っていますか~そのプロセスとコツ~
20.資料の配色でもう迷わない~ブランドイメージを伝える配色のノウハウ~
21.論理で「見えていない世界」に気付く ~MECEな切り口(軸)の考え方~
22.プロフェッショナル流、マネージャーのための資料作成マネジメント術
23.資料作成講師がMacのパワポを触ってみた~MacとWindowsのパワーポイントの違い~
24.パルテノン神殿解体~外資系コンサルがよく使うメタファー表現~
25.資料が劇的にわかりやすくなる!おすすめピクトグラムサイト7選
26.嫌われないロジカルシンキング~ロジシン馬鹿と言われないために
27.リアル派?リモート派?ワークスタイルを使い分けるには~ミーティングの観点で考える
28.スライド作成のためのパワポ操作の効率化の5つの方針
29.外資系コンサルファームのプレゼン資料(2020年最新版)~各社の特徴を洗い出す

【Rubatoの資料作成講座】

講座一覧はRubatoウェブサイトから

【Rubatoの書籍】




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?